ストーブ・こたつ・電気毛布の火事を防ぐには?高齢の親の家で確認したいこと

帰省して実家の居間に入ると、ストーブのすぐ横に洗濯物が干してある。声をかけようか、黙っておこうか、迷う場面です。

この記事では、暖房器具の火事を防ぐために、高齢の親の家で確認したいことを整理します。製品評価技術基盤機構(NITE)、消防庁、東京消防庁の公表資料にもとづきます。親を責めずに、一緒に確認するための材料として使ってください。

この記事の結論

  1. 暖房器具の火災で最も多いのは、布団や洗濯物など燃えやすいものが触れて起きるものです。NITEの10年間の集計(暖房器具の火災事故1,361件)で、可燃物の接触が187件で最多でした。
  2. 親の家で見るのは3つです。周りに物がないか、寝る前と出かける前に消しているか、コードやプラグが傷んでいないか。石油ストーブは、古い灯油と給油のしかたも見ます。
  3. 住宅用火災警報器の寿命は約10年です。消防庁の分析では、警報器があると死者数と損害額が半減しました。
目次

冬の火事と暖房器具を、数字で見る

消防庁によると、令和6年の火災の死者1,451人のうち、約7割の1,109人は住宅火災で亡くなっています。死者の出た住宅火災の主な原因は、たばこ、ストーブ、こんろです。住宅火災の死者のうち、高齢者が約7割を占めるという資料もあります。

出典内容数字
消防庁(令和6年)火災の死者のうち、住宅火災による人1,451人中1,109人(約7割)
NITE(2010〜2019年度)暖房器具の火災事故(10年間)1,361件。うち死亡事故163件(191人)
NITE(同上)可燃物の接触による事故187件で最多。うち電気ストーブが97件(52%)
NITE(2016〜2020年度)ストーブ・ファンヒーターの事故(5年間)652件。うち死亡事故69件
NITE(2017〜2021年度)こたつと電気ストーブの事故(5年間)347件。うち死亡事故26件
※NITEの件数は、NITEに通知された製品事故情報の集計です。重大事故のほか、被害の小さい事故や、被害のなかった事例(ヒヤリハット)も含まれます。事故は毎年11月ごろから増え、1月に最も多くなるとされています。

NITEは、火を使わない電気ストーブでも、布団や洗濯物が触れると火事になることがあると注意しています。「火が見えないから安心」とは言えない点が、暖房器具で注意したいところです。

親の家で、最初に見る3つ

NITEの注意喚起では、電気暖房器具の火災は「ゼロ距離」と「ほったらかし」に分けて説明されています。この2つに、コードの傷みを加えた3つが、最初に見るところです。

  • 周りの物(ゼロ距離):ストーブやヒーターのそばに、布団、洗濯物、カーテン、タオルがないか。落ちてきそうな場所に干していないか。洗濯物は暖房器具で乾かさないのが原則です。
  • 消し忘れ(ほったらかし):寝る前、出かける前に、スイッチを切り、電源プラグを抜く習慣があるか。ほったらかしの火災は、電源を切らずにその場を離れたときに起きています。
  • コードとプラグ:電源コードやプラグが変形、破損していないか。一つのコンセントに、たくさんつないでいないか。コードを踏んだり、強く折り曲げたりしていないか。

NITEは、このほかに、本体が変色や変形していないか、倒れたときに自動で消える機能が働くか、リコール(回収・無償修理)の対象になっていないか、も点検するよう呼びかけています。リコールの対象かどうかは、NITEの製品事故情報・リコール情報のページで調べられます。ほこりがたまっていたら取り除きます。

石油ストーブ・ファンヒーターで見ること

灯油を使う器具は、使う前の点検と、給油のしかたに気をつけたい点があります。NITEの令和7年の資料と、東京消防庁の案内から、確認する項目を集めました。

  • 灯油:新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わない。
  • ガソリンとの取り違え:ガソリンは灯油と別の場所に置く。誤って給油しないようにする。
  • 給油のとき:必ずストーブを消してから入れる。燃えている間に、手動ポンプで給油しない(東京消防庁)。
  • カートリッジタンク:ふたが確実に閉まっているか、漏れがないかを見る。
  • 安全装置:地震などで自動的に消える装置が、正しく働くかを確認する。
  • 灯油の置き場所:火を使う場所から十分に離し、容器や栓に破損がないかを見る(東京消防庁)。

NITEの事例には、80歳代の男性が石油ストーブに給油したとき、こぼれた灯油に火が移って被害が広がったものがあります(2020年1月)。給油は、灯油を運び、こぼさないように入れる作業です。年齢を重ねると大変になることもあるので、家族が手伝える日を決めておくのも一つの方法です。

