高額介護合算療養費とは【2026年】医療と介護1年分の限度額・申請の流れ・亡くなった人の分

高額介護合算療養費とは【2026年】医療と介護1年分の限度額・申請の流れ・亡くなった人の分

父の入院費が続いた年に、母も介護サービスを使い始めた。月ごとの上限で少し戻ってきたけれど、1年分を足すとかなりの額になる。そんな世帯のために、医療と介護の1年分の負担にもう一度上限をかける制度があります。「高額介護合算療養費」です。

この記事では、2026年10月時点の公的な案内をもとに、1年間の限度額、申請の流れ、案内が届く場合と届かない場合、亡くなった人の分の申請を整理します。

目次

先に結論:医療と介護の1年分を足して、限度額を超えた分が戻ります

この記事の結論

  1. 8月から翌年7月までの1年間に、同じ世帯で払った医療と介護の自己負担を足します。月ごとの高額療養費・高額介護サービス費で戻った分は差し引きます。
  2. 限度額は所得の区分で決まります。70歳以上で住民税がかかる「一般」の世帯なら年56万円です。超えた額が500円以下なら支給されません。
  3. 申請は毎年必要です。期限は基準日(7月31日)の翌日から2年。会社の健康保険の方や、途中で保険が変わった方は、先に「自己負担額証明書」をもらってから申請します。

月ごとの上限のしくみは、医療は高額療養費の申請方法、介護は高額介護サービス費の申請方法で扱っています。この記事は、その2つで戻ったあとに残る「1年分の負担」に絞ります。

高額介護合算療養費のしくみ:だれの、どの費用を足すか

市区町村によっては「高額医療・高額介護合算制度」とも呼びます。計算の期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までです。最後の日の7月31日を「基準日」といい、所得の区分は基準日に入っている医療保険の区分を使います(名古屋市)。

足せる人

足せるのは、同じ世帯で、同じ医療保険に入っている人どうしです。たとえば75歳以上の夫婦が2人とも後期高齢者医療に入っていれば、夫の医療費と妻の介護費を合わせられます。会社の健康保険なら、加入している本人と扶養に入っている家族です。

一方で、夫は後期高齢者医療、妻は国民健康保険というように医療保険が別だと、合わせられません。

足せる費用・足せない費用

  • 足せる:病院・薬局で払った医療保険の自己負担、介護保険サービスの1〜3割の自己負担。どちらも、月ごとの高額療養費・高額介護サービス費で戻った分を引いた額です。
  • 足せない:入院中の食事代、差額ベッド代、介護施設の食費・居住費(部屋代)、保険がきかない費用。
  • 70歳未満の人の医療費:病院ごと、医科・歯科ごと、入院・通院ごとに、1か月21,000円以上のものだけを足します(協会けんぽ)。70歳以上の人は、金額にかかわらず足せます。

また、医療か介護のどちらかの自己負担が0円の世帯は、対象になりません(協会けんぽ)。医療と介護の両方を使っていることが前提です。

1年間の限度額の早見表(所得区分ごと)

限度額は世帯ごと、1年間(8月〜翌年7月)の額です。70歳以上の区分は、後期高齢者医療と70〜74歳で共通です。

70歳以上の区分年間の限度額70歳未満の区分年間の限度額
現役並みIII(課税所得690万円以上)212万円ア(国保は所得901万円超、会社の健康保険は標準報酬月額83万円以上)212万円
現役並みII(課税所得380万円以上)141万円イ(所得600万円超901万円以下、標準報酬月額53万〜79万円)141万円
現役並みI(課税所得145万円以上)67万円ウ(所得210万円超600万円以下、標準報酬月額28万〜50万円)67万円
一般(住民税がかかる世帯)56万円エ(所得210万円以下、標準報酬月額26万円以下)60万円
住民税非課税の世帯(低所得II)31万円オ(住民税非課税の世帯)34万円
住民税非課税で所得が一定以下(低所得I)19万円
(介護サービスを使う人が世帯に複数いれば31万円)
――
※70歳未満の「所得」は、国民健康保険の保険料の計算に使う所得(旧ただし書き所得)です。出典:名古屋市「高額医療・高額介護合算制度」(2026年8月1日更新)、協会けんぽ「高額介護合算療養費」、世田谷区「高額介護合算療養費」(2026年7月31日更新)、横浜市「高額介護合算療養費(後期高齢者医療制度)」(2026年8月10日更新)。

