夕方、スマートフォンに「お荷物のお届けにあがりましたが、不在のため持ち帰りました」という短いメッセージが届く。ちょうど荷物を待っていたので、下のリンクを押したくなる。そういうときに、押す前に何を確かめればよいかを整理しました。
内容は2026年10月8日時点の、警察庁・フィッシング対策協議会・国民生活センター・県警などの公表資料にもとづきます。
この記事の結論
- 本物そっくりに作られているので、文面だけで見抜こうとしなくて大丈夫です。リンクは押さず、公式アプリや、自分で開いた公式サイトで確かめます。
- 開いただけで、何も入力していなければ、被害の可能性は低いとされています(フィッシング対策協議会)。IDやカード番号を入れた場合、アプリを入れた場合は、早めに手を打ちます。
- 迷ったら、消費者ホットライン188か、警察相談専用電話#9110へ。お金が動いている最中なら110番です。
2026年、届いている偽メッセージの全体像
警察庁の資料では、2025年(令和7年)にフィッシング対策協議会へ寄せられた報告が245万4,297件でした。右肩上がりの増加が続いています。インターネットバンキングの不正送金は4,747件、被害額は約103億9,700万円で、その手口の約9割がフィッシングでした。
2026年8月の報告は82,338件で、7月より16,219件増えました。装われた会社や役所は96あり、報告の多い順にAmazon、Apple、ANA、セゾンカード、総務省統計局でした(協議会の月次報告)。通販、カード、航空会社、役所と、身近な名前ばかりです。
2026年に協議会や県警が注意を呼びかけた主なパターンは、次のとおりです。
9月の2件は、どちらもAndroid向けの不正アプリでした。ただ、iPhoneでも、偽サイトでIDやカード番号を盗む手口は同じです。
見分ける5つの目印と、本物かどうかの確かめ方
目印は次の5つです。ひとつでも当てはまれば、押さずにいったん止まります。
- 急がせる言葉がある:「本日中」「まもなく失効」など。協議会も、対応を急かす表示を兆候に挙げています。
- 身に覚えのない話:頼んでいない荷物、注文、還付、認証コードなど。
- 不安をあおる言葉:「未納」「差押え」「口座停止」など。
- アプリを入れるよう求める:アプリは、公式のアプリストアで自分で探して入れるものです。
- 支払いに電子マネーの番号を求める:国民生活センターは、電子マネーの番号を教えさせる方法は「すべて詐欺」と呼びかけています。
目印は、あくまで手がかりです。本物そっくりの文面もあるので、確かめ方を決めておくと迷いません。
- 公式アプリを開くか、ブックマークや検索から公式サイトを自分で開いて、お知らせが出ていないかを見る。
- 電話番号は、メッセージに書かれたものを使わない。カードの裏面や、手元の請求書、通帳に書かれた番号にかける。
- 税金のe-Taxは、登録済みの環境からメッセージボックスを確認する。
- 一人で決めず、家族に画面を見せる。
国民生活センターは、同センターが個別の事業者を名乗ってメールを送ることは一切ないと注意しています(2025年4月、センターのアドレスを悪用した偽メールの件)。公的機関の名前が付いていても、安心の材料にはなりません。
リンクを開いてしまったときの対処
開いてしまっても、状況を分けて考えれば落ち着いて動けます。協議会の案内では、個人情報を入力していなければ、被害の可能性は低いとされています。次の表で、自分の場合に近い行を見てください。
IDとパスワードを入れてしまった場合は、公式アプリか公式サイトから、パスワードを変えます。同じパスワードを使っている他のサービスも、あわせて変えておくと安心です。
お金が動いているときは、自分で何とかしようとせず、カード会社や銀行への連絡を先にします。
相談できる窓口
愛知県では、#9110は052-953-9110にもつながります。平日の午前9時から午後5時までです(年末年始・休日を除く)。ほかの都道府県は、各県警のホームページで確認してください。
警察官をかたる電話や、還付金を口実にした手口は、高齢者を狙う詐欺の手口2026にまとめています。
届きにくくする設定と、家族で決めておくこと
迷惑なSMSを受け取らない設定は、携帯会社が用意しています。たとえばドコモの案内では、フィッシングと判定したSMSを拒否する「危険SMS拒否」、海外からの「国際SMS拒否」、非通知の拒否などを選べます。ただし、すべてを防げるわけではありません。ソフトバンクや楽天モバイルにも、同じような設定があります。名前や手順は会社で違うので、携帯会社の窓口で聞くのが近道です。
- 迷惑メールフィルターを有効にする。
- アプリは公式のアプリストアから入れる。OSとアプリの自動更新をオンにする。
- パスワードはサービスごとに変える。多要素認証やログイン通知を設定する。
- 見慣れない相手のメールが大量に届くときは、メールアドレスが漏れている可能性があります。新しいアドレスへの移行を考えます(協議会の案内)。
家族でひとつだけ決めるなら、「お金やカードの話が書かれたメッセージは、押す前に見せ合う」です。年末年始の帰省で親とお金の話をするときに、あわせて話題にする方法は年末年始の帰省で親とお金の話で紹介しています。ATMでの高額な振込を抑える仕組みについては、70歳以上のATM振込・引き出し制限をご覧ください。
今日できる一歩
- 携帯会社のお知らせやアプリで、迷惑SMSを拒否する設定があるか見てみる。分からなければ、店頭で「迷惑SMSを減らす設定を教えてください」と聞く。
- 家族に「リンクは押さずに見せ合おう」と一言伝えておく。
よくある質問
開いただけで、スマートフォンが乗っ取られることはありますか
協議会は、個人情報を入力していなければ被害の可能性は低いとしています。ただし、リンク先でアプリを入れるよう求められて入れてしまった場合は別です。機内モードにしてアプリを削除し、携帯会社に相談します。
国税庁のアプリを入れるようメールが来ました。本物ですか
協議会によると、2026年9月30日時点で、国税庁のスマートフォン用e-Taxアプリは提供されていません。入れずに、e-Taxは登録済みの環境からメッセージボックスを確認します。
同じような迷惑メールが毎日大量に届きます
協議会は、メールアドレスが漏れている可能性があるとして、迷惑メールフィルターの確認と、新しいアドレスへの移行の検討を案内しています。
家族が被害に遭ったかもしれません。何から手を付けますか
消費者ホットライン188か、警察相談専用電話#9110で相談できます。いつ、何を入力したか、どのアプリを入れたかを、分かる範囲で書き出してから連絡すると話が早く進みます。お金が動いているときは、カード会社や銀行、110番が先です。
参考にした公的情報
- 警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R7/R07_cyber_jousei.pdf
- フィッシング対策協議会「2026/08 フィッシング報告状況」https://www.antiphishing.jp/report/monthly/202608.html
- フィッシング対策協議会「今すぐできるフィッシング対策」https://www.antiphishing.jp/consumer/antiphishing-for-users.html
- フィッシング対策協議会「緊急情報」(2026年5月〜9月分)https://www.antiphishing.jp/news/alert/
- 愛知県警察「金融機関を装った偽SMSに注意」https://www.pref.aichi.jp/police/anzen/cyber/caution-information/kinyuukikanmail.html
- 神奈川県「宅配便業者を装った『不在通知』の偽SMSにご注意」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r7b/cnt/f370214/030115.html
※本記事は2026年10月8日時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。報告件数や手口は日々変わります。個別の被害のご相談は、188、#9110、カード会社・銀行などにお問い合わせください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
