親の相続の手続きを進めていたら、法務局や手続き先から「亡くなった方の住民票の除票を出してください」と言われた。住民票なら取ったことがあっても、「除票」という言葉は初めて聞いた、という方は少なくありません。
この記事では、除票とは何か、どこで、誰が、どうやって取るのかを順に説明します。保存期間が150年に延びた話と、それより前に消された除票が取れないときの考え方もまとめました。本籍を載せる方法は住民票に本籍を載せる方法、筆頭者の意味は筆頭者とはの記事に分けています。
この記事の結論
- 除票は、転出や死亡で住民登録が消された住民票です。最後に住んでいた市区町村の窓口か郵送で請求します。
- 保存期間は、消された日から150年です(2019年6月20日から)。ただし、その前に5年の保存期間が過ぎていた分は発行できません。
- 手数料は1通300円の例があります(練馬区・柏市)。コンビニ交付と広域交付は使えません。
住民票の除票とは
引っ越しや死亡で住民登録が消された住民票を「除票」といいます。住んでいる間は「住民票」、消されたあとは「除票」と呼び分けているだけで、書かれている内容の基本は住民票と同じです。
除票は一人分ずつ発行されます。家族分をまとめて請求しても、手数料は人数分かかります(柏市の案内)。
引っ越しの前に転出届を出すと、その時点で住民票は除票の扱いになり、コンビニ交付で取れなくなります(練馬区の案内)。引っ越し前に必要な住民票は、先に取っておくと安心です。
除票が必要になる主な場面
除票を求められるのは、おもに亡くなった方の手続きです。
- 相続登記:亡くなった方の最後の住所と、不動産の登記簿に載っている住所をつなぐために使います。法務局の案内では、本籍と筆頭者が載った除票(または戸籍の附票の除票)が必要とされています。登記簿上の住所と本籍が同じ場合は不要です。
- 公的年金の手続き:亡くなった方の除票を、相続や公的年金のために使う場合の案内を出している市区町村があります。
- 最後の住所や死亡日の確認:消された日と理由が載っているので、書類上の日付を確かめたいときにも使えます。
相続登記では「本籍・筆頭者が載ったもの」と指定されます。除票は、請求のときに申し出ないと本籍が省略されることがあるため、手続き先に何を載せるか確認してから請求してください。亡くなった方の最後の住所や本籍が分からないときは、亡くなった親の本籍がわからないときの調べ方が参考になります。
除票の取り方:窓口・郵送・オンライン
請求先は、除票になった住所があった市区町村です。亡くなった方なら、最後の住所地の役所になります。
広域交付は、住所地以外の窓口でも住民票を取れる制度ですが、除票は対象に入っていません。最後の住所地の役所まで行けないときは、郵送かオンラインを考えます。郵送の宛先は自治体で決まっています。名古屋市は証明書交付センターへ送る形で、別の窓口へ送ると転送されて遅れます。
除票を請求できる人と、求められるもの
亡くなった方の除票は、同じ世帯だった方でも、そのままでは請求できない市区町村があります。柏市では、第三者と同じく「自分の権利を行使するため」などの理由が必要です。相続人なら、相続のために必要であることを、戸籍などで示します。
窓口の本人確認書類は、マイナンバーカードや運転免許証のように写真付きの1点で足ります。健康保険の資格確認書などは、2点以上を求められることがあります(柏市の案内)。
保存期間は150年に。それ以前に消された除票は?
除票の保存期間は、以前は5年でした。2019年6月20日の法令改正で、消された日から150年に延びています(川崎市・柏市の案内)。総務省の通知にも、除票は「消除された日又は改製された日から150年間保存する」と書かれています。
延びたのは「これから」の分。廃棄済みは戻らない
改正の前に5年の保存期間が過ぎていた除票は、すでに廃棄されています。川崎市は「引き続き交付できない」と案内しています。どこまでさかのぼれるかは、廃棄の時期が市区町村で違うため、一律には言えません。
目安としては、2012年から2014年ごろより前に消された除票は、取れない可能性があります。該当しそうなときは、請求の前に窓口へ電話で聞くと、無駄足になりません。
除票が取れないときは、別の書類で代わりになる場合があります。住所のつながりを示したいなら、本籍地で取る戸籍の附票が候補です。くわしくは戸籍の附票の取り方に書きました。亡くなった方の戸籍をさかのぼる場合は、除籍謄本・改製原戸籍の取り方も合わせてご覧ください。手続き先には「除票が廃棄されていて取れない」と伝え、代わりに認められる書類を確認します。
手数料と、請求前の確認
除票の手数料は、練馬区と柏市で1通300円です。市区町村の条例で決まるため、金額は変わります。郵送では、手数料のほかに返信用の切手代がかかります。
請求の前に、次の4つを確認しておくと、取り直しを防げます。
- 除票になった住所は、どの市区町村か。引っ越しを重ねた人は、最後の住所地を確かめる。
- 手続き先は、本籍・筆頭者を載せた除票を求めているか。
- 請求するのは誰か。本人以外なら、委任状や相続人であることを示す書類が要る。
- 消された時期が、2012年から2014年ごろより前ではないか。
よくある質問
Q. 除票と住民票は、何が違いますか。
A. 住民登録が残っているものが住民票、転出や死亡で消されたものが除票です。書かれている項目はほぼ同じですが、除票には消された日と理由が載ります。
Q. 除票に本籍は載りますか。
A. ふつうは省略されます。必要なときは、窓口や請求書で「本籍・筆頭者の記載あり」と申し出ます(柏市の案内)。くわしい指定のしかたは住民票に本籍を載せる方法で説明しています。
Q. 兄弟が住んでいた家の除票を、私が取れますか。
A. 同じ世帯でなければ、本人以外の請求になります。委任状か、請求する正当な理由を示す書類が要ります。亡くなった方の場合は、相続人であることを戸籍などで示します。
Q. 本籍が分からなくても、除票は取れますか。
A. 取れます。除票は住所地で請求するので、本籍は要りません。本籍・筆頭者を載せて請求すれば、除票から本籍も分かります。
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- 住民票に本籍を載せる方法|「本籍・筆頭者の記載あり」の請求とコンビニ交付
- 筆頭者とは?意味と決まり方、亡くなったら変わるかと確認方法
- 本籍の調べ方・確認方法4つ
- 亡くなった親の本籍がわからないときの調べ方
- 戸籍の附票の取り方
参考にした公的情報
- 練馬区「住民票の除票の写し」
- 柏市「住民票の除票の写しの請求について」
- 名古屋市「住民票の写し等の郵送請求」
- 川崎市「住民票の除票の保存期間」
- 総務省「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」(令和8年3月30日)
- 東京ブロック管内法務局「相続登記の手続について(概要編)」
※本記事は2026年10月時点の法令・市区町村の公開情報にもとづく一般的な整理です。手数料・必要書類・所要日数・保存の線引きは市区町村により異なります。個別の判断は、手続き先や専門家にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