月ごとの高額療養費の上限は、2026年8月診療分から見直されました(高額療養費2026年8月見直し)。一方、2026年7〜8月に更新された名古屋市・世田谷区・横浜市の案内では、高額介護合算療養費の年間の限度額は上の表のままです。この限度額が今後変わるかどうかは、2026年10月時点の公式の案内では確認できませんでした。

計算の例:75歳以上の夫婦の場合

2人とも後期高齢者医療に入っている、住民税がかかる「一般」の夫婦で考えます。8月から翌年7月までの1年間の自己負担は、次のとおりだったとします(月ごとの上限で戻った分を引いたあとの額)。

  • 夫の入院・通院の医療費の自己負担:30万円
  • 妻のデイサービスなど介護サービスの自己負担:35万円

合計は65万円です。一般の限度額56万円を引くと、9万円が戻ります。戻るお金は、医療と介護の自己負担の割合で分けて、医療保険と介護保険のそれぞれから支給されます(名古屋市)。この例なら、医療の側から約4万2千円、介護の側から約4万8千円です。

同じ夫婦でも、自己負担の合計が56万円以下なら戻りません。医療と介護の両方で負担が重なった年に関係する制度だと考えておくと、見落としが減ります。

申請先と流れ:加入している医療保険で変わります

申請先は、基準日(7月31日)に入っている医療保険です。介護保険の分も、医療保険の窓口でまとめて受け付けるのが基本です。ただし、どの書類を先にそろえるかは、加入している保険で違います。

加入している保険流れ(名古屋市の例)ひとこと
後期高齢者医療・国民健康保険(1年間ずっと同じ市)2月下旬に案内が届く→区役所の保険年金課か支所の区民福祉課に申請。介護保険の分も同時に受け付け名古屋市の国民健康保険は電子申請もできます
会社の健康保険(扶養の家族を含む)区役所の福祉課か支所の区民福祉課で、介護保険の「自己負担額証明書」をもらう→加入している健康保険に申請協会けんぽは、マイナンバーでの情報連携を希望すれば証明書の添付を省ける場合があります(紙の申請のみ)
1年の途中で保険や住所が変わった前に入っていた医療保険・介護保険の窓口で自己負担額証明書をもらう→基準日に入っている医療保険に申請75歳の誕生日で後期高齢者医療に移った年も、これにあたります
※名古屋市「高額医療・高額介護合算制度」(2026年8月1日更新)、協会けんぽ「高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」の案内をもとに整理(2026年10月時点)。窓口の名前は市区町村で違います。

75歳で国民健康保険などから後期高齢者医療に移る流れは、75歳になったら必要な手続きにまとめています。その年は、移る前の保険の分の証明書が要るかどうかを窓口で確かめておくと安心です。

申請に必要なものチェックリスト

  • □ 届いた案内・申請書(届いていれば)
  • □ 医療保険の資格確認書、または資格情報のお知らせ
  • □ 介護保険の被保険者証
  • □ 振込先の口座がわかる通帳やキャッシュカード
  • □ 窓口に出す人の本人確認書類
  • □ 保険が変わった方、会社の健康保険の方は、自己負担額証明書
  • □ 成年後見人が手続きするときは登記事項証明書(横浜市の例)

そろえるものは市区町村や加入先で少しずつ違います。届いた案内に書かれているものに合わせてください。

案内が届く場合・届かない場合と、期限

届く場合:基準日のあとの春ごろ

後期高齢者医療や国民健康保険で、1年間ずっと同じ市区町村にいた方は、対象になりそうなら案内が届くのが一般的です。時期は、名古屋市が2月下旬、港区(後期高齢者医療)が翌年の3月ごろ、横浜市(後期高齢者医療)が3月から7月の間に順に、と案内しています。月ごとの高額療養費と違い、1年分を集計してから送られるため、基準日から半年以上あとになります。

届かないことがある場合

  • 1年の途中で転入した、保険が変わった:役所が対象だとわからず、案内が送られないことがあります(横浜市、港区)。
  • 会社の健康保険に入っている:名古屋市の案内では、介護保険の証明書を自分でもらって申請する流れです。案内の有無は加入先で確かめます。
  • 医療か介護のどちらかしか使っていない年:そもそも対象外です。

