病院で親を看取ったあと、看護師さんから「死亡診断書です。役所に出す前にコピーを取っておいてください」と封筒を渡された。何枚コピーすればよいのか、なくしたらどうなるのか、その場では聞きそびれてしまう方が多い書類です。
この記事では、死亡診断書を受け取ってから役所に出すまでに家族が確かめること、コピーの枚数の考え方、費用の目安、再発行や「死亡証明書」の取り方を整理します。内容は2026年10月時点の厚生労働省・法務省・市区町村・日本年金機構などの公開情報にもとづきます。
先に結論:医師が書き、役所に出し、手続きには写しを使う
この記事の結論
- 書くのは医師:家族は記入しません。受け取ったら、氏名・生年月日・亡くなった日時と場所に誤りがないかだけ確かめます。
- 出す前にコピー:原本は死亡届と一緒に役所に出すと戻りません。保険金や年金の手続きの数を数えて、予備を足した枚数を写しておきます。
- あとから必要になっても取れる:病院での再発行のほか、役所で「死亡届の記載事項証明書」などを取れます。ただし請求できる人や理由に条件があります。
死亡届そのものの期限・出す場所・届出人の欄の書き方は、死亡届の出し方と書き方(期限7日・出す場所・届出人)にまとめています。この記事では、その前後の「死亡診断書という紙」の扱いに絞って説明します。
死亡診断書とは:誰が書くか、死体検案書との違い
死亡診断書は、人が亡くなったことを医学的・法律的に証明する書類です。国の死因の統計のもとにもなります(厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」)。書けるのは、診察をした医師(歯科医師を含む)です。医師は、自分で診察しないで診断書を出すことを法律で禁じられています(医師法第20条・歯科医師法第20条)。
同じ用紙でも、亡くなり方によって書類の名前が変わります。病院で治療中の病気で亡くなった場合は「死亡診断書」、それ以外は「死体検案書(したいけんあんしょ)」です。死体検案書は、医師が亡くなった方の体を調べて書く書類と考えると分かりやすいでしょう。
用紙は死亡届と一体です(法務省「死亡届」)。1枚の紙の片側が家族の書く死亡届、もう片側が医師の書く死亡診断書になっています。切り離さずに、そのまま役所へ出します。
死亡診断書の費用の目安:病院ごとに違う
死亡診断書の料金は、国が決めた一律の金額ではありません。病院が「文書料」として決めているため、病院ごとに違います。公開されている例を挙げます。
同じ病院でも、役所に出す死亡診断書と、保険会社の様式で書いてもらう証明書は別料金です。保険会社の様式は割高なことがあります。先に、保険会社がコピーで受け付けるかを確かめると、余分な出費を減らせます。
死亡診断書の書き方は医師の仕事:家族が確認する点
「死亡診断書 書き方」と調べる方もいますが、死亡診断書の欄は医師が書きます。家族が書き足したり直したりはしません。厚生労働省のマニュアルでは、医師の欄の訂正ができるのは、原則として書いた医師本人です。訂正は二重線で消して正しく書き、近くに署名する決まりです。
そのうえで、受け取ったら病院を出る前に次の点を見ておくと安心です。死亡届の側は家族が書くので、内容をそろえる意味もあります。
- □ 氏名の漢字(旧字体など戸籍どおりの字か)
- □ 生年月日(元号と年が合っているか)
- □ 亡くなった年月日と時刻(午前・午後)
- □ 亡くなったところ(病院・施設・自宅の別と住所、施設名)
- □ 医師の署名があるか
- □ 書類の名前(死亡診断書か死体検案書か)
間違いに気づいたら、自分では直さず、その場で病院の担当者に伝えます。役所に出した後に誤りが分かったときは、医師が届出先の市区町村へ連絡して直す流れです(厚生労働省マニュアル)。まずは病院に相談してください。死因の欄の書き方は医療の判断なので、家族が内容の当否を決める必要はありません。
提出前にコピーを取る:何枚・どの手続きで使うか
名古屋市は「保険請求などに使用できるため、提出される前にコピーを取っておくことをお勧めします」と案内しています。いったん役所に出すと、返却もコピーの交付もできません。枚数に決まりはないため、使う先を数えて決めます。
コピーの枚数は、次の手順で決めると数え漏れが減ります。
- 保険証券を集める。生命保険や共済など、契約の数を数えます。
- 年金と勤務先を足す。年金を受けていた方、勤めていた方は1枚ずつ見込みます。
- 予備を1〜2枚足す。あとで見つかる契約や、手元控えの分です。
- コピーは死亡届の側も含めて全体を写す。A3のまま写すか、縮小せずに半分ずつ写します。スマホで撮影しておくと、なくしたときの控えになります。
- 原本を死亡届と一緒に出す。火葬の許可証は、死亡届の受理後に役所で渡されます。
死亡診断書には病名や死因が書かれています。コピーは、使う手続き以外に渡さないようにし、余った分は処分の仕方にも気を配ってください。
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死亡診断書の再発行と、死亡証明書はどこで発行するか
コピーを取り忘れた、足りなくなったという場合でも、取り直す方法はあります。「死亡証明書」という名前の公的な書類が1種類あるわけではありません。手続き先が「死亡の事実が分かる書類」として求めるものを、次の中から用意します。
死亡診断書の再発行は病院へ
