相続手続きの代行は銀行に任せてはいけない!その理由を経験者がわかりやすく解説

相続の相談ってだれにしたらいいんだろう
銀行は身近だから相談しやすそう

銀行は、普段からよく訪れる為、手軽に相談にいけそうな感覚がある方も多いと思います。しかしながら、相続手続きの代行を銀行に任せてしまうことには思わぬ落とし穴があります。

あまり言うと怒られるかもしれませんが、相続関係に精通している専門家の中で銀行に相続相談した方が良いという人を私は聞いたことがありません。

なぜならば、お客さんにとって利点が薄すぎるからです。

銀行から案件をもらっている専門家は「銀行に相談するといいよ」ということもまれにあるかもしれませんが、本音をいうと「銀行は高いよ」と思ってるはずです。

この記事では、相続の手続きを銀行に代行してもらう利点と欠点、他の相談先との違いについて士業事務所で相続の手続きを行っていた著者が業界の裏側を交えてわかりやすくお伝えします。

この記事の結論
  • ほとんどの人は銀行に相続手続きの代行をしてもらうメリットが少ない
  • 銀行に依頼すると銀行への報酬とは別に士業への報酬を払う必要があり相場の倍は超える
  • 財産状況が銀行に筒抜けになってしまうことで様々な勧誘や金融商品の提案がくる可能性がある
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30秒セルフチェック:そもそも専門家に頼むべき?どの専門家?

次のうち、当てはまるものはいくつありますか。数えてから、下の「結果の読み方」をご覧ください。

相続財産に不動産(土地・建物)が含まれている
遺産の総額が基礎控除(3,600万円+600万円×相続人数)を超えそう
相続人の間で意見が対立している/連絡が取れない人がいる
相続人が3人以上、または遠方に暮らす相続人がいる
平日に役所・法務局・銀行を回る時間が取りにくい

結果の読み方(当てはまった数)

0〜1個:ご自身で進められる可能性が高い
争いや不動産・相続税がなければ、専門家に依頼しなくても手続きを完了できるケースが多くあります。無理にご相談いただく必要はありません。まずは記事内の手順やチェックリストで進めてみてください。
2〜3個:一部、専門家の力が要る論点があります
ご自身で進められる部分と、専門家に任せた方がよい部分が混在しています。下の「どの専門家に頼む?」で当てはまる領域を確認し、判断に迷う点だけ整理面談で確認することもできます。
4個以上:複数の専門家が関わる状況です
手続きが広範囲に及びます。個別に専門家を探す前に、整理面談で「何を自分でやり、何を誰に頼むか」を先に切り分けると、費用も時間も抑えられます。
重要:当てはまった数に関わらず、「相続人の対立・連絡不能」なら弁護士「相続税が基礎控除を超える」なら税理士(申告期限は相続開始から10か月)の領域です。この2つはご自身での対応が難しいことが多いため、早めにご相談ください。

どの専門家に頼む?(当てはまった項目から)

不動産の名義変更(相続登記)司法書士
相続税の申告(基礎控除超・期限10か月)税理士
相続人間の対立・交渉・調停弁護士
戸籍収集・書類作成・手続き代行(争いなし)行政書士
迷う・複数に当てはまる整理面談で振り分け
整理面談を申し込む(無料) →

相続人の対立が心配な方は、もめる相続リスク診断でリスクの度合いを確認できます。

※目安を示すものです。整理面談は無料で、この段階で費用は発生しません。ご自身で完了できる方は、無理にご相談いただく必要はありません。

目次

1.相続手続きの代行を銀行に依頼するとかなり高額

相続手続きを代行してもらうとなった場合に費用がどれくらいかかるかは気がかりだと思います。

結論から伝えると、銀行に依頼すると一般的な士業事務所にお任せした場合と比較して2倍ほどはすることが多いです。

もちろん、個別の案件の事情を見てみなければ報酬額もわからないので、当てはまらないこともあるかと思いますが、事実としてとにかく高いということは間違いありません。

以下では、具体的な事例に当てはめて実際にどれくらいの報酬を支払う必要があるのかについてお伝えしていきます。

1-1.銀行に依頼した場合に支払う報酬額

相続財産が5000万円の方が三井○友信託銀行に相続手続きトータルサービスを依頼した場合、おおよそ下記の料金がかかります。できるだけ、具体的な数値を出しておりますので参考にしてください。

