通夜や告別式の受付で、芳名帳や芳名カードを差し出されて、住所はどこまで書くのか、上司の代わりに来たときは誰の名前を書くのかで迷ったことはないでしょうか。反対に、親族や知人の葬儀で受付を頼まれ、芳名帳をどう扱えばいいか分からないという方もいると思います。
この記事では、葬儀の芳名帳(芳名カード)の書き方を、住所・氏名の基本、代理・夫婦・会社名・連名のとき、書き間違えたときの順に整理します。受付係の準備と管理、遺族が芳名帳を香典返しに使う理由もあわせて書きます。内容は2026年10月時点で公開されている葬祭会社・仏事の専門家の解説をもとにしています。式場や地域によって用紙ややり方が違うため、迷ったら受付でたずねて構いません。
先に結論:参列した本人の住所とフルネームを、省かずに書く
この記事の結論
- 基本:芳名帳には、住所とフルネームを書きます。遺族はこれをもとに、誰が来てくれたかを確かめ、香典返しやお礼状を送ります。
- 代理のとき:代わりを頼んだ人(上司や夫)の名前を書き、その隣に自分の名前と「(代)」、妻が夫の代わりなら「(内)」を添えます。
- 書き間違えたとき:二重線で消して横に書き直せば足ります。芳名カードなら、新しいカードをもらって書き直せます。
芳名帳と芳名カードの違い、書いてもらう理由
芳名帳(ほうめいちょう)は、葬儀に来た人が受付で名前と住所を書く帳面です。会葬者名簿とも呼ばれます。最近は、1冊のノートに順に書く形より、一人1枚ずつ書いて最後にまとめる「芳名カード(記帳カード)」が一般的になっているという解説もあります。芳名カードは受付の前で配られ、書いてから受付に渡す方式です。
遺族にとって、芳名帳は葬儀のあとに使う大切な記録です。公益社が監修したサライ.jpの解説では、芳名帳は香典返しをする際の貴重な情報になるとされています。参列へのお礼や会葬礼状を送るときにも使われます。住所が抜けていたり、名字だけだったりすると、遺族が後から調べる手間がかかります。
芳名帳の書き方の基本:住所・氏名
- 氏名はフルネームで。名字だけだと、同じ名字の人と区別がつきません。
- 住所は都道府県から。郵便番号の欄があれば書き、番地や建物名・部屋番号まで省かずに書きます。
- そのほかの欄。電話番号や故人との関係(会社関係・友人など)の欄があるときは、分かる範囲で埋めます。
- 丁寧に、読める字で。美しい字より、遺族が後で読み取れることが大切です。
用紙に「ご住所」「ご芳名」と印刷されているとき、自分に対する敬称の「ご」を二重線で消すことがあります。マイナビニュースの解説では、葬儀ではさりげなく二重線で消せばよいとされています。受付が混んでいるときは、そこに時間をかけるより、住所と名前を正しく書くことを優先します。
代理・夫婦・会社名・連名のときの書き方
芳名帳で迷いやすいのは、自分一人の参列ではないときです。場面ごとの書き方を表にしました。
「内」は妻が夫の代わりを務めたことを、「代」はそれ以外の人が代わりに来たことを示します。こう書いておくと、遺族は「〇〇さんが来られない中、代わりの方を寄こしてくれた」と分かります。お礼は、本来参列するはずだった人あてに送ることができます。
記入例
例1 上司の代理で参列したとき
住所:愛知県名古屋市〇〇区〇〇町1-2-3(上司が個人としての付き合いなら上司の自宅、会社としてなら会社の住所)氏名:山田太郎 佐藤一郎(代)
例2 妻が夫の代わりに参列したとき
住所:自宅の住所氏名:佐藤一郎 花子(内)
例3 会社の代表として参列したとき
住所:会社の住所氏名:株式会社〇〇 営業部 部長 佐藤一郎
例の住所や名前は書き方を示すためのものです。用紙に会社名の欄があれば、そちらに会社名を書きます。
連名で香典を出したときの記帳
芳名帳は、実際に来た人を確かめるための帳面です。連名で香典を出しても、記帳は参列した一人ひとりが自分の名前で書きます。連名の内訳(全員の名前・住所・金額)は、香典袋に入れた別の紙で伝えます。香典袋への名前の書き方は葬儀ののし袋(香典袋)の書き方にまとめています。
書き間違えたとき・記帳を忘れたとき
- 芳名帳(ノート)で書き間違えた:間違えた部分に二重線を引き、横に正しく書き直します。塗りつぶすと、どれが正しい字か分かりにくくなります。
- 芳名カードで書き間違えた:新しいカードをもらって書き直せます。書き損じたカードは受付に渡すか、持ち帰ります。他人の目に触れる場所に置いていかないようにします。
- 記帳せずに入ってしまった:気づいたときに受付へ戻り、「先ほど記帳を忘れました」と伝えて書けば大丈夫です。
- 通夜で記帳し、告別式にも来た:もう一度書いてもらうかは家によって違います。受付で「昨日も記帳しました」と伝え、案内に従います。
受付係を頼まれたら:芳名帳の準備と管理
親族や会社の同僚、近所の方が受付を手伝うことはよくあります。芳名帳と香典は、遺族があとで使う大切な記録とお金です。公益社監修のサライ.jpと、マナー講師・西出ひろ子氏監修の解説(meetsmore)をもとに、流れをまとめます。