こたつ・電気毛布・足元の暖房

居間のこたつや、布団の中で使う暖房は、体に近いぶん、見落としやすいところです。確認できた公的な資料から、器具ごとに整理しました。

器具起きている事故確認すること
こたつ布団がヒーター部分に触れて発火。洗濯物を乾かそうとして発火洗濯物を入れたり掛けたりしない。座椅子などで奥まで押し込まない。寝るとき、出かけるときはプラグを抜く
電気ストーブ洗濯物や布団の接触、落ちたタオルからの発火、消し忘れ可燃物から離す。寝るとき、出かけるときはプラグを抜く
電気あんか・電気マット朝まで布団に入れたままで低温やけど。コードの扱いが原因の発煙寝るときは切るか、体に触れない距離まで離す。コードを曲げたり巻いたりしない。電気マットを布団に入れて寝具として使わない(NITE、令和7年1月)
カイロ同じ場所に長く当てて低温やけど寝るときは使わない。こたつの中や暖房器具の近くで使わない
電気毛布この記事で確認した公的資料には、専用の注意点がありませんでした取扱説明書のとおりに使い、コードや本体に傷みがないかを見る

電気毛布は、確認した公的資料の中に専用の注意点を見つけられなかったため、ここでは一般的な見方しか書けません。使い慣れた毛布ほど、コードの付け根や本体の傷みを見落としがちです。取扱説明書を開いて、いっしょに見る機会を一度つくると安心です。

住宅用火災警報器と、寝具の火

消防庁は、住宅用火災警報器の寿命を10年としています。定期的に作動を確かめ、設置から10年を目安に交換するよう呼びかけています。令和2年から5年の失火による住宅火災を分析したところ、警報器があると、ない場合に比べて死者数と損害額が半減し、焼けた床面積は約6割減りました。

また、消防庁の資料には、寝具類に火がついた火災で亡くなる人が最も多い、という記述もあります。寝る前にストーブやこたつを消すことが、繰り返し言われる理由です。実家の警報器をいつ取り付けたか、分かるかどうかを一度確かめてみてください。

今日できる一歩

実家に電話して、「今年、ストーブはもう出した?」「去年の灯油は残ってる?」と聞いてみる。帰省する日が決まっているなら、カレンダーに「ストーブとコードを見る」と書き足しておきます。

親に、どう切り出すか

「危ないよ」と言われると、親は自分のやり方を否定されたように感じることがあります。点検を「いっしょにやること」にすると、話が進みやすくなります。次のような言い方があります。

  • 「今年も寒くなるから、ストーブを出す前に、いっしょに見ようか」
  • 「古い灯油は使わないほうがいいって、書いてあったよ」
  • 「コードがちょっと熱くなってない? 私がやるから、貸して」

東京消防庁の案内では、令和8年秋の火災予防運動は11月9日(月)から15日(日)です。火の元を見直しやすい時期なので、親に電話をするきっかけにしてもよいと思います。年末年始の帰省で話したいことは年末年始の帰省で親とお金の話にまとめました。

古い家で暖房器具に頼る暮らしが続くことに不安がある場合は、住まいそのものをどうするかの話にもなります。選択肢と費用の目安は高齢者の住み替え費用を参考にしてください。

よくある質問

電気ストーブなら、火を使わないので安全ですか

火を使わなくても、布団や洗濯物などの可燃物が触れると火事になります。NITEの集計では、可燃物の接触による事故が最も多く、そのうち電気ストーブが52%を占めました。

寝るときは、こたつをつけたままでもよいですか

NITEは、寝るときや外出するときは、電源を切り、プラグを抜くよう呼びかけています。こたつでうたた寝をしてしまうときは、「眠くなったら寝室に移る」と決めておくと、つけっぱなしを防げます。

古い暖房器具は、買い替えたほうがよいですか

この記事で確認した公的資料には、使用年数で買い替えを決める基準は載っていませんでした。変色や変形がある、コードが傷んでいる、リコールの対象、転倒時に消える機能が働かない、のどれかに当てはまるときは、まず使うのを控えて、販売店やメーカーに相談してください。

灯油の保管で、気をつけることはありますか

東京消防庁は、火を使う場所から十分に離すこと、容器や栓に破損がないか確かめること、地震で倒れたり落ちたりしないように棚を固定することを挙げています。保管のしかたに迷うときは、最寄りの消防署に相談してください。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月8日時点で確認できた公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。器具ごとの使い方は、お使いの製品の取扱説明書に従ってください。

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この記事を書いた人

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