  • 銀行への手数料:110万円
  • 司法書士への報酬:約30万円
  • 公的書類取得費用:約1万円
  • 相続税申告報酬等:約40万円
  • 税金(登録免許税):12万円(不動産価格を3000万円とした場合)

    合計:約193万円

司法書士や税理士への報酬は銀行の支店ごとに契約している事務所等が異なるため概算になります。

提携している士業事務所も含めて、いままでに著者が見てきた見積もりや請求書をもとに相場の金額を算出しています。

金額としては、相場をはるかに超える費用が必要となります。

1-2.銀行の報酬が高くならざるを得ない理由

銀行に相続手続きを代行してもらうとなると非常に高額であるということは確認頂けたかとは思います。ただ、そもそもなぜここまで高いのでしょうか。

せめて、士業事務所と同じくらいの水準にできないものでしょうか。

結論から言うと難しいと思われます。なぜなら、かかっている経費の金額が士業事務所と銀行では大きく差があるからです。

まずは、人件費ですが有価証券報告書に記載されている情報を確認したところ三井住友銀行に関しては平均年収で842万円あるようです。

シンプルにこれだけの給与をもらっている人間が動いて処理をする訳ですから、それ相応の料金を請求しなければ経営として成り立たないという背景があります。

また、銀行がある場所を想像していただくとわかっていただきやすいと思いますが、非常に良い立地にあることが多いと思います。士業事務所と比較した場合、家賃等の金額も天と地の差があります。

それに加えて、実際の手続きは全て提携している士業に外注する訳です。士業事務所の場合は人(パートさん)と事務所(安価)でも運営できるため「そりゃあ、高くなって当然だろ」って感じです。

1-3.相続専門の優秀な士業に依頼する方が報酬は明らかに安い

単純な相続手続きですら、最低110万円かかるのが一般的な銀行に対して、司法書士に依頼すれば、シンプルな手続きであれば20万円ほどで依頼できます。

相続税を申告する必要がある場合は、別途、申告報酬を支払う必要がありますが、合計しても銀行の手数料にははるか及びません。

さらにいうと銀行への報酬はあくまで、相続のコンサルティング料金となっています。手続きにかかる報酬ではないため、手続きへの報酬は別に支払わなければなりません。

つまり、銀行側が提携している士業事務所の専門家に新たに見積もりをしてもらい、その金額を支払うことでやっと手続きが進むということです。

比較項目 銀行に依頼した場合 士業事務所へ直接依頼した場合
費用水準 一般的な士業事務所と比較して2倍ほどになることが多い 相続専門の優秀な士業に依頼する方が報酬は明らかに安い
シンプルな相続手続きの目安 最低110万円かかるのが一般的 司法書士に依頼すれば20万円ほど
報酬の性質 銀行への報酬は相続のコンサルティング料金。手続きの報酬は提携士業へ別途支払い 手続きを行う専門家に直接依頼して支払う
実際の手続き 原則として銀行は代行できず、提携する士業に外注 資格を持つ専門家(行政書士・司法書士・税理士等)が対応

だったら、最初から良い士業事務所に依頼した方が銀行の手数料分お得になるね。

そうだね。正直、相続手続きをするのにわざわざ銀行に行く利点はあまりないと思うよ。

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2.相続手続きを代行できる知見が銀行にはない

料金が高くてもその価格に見合うサービスが提供されているならば、特にいうことはありません。

例えば、銀行が相続手続きのプロ集団として社内でしっかり全ての手続きができるのであれば、それほど問題だとも思いません。

ただ、実態としてはそうではないというのが結論です。以下、詳しくお伝えします。

2-1.そもそも銀行は相続手続きも申告もできない

前提として、相続手続きを代行するとなると少なくとも行政書士の資格を取得し、登録することが必要です。

土地を相続されるケースであれば司法書士、相続財産が多い場合は税理士でなければ代行ができません。

つまり、銀行は、原則として相続手続きを代行することはできないということになります。

もし、銀行内に士業の資格登録をしている人がいれば手続き可能ですが、現に銀行は自分達では手続きをやっていないです。

相続手続きをして報酬をもらうよりも、高い金額を払ってくれる方からコンサル費だけ徴収し、あとはどこかに外注した方が利益率が高いからというのも1つの理由だとは思います。

