親が亡くなり、借金が多そうなので相続放棄を考えている。母の遺品から封をした遺言書が出てきた。こうした手続きの窓口が、名古屋市中区三の丸にある名古屋家庭裁判所です。
この記事では、名古屋家庭裁判所(本庁)の所在地・電話・受付時間と、本庁が受け持つ市町村を表にまとめます。相続放棄の書類と郵送のしかた、遺言書の検認と成年後見の申立ての費用も、2026年10月時点の裁判所の公式案内で整理します。
先に結論:行き先は「亡くなった人の住所」で決まります
この記事の結論
- どこへ:相続放棄と遺言書の検認は、亡くなった人の最後の住所で裁判所が決まります。名古屋市や春日井市などなら本庁、一宮市や岡崎市などなら支部です。
- 郵送できる:申立書は郵送でも出せます。本庁あての相続放棄は「家事受付センター」あてに送ります。
- 費用:相続放棄は1人につき収入印紙800円と、郵便切手550円分(110円×5枚)です。切手は2026年4月から額が変わっています。
名古屋家庭裁判所(本庁)の所在地・電話・受付時間
所在地は〒460-0001 愛知県名古屋市中区三の丸1-7-1です。地下鉄名城線「名古屋城(旧市役所)」駅から歩いて10分です。用件ごとに窓口と電話番号が分かれています。
出典:名古屋家庭裁判所「窓口一覧」(2026年10月確認)。
窓口での手続案内(どの申立てをすればよいかの説明)は、平日の午前9時〜11時45分と午後1時〜4時です。電話では受けていません。金曜は午後5時〜6時30分の夜間案内もあり、こちらは予約制です。申込みは、希望日の前々日の水曜までに家事受付センターへ電話か窓口でします。祝日と12月29日〜1月3日は除きます。
本庁が扱う市町村と、支部へ行く地域の早見表
名古屋家庭裁判所には本庁のほか、一宮・半田・岡崎・豊橋の4支部があります。相続放棄や検認では、手続きをする人ではなく、亡くなった人の最後の住所で行き先が決まります。
たとえば名古屋市に住む子が、一宮市で暮らしていた親の相続を放棄するなら、出す先は一宮支部です。最後の住所は、住民票の除票(亡くなった人の住民票)か戸籍の附票で確かめます。なお成年後見は、本人(支援を受ける人)の住所で決まります。
相続放棄の申述:必要書類・費用・郵送のしかた
相続放棄の申述(裁判所に「放棄します」と申し出ること)は、相続人が1人ずつ行います。未成年の子の分は、親などの法定代理人が代わりに出します。
必要書類チェックリスト
- □ 相続放棄の申述書(裁判所のホームページに書式と記載例があります)
- □ 亡くなった人の住民票除票、または戸籍の附票
- □ 放棄する人の戸籍謄本
- □ 配偶者・子が放棄する場合:亡くなった人の死亡が載った戸籍(除籍)謄本
- □ 親・兄弟姉妹が放棄する場合:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍など(先の順位の人が提出済みなら不要)
- □ 収入印紙800円分(1人につき)と郵便切手550円分(110円×5枚)
同じ書類は1通で足ります。戸籍が期限までにそろわないときは、あとから追加で出すこともできます。戸籍の束が多いときは、法定相続情報一覧図の取り方もあわせて確かめてください。
郵送で出す手順
- 出す先を確かめる。上の早見表で、亡くなった人の最後の住所から本庁か支部かを決めます。
- 戸籍などを取り寄せる。本籍地の役所で取ります。郵送での請求もできます。
- 申述書を書き、印紙を貼る。収入印紙と切手は裁判所では売っていません。郵便局などで買います。
- 送る。本庁あては「〒460-0001 名古屋市中区三の丸一丁目7番1号 名古屋家庭裁判所 家事受付センター」です。手元に控えのコピーを残します。
- 裁判所からの問い合わせに答える。書面での照会や聞き取りがあることがあります。名古屋家裁の案内では、結果が出るまでの目安は約1か月です。
相続放棄の流れと「してはいけないこと」は、相続放棄の期限3か月はいつから?で詳しく扱っています。
本庁だけの「即日審判」
本庁では、窓口に出したその日のうちに手続きを終える「即日審判」があります。支部ではしていません。使えるのは、配偶者か第1順位の相続人(子など)で、亡くなった日から3か月以内の申述などの条件を満たす場合です。受付は午前9時〜11時(正午ごろ交付)と、午前11時〜正午・午後1時〜2時(午後3時ごろ交付)です。3月21日〜4月4日、7月21日〜8月31日の午後、12月20日〜28日は行いません。印鑑(認印)と運転免許証などの身分証を持って行きます。
遺言書の検認と成年後見の申立て
遺言書の検認(家事受付センター)
検認は、自宅などで見つかった遺言書の状態を、裁判所で記録する手続きです。有効か無効かを決める手続きではありません。公正証書遺言と、法務局に預けた自筆の遺言は検認がいりません。申し立てるのは遺言書を預かっている人か、見つけた相続人です。封がしてある遺言書は、開けずにそのまま持って行きます。
必要なのは、申立書、遺言した人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍謄本などです。費用や当日の流れは遺言書の検認の手続きにまとめています。
成年後見の申立て(後見センター・予約制の面接)
