遠くに住む親に、マイナンバーカードが必要になった。けれど親は外出がつらく、役所の窓口へ行けない。そんなとき、子が代わりに動けるのかを整理します。
カードの受け取りは、原則として本人が窓口へ行きます。行けない事情があるときに限り、代理人が受け取れます。この記事では、代理受け取りの条件と書類、施設に入っている親の場合、暗証番号を忘れたときの再設定を、2026年10月時点の公式な案内でまとめます。
先に結論:代理で受け取れるのは「行けない事情」があるときだけ
この記事の結論
- 受け取り:本人の来庁が原則です。病気・障害・入院・施設入所・75歳以上など、行けない事情があれば代理人が受け取れます。仕事が忙しいという理由は認められません。
- 暗証番号:忘れたら、住んでいる市区町村の窓口で再設定します。4種類すべてを直せるのは窓口だけです。
- 不安なとき:暗証番号の管理が心配な親には、暗証番号を決めない「顔認証マイナンバーカード」という選び方があります。
必要な書類や予約の有無は、市区町村ごとに少しずつ違います。この記事は名古屋市・横浜市・東京都中央区・神戸市などの案内を例にしています。親の住んでいる市区町村のページも、あわせて見てください。
代理で受け取れる人・受け取れない人の早見表
代理人が受け取れるのは、本人が「やむを得ない理由」で来庁できないと認められる場合です。親の状況ごとに見てみます。
75歳以上でも、親が元気で窓口へ行ける場合は、本人が行くのが基本です。「75歳以上だから代理で済む」とは限りません。
代理人が受け取る手順と必要書類
子など、本人が頼んだ人が代理人になる場合(任意代理人)の流れです。名古屋市と横浜市の案内がほぼ同じなので、それをもとにしています。
- 交付通知書(はがき)を用意する。カードができると、本人あてに届きます。なくした場合は、市区町村に再発行を相談します。
- 本人が通知書に書く。回答欄、委任状欄、暗証番号欄を、本人が記入します。暗証番号の部分には、目隠しシールを貼ります。
- 来庁できない理由を示す書類をそろえる。診断書、障害者手帳、介護保険の被保険者証などが例です。
- 窓口へ行く。予約が必要かどうかは、通知書か市区町村のページで確かめます。
- 窓口で暗証番号を設定し、受け取る。番号は事前に決めておくと、手続きがスムーズです。
持っていくもののチェックリスト
- □ 交付通知書(本人が記入し、暗証番号欄にシールを貼ったもの)
- □ 本人の本人確認書類(運転免許証など。組み合わせは自治体の案内に従う)
- □ 代理人の本人確認書類(顔写真つきを1点含める)
- □ 来庁できない理由を示す書類(原本)
- □ 通知カードや住基カード(持っている場合は返納)
- □ 更新や再発行のときは、今のマイナンバーカード
本人確認書類は、運転免許証のような顔写真つきの官公署の書類(A区分)と、健康保険の資格確認書などの書類(B・C区分)に分かれます。名古屋市では、代理人はA区分を2点、またはA区分1点とB・C区分1点を求めています。組み合わせは市区町村で違うため、通知書で確認してください。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
親が成年後見を受けている場合は、成年後見人が法定代理人として受け取ります。登記事項証明書などで資格を示す書類が必要です。認知症になる前に進めたい銀行の手続きは、認知症になる前の銀行手続きチェックリストにまとめています。
施設や病院にいる親の場合
入院中や施設に入っている親は、来庁できない理由がはっきりしています。ただ、顔写真つきの身分証を持たない人も多く、書類の組み合わせが変わります。
名古屋市では、顔写真証明書を本人確認に使う場合、来庁困難を示す別の書類は不要としています。同じ施設の親でも、市区町村によって書類が変わる例です。
そもそも申請の段階から、施設で手伝ってもらえる市区町村もあります。仙台市は、市内の福祉施設などを対象に出張申請の受け付けをしており、施設の担当者が電話で予約します(2025年8月29日更新)。申請から交付までは1〜2か月ほどで、送り先に施設を指定できます。お住まいの市区町村にも同じ仕組みがあるかは、窓口で聞いてみてください。
できあがったカードを、施設で預かってもらうのか、家族が持つのか。暗証番号をどう扱うのか。これは入所先の決まりによって違います。入所の前に、施設へ確かめておくと安心です。カードを持たない親の病院での受診は、資格確認書2026|75歳以上の親の保険証はどうなる?で整理しています。
暗証番号を忘れた・ロックされたとき
マイナンバーカードには、用途ごとに4種類の暗証番号があります。まちがえ続けると、ロックがかかります。
忘れたときの直し方は、場所によって範囲が違います。J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の案内をもとに並べました。
親が忘れたときは、4桁も英数字も覚えていないことが多いはずです。その場合、コンビニでは直せません。窓口での再設定になります。
親が窓口へ行けないとき
代理人が手続きする流れは、市区町村で少しずつ違います。神戸市と横浜市の案内では、次のとおり2回通います。
- 代理人が窓口へ行き、申請します。本人のカードと、代理人の身分証を持っていきます。
- 市区町村から、本人の自宅へ「照会書兼委任状」などの書類が郵送されます。
- 本人が書類に記入します。代理人が、書類とカードを持って窓口へ行きます。