再発行は、書いてもらった病院の文書窓口に相談します。応じられるか、何日かかるか、料金はいくらかは病院ごとに違います。病院には診療の記録を5年間保存する義務があります(医師法第24条)。日がたつほど対応が難しくなることもあるので、早めに問い合わせてください。電話で、亡くなった方の氏名・亡くなった日・自分との続柄を伝えると話が早く進みます。
死亡証明書と死亡診断書の違い
「死亡証明書」は、手続き先によって指すものが違います。保険会社の様式の証明書のこともあれば、役所の記載事項証明書のこともあります。迷ったら、提出先に「死亡診断書のコピーで足りますか」「足りなければ、どの書類ですか」と聞くのが確実です。海外の機関に出す場合も、求める書類と翻訳の要否を提出先に確かめます。
銀行の相続手続きや登記では、死亡診断書より戸籍を使う場面が中心です。戸籍の束の代わりに使える証明は、法定相続情報一覧図の取り方で説明しています。
期限と、家族がつまずきやすい点
死亡診断書を添えた死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に出します(法務省)。届が受理されないと火葬の許可証が出ないため、火葬の日程にも関わります。遅れると火葬ができず、年金や保険の手続きも始めにくくなります。間に合わない事情があるときは、出す先の市区町村に早めに相談してください。死亡届の窓口や夜間の出し方は、死亡届の出し方と書き方を見てください。
- 葬儀会社に預けたまま提出されてしまう:死亡届の提出を葬儀会社が代わりに持参することがあります。預ける前に、コピーを取ったかを確かめてください。
- 保険会社の様式を先に頼んで二重に払う:コピーで足りる手続きもあります。病院に頼む前に、提出先に確認します。
- 誤記に気づかず役所に出す:氏名の字や生年月日が戸籍と違うと、窓口で止まることがあります。病院を出る前に確認します。
- コピーに頼りすぎる:年金機構にマイナンバーが収録されていれば、死亡の書類自体が要らないこともあります。求められた書類だけを出せば十分です。
死亡届のあとには、保険証の返却や葬祭費の申請が続きます。死亡後の保険証返却と資格喪失の手続きと葬祭費・埋葬料の申請方法もあわせて確認してください。
今日できる一歩
- 手元の死亡診断書を、役所に出す前にスマホで撮影する
- 保険証券や共済の書類を集め、契約の数を紙に書き出す
- その数に予備を1〜2枚足して、コピーを取る
よくある質問
死亡診断書はいつ、どこで受け取りますか
病院や施設で亡くなった場合は、医師が書いたものをその病院で受け取るのが一般的です。自宅で亡くなった場合は、診ていた医師や、検案をした医師から受け取ります。死体検案書は、警察の手続きを経てから出ることがあります。
死亡診断書の費用はいくらですか
死亡診断書の料金は、病院が決める文書料で、全国一律ではありません。例として、北海道大学病院と京大病院はどちらも7,700円(税込)です。お世話になった病院の料金は、窓口か公式サイトの文書料の一覧で確認してください。
コピーは白黒でもよいですか
白黒かカラーかを指定する公的な決まりは見当たりません。提出先によって扱いが違うことがあるので、指定があればそれに従います。文字がつぶれず、医師の署名まで読めるように写すことが大切です。
死亡診断書をなくしました。死亡届はどうなりますか
役所に出す前になくした場合は、書いた病院に相談して、もう一度出してもらえるか確かめます。用意できない事情があるときは、出す先の市区町村に問い合わせてください(法務省)。7日の期限が迫っているときは、先に役所へ電話しておくと安心です。
死亡届の記載事項証明書は誰でも取れますか
取れません。届書は原則として非公開で、親族など利害関係のある人が、特別な理由を示した場合に限られます(岐阜地方法務局・目黒区)。遺族年金の手続きで求められた通知書や、保険証書などを理由を示す書類として出します。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/ - 法務省「死亡届」
https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html - 名古屋市「死亡後の主な手続き」
https://www.city.nagoya.jp/mizuho/kurashi/1021793/1021794.html - 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html - 岐阜地方法務局「戸籍届書の記載事項証明書」
https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/page000001_00014.html - 横浜市「受理証明書(窓口で請求する場合)」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/shoumei/jurisyoumei/mado.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関・医療機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。死亡診断書の料金や再発行の扱いは病院ごとに、証明書の手数料や請求の条件は市区町村ごとに異なります。死因など医療の内容についての判断はできません。実際の手続きの前に、病院・提出先・市区町村へご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