芳名帳には、参列者の住所や名前が並びます。受付を離れるときは開いたままにせず、香典と一緒に必ず誰かが見ているようにします。途中で香典を別の場所へ移すときも、一人ではなく複数人で扱うと、あとで数が合わないときに確かめやすくなります。
受付でかける言葉の例
- 参列者を迎えるとき:「本日はお忙しいところ、ありがとうございます」
- 記帳をお願いするとき:「恐れ入りますが、こちらにお名前とご住所のご記入をお願いいたします」
- 香典を受け取るとき:「お預かりいたします」と両手で受け取る
お悔やみの言葉をかけられたら、黙礼で返しても失礼にはあたりません。受付は短いやりとりの繰り返しなので、言葉は少なくても丁寧に応じることを心がけます。
遺族が芳名帳を香典返しに使う理由と、整理の仕方
葬儀が終わると、遺族は芳名帳と香典袋を突き合わせて、「誰から、いくらいただいたか」の一覧を作ります。当日に返礼品を渡していない方や、多めにいただいた方には、四十九日の忌明けのころに香典返しを送ります。その宛先になるのが芳名帳の住所です。
- 芳名帳(カード)と香典袋を番号や名前で対応させる
- 名前・住所・金額・連名の内訳・当日の返礼品の有無を一覧にする
- 住所が欠けている人は、親族や勤め先に確かめて埋める
- 香典返しを送ったら、一覧に送った日と品物を書き足す
この一覧は、一周忌の案内や年末のあいさつなど、その後の付き合いでも役に立ちます。芳名帳そのものも、しばらくは捨てずに保管しておくと安心です。香典返しの金額の目安と挨拶状の例文は香典返しの相場と四十九日の挨拶状の例文にまとめています。供花をいただいた方の名前も、供花の名札を控えておくと一覧に加えられます。
今日できる一歩
- 参列するなら、自宅(会社としてなら会社)の郵便番号と住所をスマホのメモに入れておく
- 代理で行くなら、頼んだ人の正しい漢字と住所を聞いておく
- 受付を頼まれたら、芳名帳と香典を誰に渡すかを遺族に確かめておく
葬儀の芳名帳についてよくある質問
芳名帳は筆ペンで書かないといけませんか?
受付に用意された筆記具で書けば十分です。ボールペンが置かれていることも多く、読みやすい字で書くことのほうが大切です。
家族で参列したとき、全員が記帳しますか?
夫婦なら、夫のフルネームに続けて妻の名前を書く形が紹介されています。成人した子どもが別に香典を出す場合は、それぞれ記帳しておくと、遺族が内訳を取り違えません。
香典を辞退されていても記帳はしますか?
芳名帳は、誰が来てくれたかを遺族が確かめるためのものです。香典を辞退している葬儀でも、受付に芳名帳があれば記帳します。
住所を書くのに抵抗があります
住所は、香典返しやお礼状を送るために使われます。芳名カードの式場なら、ほかの参列者に見られることはありません。香典を渡さない場合でも、遺族があとであいさつ状を送ることがあるので、書いておくと親切です。
故人との関係を書く欄には何と書きますか?
「会社関係」「友人」「親族」「近所」など、遺族がどういうつながりの方か分かる言葉で書きます。故人ではなく遺族の知り合いとして来たときは、「〇〇さんの同僚」のように書くと伝わります。
受付係も芳名帳に記帳しますか?
受付係も参列者の一人です。香典を出すなら、受付が始まる前か終わったあとに、自分も記帳しておきます。迷ったら、遺族か世話役に確かめます。
参考にした情報
- Oggi.jp「通夜・葬式での記帳。書き方、気をつけたいポイントとマナー」(メモリアルアートの大野屋・川島敦郎氏監修)
https://oggi.jp/6789575 - All About「香典の包み方・渡し方」(葬儀ガイド・吉川美津子氏)
https://allabout.co.jp/gm/gc/4317/ - サライ.jp「葬儀の受付を頼まれたら|受付の仕事の流れと、挨拶やマナーなどを解説」(公益社監修)
https://serai.jp/living/1126665 - meetsmore「葬儀の受付は何をすればよい?仕事の流れや必要な準備などを解説」(西出ひろ子氏監修)
https://meetsmore.com/services/funeral/media/143962 - マイナビニュース「「ご芳名」とは?読み方や消し方など結婚式・葬儀でのマナーを解説」
https://news.mynavi.jp/article/20210825-1931284/
※本記事は2026年10月時点で公開されている解説をもとにした一般的な整理です。芳名帳の用紙や受付のやり方は、式場・地域・宗派によって異なります。迷うときは、受付や葬儀社にご確認ください。
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本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