- 新しい暗証番号が設定され、カードが返されます。
数日かかります。代理人が持つ身分証の数は、神戸市が2点(1点は顔写真つき)です。本人が15歳未満や成年被後見人のときの手順は、また別です。親の市区町村の案内で確かめてください。
暗証番号が心配なら「顔認証マイナンバーカード」
暗証番号の設定や管理に不安がある人は、暗証番号を設定しない「顔認証マイナンバーカード」を申請できます(デジタル庁)。名古屋市では、交付通知書の「いずれの暗証番号も設定しない」にチェックを入れます。
病院の受付で顔認証も暗証番号もうまくいかないときは、職員が写真を見て確かめる「目視モード」で受け付けてもらえます(デジタル庁)。受付の流れはマイナ保険証の使い方で書いています。
時間の目安と、間に合わなかったとき
ロックがかかったままだと、その暗証番号を使う手続きは止まります。急がなくてよい場面も多いのですが、通院が重なる親なら、早めに直しておくと安心です。電子証明書には、カード本体とは別の期限があります。くわしくはマイナンバーカードの更新はいつ?をご覧ください。
手間が増えやすい点
- 暗証番号欄にシールを貼り忘れる。横浜市は、シールがないと手続きできない場合があるとしています。
- 書類はコピーでなく原本。中央区は、原本の持参を求めています。
- 代理人が顔写真つきの身分証を持っていない。代理人になれず、窓口で受け取れません。
- 思い出そうと何度も入力する。4桁は3回でロックがかかります。覚えがあやふやなら、試さずに窓口へ行きます。
- 暗証番号を書いたメモをカードと一緒にしまう。落としたときに、両方が人の手に渡ります。
今日できる一歩
親のマイナンバーカードが家のどこにあるか、交付通知書が残っているかを確かめましょう。カードの有無が分かれば、次に動く先(受け取りか、暗証番号の再設定か)が決まります。
よくある質問
カードの申請は、どうすればいいですか
郵便で申請する場合は、申請書に顔写真を貼り、同封の封筒でポストに入れます。申請書は住民票の住所に簡易書留で届きます(J-LIS)。15歳未満や成年被後見人のときは、法定代理人が代理人欄に書きます。受け取りは別の手続きで、先ほどの条件が当てはまります。
委任状があれば、誰でも受け取れますか
委任状だけでは足りません。本人が来庁できない理由を示す書類と、代理人の本人確認書類もいります。委任状は、名古屋市では交付通知書の委任状欄を使えます。
コンビニで暗証番号を直せますか
署名用か利用者証明用の、どちらかの番号が分かるときだけ可能です。事前にスマホアプリで予約し、本人のカードを使います。両方を忘れていたり、4桁の住民基本台帳用などをロックしたりしたときは、窓口になります。
顔認証マイナンバーカードは、どう申し込みますか
名古屋市の例では、交付通知書の「いずれの暗証番号も設定しない」にチェックを入れます。ほかの市区町村では書き方が違う場合があります。使える場面が暗証番号つきのカードと同じかは、市区町村やデジタル庁の案内で確認してください。
わからないことは、どこに聞けばいいですか
デジタル庁のページは、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)を案内しています。名古屋市には、マイナンバーカード交付・名古屋市コールセンター(050-3612-8553、平日8時45分〜17時15分)があります。ほかの市区町村は、親の住民票がある自治体の窓口へ問い合わせます。
参考にした公的情報
- デジタル庁「マイナ保険証に関するよくある質問」
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card/ - J-LIS「マイナンバーカードの暗証番号がわかりません」
https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_pin3/ - 名古屋市「マイナンバーカードの代理人による受け取り」(2026年7月2日更新)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/todokede/1007874/1007875/1007880.html - 横浜市「マイナンバーカードの代理人による受け取り」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/mynumber/MNCard-Agent.html - 横浜市「マイナンバーカードの暗証番号」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/mynumber/MNCardPassword.html - 東京都中央区「マイナンバーカードの代理人による受け取り」
https://www.city.chuo.lg.jp/a0012/kurashi/touroku/mynumber/card/uketori/dairininnuketori.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。受け取りの条件、必要書類、暗証番号の再設定の方法は、市区町村によって異なります。神戸市・仙台市の案内も参考にしています。個別の手続きは、親の住民票がある市区町村の窓口へご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