本庁あての成年後見は、後見センターが窓口です。書類がそろったら、後見センター(052-223-2015)に電話し、「受理面接の予約」と伝えて面接日を決めます。申立書には予約日時を書いた予約票を付けます。名古屋家裁独自の書類として「鑑定連絡票」があり、診断書と一緒に出します。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
申立ての全体の流れと書類は、成年後見の申立ての手順をご覧ください。
手数料の早見表(収入印紙・郵便切手)
出典:名古屋家庭裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年4月1日~)」「成年後見等開始申立必要書類(チェックリスト)」、裁判所「相続の放棄の申述」「遺言書の検認」(2026年10月確認)。
期限と、損しやすい点
相続放棄は、自分が相続人になったと知った時から3か月以内です(民法915条・938条)。過ぎると原則として放棄できず、借金も含めて引き継ぐことになります。間に合わないときは、期限内に「期間の伸長」(期限を延ばす申立て)ができます。検認は「遅滞なく」とされ、日数の期限はありません。遺言書で手続きを進めるには、検認のあとに出る「検認済証明書」が必要です。
- 古い切手の額で送ってしまう。ネット上には「470円分(84円×5枚など)」という以前の額が残っています。今の額は550円分です。
- 自分の住所の裁判所に出してしまう。基準は亡くなった人の最後の住所です。
- 放棄の前に遺産を使ってしまう。預金を引き出して使う、家財を売るなどすると、放棄が認められないことがあります。
- 封のある遺言書を家で開けてしまう。家庭裁判所で相続人の立会いのもと開ける決まりです。
- 即日審判のつもりで支部へ行く。即日審判は本庁だけです。
ご家族の構成や財産で答えが変わるところは、30分の無料相談で、書類を見ながら一緒に整理できます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。
今日できる一歩
亡くなった人の最後の住所(市町村名)を紙に書き、この記事の早見表で本庁か支部かを確かめましょう。あわせて、亡くなったことを知った日をカレンダーに書き、3か月後の日付に印を付けておきます。
よくある質問
相続放棄は郵送だけで終わりますか
申述書は郵送で出せます。そのあと裁判所から書面の照会が届いたり、呼び出しがあったりすることがあります。届いた書類には期限内に答えます。
電話で書き方を教えてもらえますか
名古屋家裁の家事手続案内は、電話では受けていません。窓口へ行く必要があり、目安は1件20分ほどです。法律相談ではないため、どうするのが得かの助言は受けられません。
家族の分をまとめて1通で出せますか
相続放棄は1人ずつの申述で、収入印紙も1人800円です。同じ戸籍は1通で足りるので、同時に出すと書類の手間は減ります。
相続放棄が受理された証明書はもらえますか
受理した裁判所に申請します。手数料は1件150円分の収入印紙です。郵送のときは返信用の切手と、本人確認書類のコピーを入れます。
親が認知症で相続放棄の手続きができません
名古屋家裁の案内では、まず後見開始の申立てをして成年後見人を選びます。審判が確定した時から3か月以内に、後見人が放棄の手続きをします。
参考にした公的情報
- 名古屋家庭裁判所「窓口一覧」
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/saiban/vcmsFolder_687/vcms_687.html - 名古屋家庭裁判所「相続の放棄の申述」
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/saiban/souzoku1/index.html - 名古屋家庭裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年4月1日~)」
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/vc-files/nagoya-f/R8.4yuubinkitteoyobiyonoukinichiran.pdf - 名古屋家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/saiban/seinenkouken/index.html - 名古屋家庭裁判所「家事手続案内」
https://www.courts.go.jp/nagoya-f/saiban/tetuzukiannai/index.html - 裁判所「相続の放棄の申述」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
※本記事は2026年10月時点の裁判所の公開情報をもとにした一般的な整理です。窓口・受付時間・郵便切手の額は変わることがあります。申し立てる前に、名古屋家庭裁判所の最新の案内か各窓口でご確認ください。地図・写真は裁判所のホームページでご覧ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