案内が届かなくても、領収書を足して限度額を超えていそうなら、市区町村の医療保険の窓口に問い合わせます。横浜市は「まずは転入前の市町村の医療保険担当窓口と介護保険担当窓口に自己負担額証明書の発行を問い合わせる」よう案内しています。

期限は2年、申請は毎年

名古屋市と世田谷区は、基準日(7月31日)の翌日から2年としています。横浜市の後期高齢者医療は、案内が届いた日の翌日から2年です。数え方は加入先で違うので、届いた案内で確かめてください。

また、高額介護サービス費のように「初回だけ申請すれば、次からは自動」にはなりません。年度ごとに申請が必要です(横浜市)。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

亡くなった人の分を申請するとき

介護と入院が重なった最後の1年は、限度額を超えやすい時期です。本人が亡くなった後でも、相続人が申請できます。

  • 計算の期間:名古屋市の案内では、亡くなった日が基準日になります。その年の8月1日から亡くなった日までの分で計算します。
  • 期限:名古屋市では、亡くなった日の翌日から2年です。7月31日を待たずに数え始める点に気をつけます。
  • 申請する人:相続人です。名古屋市の国民健康保険の電子申請では、相続人も申請できるとしています。
  • 追加で要るもの:相続関係がわかる書類(名古屋市)、亡くなった方との続柄がわかる戸籍謄本など(協会けんぽ)、相続人の印かん(横浜市)。

板橋区(後期高齢者医療)は、申請の時点で本人が亡くなっている場合は申請の方法が異なると案内しています。案内を待つより、亡くなった方が住んでいた市区町村の医療保険の窓口に、早めに問い合わせるのが確実です。

亡くなった後に戻ってくるお金は、ほかにもあります。月ごとの医療費の払い戻しは高額療養費の申請方法の「亡くなった後も請求できます」で、手続きの流れを整理しています。

受け取り損ねやすい点

  • 月ごとの制度で戻ったから、もう終わりだと思う。合算は、その後に残った1年分の負担を見る別の制度です。
  • 毎年出すことを忘れる。前の年に申請していても、次の年も申請が要ります。
  • 75歳になった年に案内が来ない。保険が変わると、前の保険の分の証明書が必要になることがあります。
  • 介護施設の食費・部屋代も入ると思う。入りません。こちらは介護保険負担限度額認定で軽くできる場合があります。
  • 亡くなった人の分の期限を7月31日から数える。名古屋市では、亡くなった日の翌日から2年です。

今日できる一歩

病院・薬局の領収書と、介護サービスの請求書・領収書を、8月から翌年7月までの1年分ずつ1つの封筒にまとめておく。高額療養費や高額介護サービス費の支給決定のはがきも、同じ封筒に入れておく。

よくある質問

高額療養費や高額介護サービス費とは、何が違いますか

高額療養費は医療費の1か月の上限、高額介護サービス費は介護の1か月の上限です。高額介護合算療養費は、その2つで戻ったあとの負担を1年分足し、さらに上限をかけるしくみです。3つは別の制度で、それぞれ申請します。

戻るお金は、どこから振り込まれますか

医療と介護の自己負担の割合で分け、医療保険と介護保険のそれぞれから支給されます。名古屋市の案内では、国民健康保険は世帯主、会社の健康保険は加入している本人に支給されます。介護保険から出る分は「高額医療合算介護サービス費」という名前で通知されることがあります。

夫が後期高齢者医療、妻が国民健康保険です。合わせられますか

医療保険が別なので、合わせられません。それぞれの医療保険ごとに、その人の医療と介護の自己負担で計算します。

有料老人ホームに入っている親の分も対象ですか

介護保険のサービスの1〜3割の自己負担は対象です。家賃、管理費、食費、日常生活費は入りません。どの費用が介護保険の分かは、高額介護サービス費の記事の有料老人ホームの表で確かめられます。

医療費控除と一緒に使えますか

使えます。医療費控除の計算では、高額療養費などで戻ったお金を、払った医療費から差し引きます(国税庁No.1120)。合算療養費で戻った分の扱いも含め、個別の判断は税務署か税理士にご確認ください。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。計算例は前提を置いた当社の試算です。案内が届く時期、申請の窓口、必要なもの、期限の数え方は、加入している医療保険や市区町村によって異なります。実際の手続きは、加入先や市区町村の窓口でご確認ください。

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本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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