2-2.銀行の担当者も専門家も優秀な人を選ぶことはできない

実際に自身で相続手続きをやったことがある方はピンとくるかもしれませんが、銀行員のあたりはずれ問題で相続手続きのスピードが大きく異なります。

やや専門的な話になりますが、相続手続きにおいて財産の調査をする場合には残高証明書や経過利息計算書も必要になることがあります。

自分で手続きしようと銀行に訪ねても、銀行員がそこまで考慮できない結果、何度も何度も足を運ばないといけないみたいなケースが結構あります。

銀行のメイン業務は相続ではないため、すべての銀行員が相続について詳しい知識を持つことは難しい面もあるだろうと思う反面、そこまでサービスに高い報酬を支払う意味はあまりないようにも思います。

また、ある程度相続に知見があれば、専門家の中でもとびぬけて優秀な人を見分けたり、逆にこの専門家はいまいちだなと判断できますが、銀行側にそこの判断がきっちりできているのかは疑問が残ります。

2-3.想定していないリスクまで対応できない

銀行の担当者は相続手続きの専門家ほどの知見はないため、例えば事前に対策していれば相続税対策に効果的な対策やどのようなやりくりすればお客さんにとって有利かどうか判断することが難しい場合があります。

優秀な専門家であれば、確実にお客さんの状況や要望に合わせて専門的な知見から適切な段取りを最初の時点で考えてくれるので、あとはその通りに動くだけです。

一方で最初の構想が適切でなければ後になってから手続きをやり直さないといけなくなったり、もう少しうまくできる方法があったとしてもすでに手続きが進んでしまい後戻りできないこともあります。

つまり、最初の設計段階がとても大事なのですが、すべての職員さんがきちんとできているかは大変疑問に思います。

3.相続手続きを銀行に代行されると危険な理由

現代において個人情報というのは新しく法律ができるほどに重要なものです。その中でも個人の財産状況というのは最も取り扱いが重要なものです。

もし、それらが流出してしまうとあらゆる法人から商品の紹介を受けたり、迷惑な電話や勧誘が来ることは簡単に相続できると思います。

この章では、銀行に個人の財産データを残すことによるリスクについてお伝えします。

3-1.銀行に財産状況をすべて把握されてしまうことの危険性

定年退職された方に対して、銀行の支店長が出てきてVIPルームに連れていき、お客さんを良い気分にさせて割高な投資信託を売りつける。1度は聞いたことがある話だと思います。

銀行というのは、金融商品の販売や金利などが主な収益源なので、その銀行に個人の財産状況が筒抜けになってしまうことは、もはや「どうぞ、営業してください!」と言っているようなものです。

特に年齢が高くなってくると判断能力や自分で調べて理解する能力が落ちてくるため、年配の方がよくわからないうちに契約してしまったようなケースも正直よくあるのではないかと思います。

かつて、ゆうちょ銀行と同じグループであるかんぽ生命が、高齢者をだますような形で保険に二重加入させている事件が大きな問題になりました。

どこも同じようなことをやっているというつもりはありません。

しかし、営業員にノルマが課せられている以上、財産があることがわかれば、そこには必ず強めに営業をかけたいというのが銀行側の本音であることもまた事実です。

今は良くても将来的に判断能力が落ちてきた時に下手な契約をしてしまうリスクをなくしたいのであれば、金融商品を扱わない優秀な専門家に依頼されたほうが絶対に良いと断言できます。

3-2.明らかに不必要な定期預金や国債等の金融商品を購入させられる

実際にお亡くなりになられた方の財産を見ていると定期預金やほとんど利子のつかない国債や手数料の高い投資信託などに入っているケースが本当に多いです。

恐らくご本人はリスクについてよく説明を受けずに購入してしまっていると思われますが、ご高齢でこれらの商品を大量に持っていても正直メリットよりもデメリットがはるかに多いと言えます。

