「実家じまいが大切なのはわかったけれど、みんな実際どう進めているのだろう」——制度や手順の説明だけでは、自分の実家に当てはめて考えるのは難しいものです。この記事では、愛知県内の当窓口に寄せられたご相談をもとに再構成した典型的な事例を通じて、実家じまいの進め方のヒントを、中立の立場で紹介します。
※以下はいずれも、個人が特定されないよう内容を改変・再構成した一般的な事例です。特定の実在の方の事案ではありません。
事例1:「名義を調べたら祖父のままだった」
親の実家を売却しようと動き始めた方。ところが名義を確認すると、何十年も前に亡くなった祖父の名義のままでした。売却の前に相続登記が必要で、相続人も世代をまたいで増えていたため、手続きに時間がかかりました。「もっと早く名義を確認しておけばよかった」というのが率直な感想でした。名義の調べ方は実家の名義、誰のものか確認する方法で解説しています。
相続では、死亡保険金が「遺産分割を待たずに受取人へすぐ入る現金」として役立つ場面があります。葬儀費用・相続税の納税資金・代償金の原資に使え、非課税枠(500万円×法定相続人)もあります。ただし一時払い終身は早期解約で元本割れ等があるため、当面使わない資金に限り、他の方法(生前贈与・信託・遺言・預貯金の取り分け)と比較して判断してください。
事例2:「親が施設に入り、空き家の維持費に悩む」
親が施設に入居し、実家が空き家になった方。固定資産税や管理の手間が続くなか、「売りたいが、親の判断能力が低下して契約できない」という壁に直面しました。元気なうちに方向性を決め、必要な備えをしておくことの重要性を実感された事例です。空き家になる前の対策は空き家にする前にすべき生前対策で整理しています。
事例3:「売る・貸すで家族の意見が割れた」
実家をどうするかで、きょうだいの間で「売りたい」「残したい」と意見が割れたケース。感情論になりがちなテーマですが、立地・維持費・税・それぞれの生活状況といった判断基準に沿って整理することで、話し合いが前に進みました。判断の視点は実家を売る・貸す・住み続ける、判断基準にまとめています。
事例から見えてくる共通点
これらの事例に共通するのは、「親が元気なうちに、早めに動いておくと選択肢が広い」という点です。名義の確認、親の意向の聞き取り、認知症への備え——この3つを早めに済ませておくだけで、その後の実家じまいは大きくスムーズになります。実家じまい全体の流れは実家じまい、何から始めればいいかをご覧ください。
当窓口では、複数の提携行政書士による監修体制のもと、愛知県内で中立の立場からご相談を承っています。「不要なものは不要」とお伝えする方針ですので、まずは実家の現状を整理することから始めてみてください。
実家じまいの進め方4ステップ
事例に共通していたのは「親が元気なうちに、早めに動くと選択肢が広い」という点でした。ここでは実家じまいの進め方を4つのステップに整理します。順番に進めることで、名義や認知症といったつまずきやすいポイントを先に片づけられます。
- ステップ1:名義と権利関係の確認…登記簿で名義人を確認します。古い名義のままだと売却前に相続登記が必要です(実家の名義を確認する方法)。
- ステップ2:親の意向のヒアリングと方針決定…売る・貸す・住み続けるのどれを軸にするかを、親が元気なうちに話し合います(売る・貸す・住み続けるの判断基準)。
- ステップ3:片付け・遺品整理…残すもの・処分するものを仕分けします。捨ててはいけない書類もあるため注意が必要です(実家の片付け、進め方と業者の選び方)。
- ステップ4:売却・解体・活用の実行…方針に沿って、相続登記から売却または解体・活用へ進みます。空き家のまま放置すると税・管理の負担が続くため、方針を決めておくことが大切です(空き家にする前の生前対策)。
実家じまいでかかる費用の目安
実家じまいでは、手続きや作業ごとに費用が発生します。下表は一般的な目安で、建物の規模・物量・地域によって変わります。実際の金額は各業者・専門家の見積もりでご確認ください。
まとまった費用がかかる一方、老後資金として自宅を活用するリバースモーゲージのような選択肢もあります。売却か活用かで迷う場合は、全体像を整理してから判断すると安心です。
典型例:早めの名義確認で売却がスムーズに進んだケース
以下は、当相談窓口の相談をもとに再構成した典型例です(個人が特定されないよう内容を改変しています)。県外に住む50代の方から「将来、実家を売りたいが何から手をつければよいか分からない」とご相談がありました。まず登記簿で名義を確認したところ親名義であることが分かり、相続発生前に売却の段取り(親の意向確認・片付けの計画)を整理。親が元気なうちに方針を共有できたため、いざ相続が発生した後も、相続登記から売却まで滞りなく進みました。「元気なうちの名義確認と方針決め」が効いた一例です。
実家じまいを進めるときの注意点
実家じまいで特に注意したいのは、名義と認知症の2点です。名義が古いままだと売却前に相続登記が必要になり、相続人が多いほど手続きに時間がかかります。また、親の判断能力が低下すると自宅の売却契約ができなくなるため、「元気なうちに方針を決めておく」ことが欠かせません。相続登記の登録免許税や譲渡所得税など税金の具体的な取り扱いは税理士に、登記は司法書士に、売却は不動産会社にと、内容に応じて相談先が分かれます。兄弟で意見が割れそうな場合は、無料のもめる相続リスク診断で状況を整理しておくと話し合いがスムーズです。
よくある質問(FAQ)
実家じまいは何から相談すればいいですか?
まずは実家の名義の確認と、親の意向の聞き取りから始めるのがおすすめです。この2つは費用がかからず、その後の方向性を決める土台になります。診断ツールで現状を整理してから相談すると、話がスムーズです。
親がまだ元気でも相談していいですか?
むしろ親が元気なうちが最適です。認知症になってからでは売却も契約もできなくなり、選択肢が狭まります。早めに方向性を決め、備えを整えておくことをおすすめします。
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本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載事例は個人が特定されないよう改変・再構成した一般的なもので、特定の実在事案ではありません。複数の提携行政書士による監修体制で運営しています。
