相続が発生すると、多くの手続きが必要になります。その中でも重要なのが「預金名義の変更」です。被相続人(亡くなった方)の預金は、そのままの名義で放置しておくと、後々のトラブルの原因となることが少なくありません。
この記事では、預金の名義変更(払戻し)の流れ、必要書類、凍結中にお金を引き出す方法までをまとめます。
先に結論:預金の名義変更は4ステップ
銀行に連絡した時点で口座は凍結され、公共料金の引き落としも止まります。連絡の前に、引き落とし先の変更と、当面必要な現金の見込みを立ててください。
預金名義変更の基本的な手順
まずやるべきこと:銀行への通知
相続が発生したら、まず初めに行うべきことは、被相続人が利用していた銀行に通知することです。銀行に相続が発生したことを伝えることで、預金口座が凍結され、無断での引き出しや口座利用を防止することができます。
通知時に必要な情報は以下の通りです。
- 被相続人の氏名と口座番号: どの口座が相続対象となるかを明確にするために必要です。
- 相続人の連絡先: 以降の手続きに関する連絡がスムーズに行えるよう、相続人の情報を伝えておきます。
- 死亡診断書のコピー: 被相続人の死亡を証明するための書類として必要になります。
預金口座の凍結とその解除方法
預金口座が凍結されると、相続人でも自由に引き出すことができなくなります。凍結を解除するには、相続手続きを終えて名義変更(または払戻し)を完了させる必要があります。
凍結解除には、数日から数週間かかることがありますので、早めに手続きを進めることが大切です。また、銀行によってはオンラインで手続きを行える場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
預金名義変更に必要な書類
名義変更に必要な書類リスト
金融機関ごとに細部は違いますが、共通して求められるのは次の5点です。相続専用窓口のある銀行なら、専用の「相続手続依頼書」も併せて記入します。
口座が複数の銀行にあるなら、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を作っておくと戸籍の束を各行に回さずに済みます。交付は無料で、必要枚数をまとめて受け取れます。
なお、遺言書がある場合や、法定相続分どおりに分ける場合は、遺産分割協議書を求められないこともあります。何をそろえるかは、口座のある金融機関に先に電話で確認してから動くと二度手間になりません。
凍結中にお金が必要なとき:預貯金の仮払い制度
遺産分割が終わっていなくても、相続人が単独で一定額まで払い戻せる制度が2019年7月から使えます。葬儀費用や当面の生活費に充てられます。
1,200万円 × 1/3 × 1/4(子の法定相続分)=100万円 → 100万円まで請求可
名義変更がスムーズに進まないケースとその対処法
相続人間で意見がまとまらない場合
相続人間で遺産分割に関する意見がまとまらない場合、預金名義変更手続きが滞ることがあります。特に、相続人が複数いる場合、全員の合意が得られないと遺産分割協議書が作成できず、銀行での手続きが進まないことがあります。
- 調停の利用: 家庭裁判所での調停を利用し、第三者の立会いのもとで話し合いを進めることが可能です。これにより、相続人間の合意形成がスムーズになる場合があります。
- 専門家への相談: 弁護士や司法書士などの専門家に相談し、論点を整理してもらいながら調整を進める方法もあります。
必要書類が揃わない場合
戸籍がそろわない原因はだいたい決まっています。被相続人が何度も転籍している、相続人に兄弟姉妹が含まれる、相続人の一人が行方不明、のいずれかです。前の2つは戸籍を順にたどれば解決します。行方不明の相続人がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てないと遺産分割協議自体が成立しません。
預金名義変更後にやるべきこと
他の相続手続きと並行して進めるべきこと
- 不動産の名義変更: 不動産を相続する場合、相続登記を行い、不動産の名義を変更します。法務局での手続きが必要です。
- 相続税の申告と納税: 相続税が発生する場合、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行います。相続税申告書を作成し、税務署に提出します。
- 保険金の受け取り手続き: 生命保険の受取人が相続人となっている場合、保険金の受け取り手続きを進めます。保険会社に連絡し、必要書類を提出します。
相続税の申告がある場合の注意
相続税の申告では、被相続人の口座から過去に出ていった大口の出金も確認されます。名義は子や孫でも実質は被相続人の財産だった「名義預金」と判断されると、相続財産に加算されます。通帳とその原資が説明できるかを、申告前に整理しておいてください。
相続した実家の売却を検討している場合は、相続した家をお得に売却するテクニック:手順と注意点も参考になります。