もちろん、ご本人が本当に納得した上で購入しているのであれば問題ないと思うのですが、銀行員にもノルマがあり手数料が高い商品をノルマのために売るという構造は実際にあると銀行員からも聞いています。

このため、銀行に自身の財産状況をすべて開示するということは大きなリスクが伴う側面があることは理解しておくことをお勧めします。

4.相続手続きの代行を銀行に依頼するメリット

あくまで著者の個人的な考えですが、お客さん目線で考えた場合、相続の代行を銀行に依頼するメリットはあまりないというのが結論です。

しかし、一切メリットがない訳ではないと思ったので、この章では実際に相続の相談をされるお客さんの声も参考に銀行に依頼する良い点を2つお伝えします。

4-1.依頼する側としては安心感がある

いくら、価格が高いとはいえ、銀行の規模の大きさにかなう士業の事務所は存在しません。

普通に考えたら、士業事務所と大手の銀行を比較した場合、廃業するリスクが高いのは士業事務所の方です。もし、リーマンショックを超えるやばい不況が来たら銀行も打撃は受けますが、体力が桁違いです。

もし、不況であろうと災害が起ころうと相続手続き自体は何らかの形で進んでいくことはメリットと言えるのではないでしょうか。

4-2.規模が大きく訪問しやすい

メガバンクであれば、たくさんの支店がありますし、その他の銀行であればアクセスしやすいところに必ずあるのもメリットかもしれません。

士業の事務所はなんとなく門をたたきにくいというか、入りにくいイメージの方も多いようですので、相談までのハードルという意味では銀行の方が身近に感じるところはあるでしょう。

なんとなく、疑問に思っていたり、手続きしないといけないことはわかってるけど、なかなか相談に行く腰が重いという方も多くいらっしゃいますので、近くで入りやすいという良さはあるかもしれません。

銀行に依頼するメリット

大手銀行は廃業リスクが低く、依頼する側として安心感がある

支店が多くアクセスしやすく、相談までのハードルが低い

銀行に依頼するデメリット・注意点

費用が士業事務所の2倍ほど。シンプルな手続きでも最低110万円が一般的

銀行自身は相続手続きを代行できず、実際の手続きは提携士業へ外注

財産状況が筒抜けになり、金融商品の勧誘を受けるリスクがある

5.相続手続きの代行は優秀な専門家に適正価格で依頼するのが最適

相続手続きの代行を依頼するにあたり重要なことはざっくりまとめると2点に集約できます。

1つは優秀でお客さんのことを大事に考える専門家に依頼すること

2つ目がサービスに対して適正な価格で依頼すること

当たり前のことと思うかもしれませんが、これが非常に難しい現状があります。いっけん、誠実で信頼できそうな方でもお客さんが損をするような手続きを平気でやっている専門家もいます。

「わからない」分野だからこそ専門家の知恵を借りるわけですが、それは極端に言えばだまされていても気づきにくいということです。

だからこそ、ちゃんとした専門家に依頼することがとにかく重要だということを忘れないでいただきたいなと思います。

銀行と専門家、どちらに相談する?

銀行への相談が向く人

費用が高くても大手の規模による安心感を重視したい人/近くの店舗で気軽に相談を始めたい人

専門家への直接依頼が向く人

適正な価格で相続に強い専門家に任せたい人/金融商品の勧誘を避けたい人

▶ 本記事の結論は「優秀な専門家に適正価格で直接依頼する」のが最適です。


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この記事を書いた人

相続事務所にてマーケティング、広報、人事、新規事業等を行いウェブ経由の月間売上を更新する傍ら経営にも参画する。主にウェブマーケティングを通じて業界特有の「見せ方」やずる賢い手法をたくさん目撃していく。お客さんにとっては幾度とない大事な機会なのに半ば騙すようなマーケティングや営業で受任している事業者がいることを問題視し、業界についての正確な情報を発信したいと考え「相続事務所のホンネとタテマエ」を運営中。

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