特養の申し込み方法【2026年】要介護3以上・特例入所・待機・費用の目安

ケアマネジャーから「そろそろ特養も考えておきましょう」と言われた。申し込みはどこへ行けばよいのか、要介護2でも入れるのか。そう迷う場面は、親が70代後半から80代になると増えてきます。

特別養護老人ホーム(特養)は、公的な介護保険の施設です。入れる人の条件と、申し込みの窓口は、国の決まりと市区町村の運用が重なって分かりにくくなっています。この記事では、2026年10月時点の公式な案内をもとに、条件・申込先・待機の実情・費用の目安を順に整理します。

目次

先に結論:申し込みは施設へ直接。入所の条件は原則要介護3以上です

この記事の結論

  1. 条件:新しく入るのは原則、要介護3以上の人です。要介護1・2は、在宅での生活が難しい事情があるときだけ「特例入所」で認められます。
  2. 申込先:入りたい特養へ直接申し込みます(静岡市、名古屋市の案内)。市役所が一括で受け付ける形ではありません。
  3. 待機と費用:要介護3以上の申込者は全国で20.6万人(2025年4月1日)。居住費と食費は、国の基準額で相部屋なら30日約7.4万円です。これに介護サービス費の自己負担などが加わります。

申し込みに締め切りはありません。ただ、入所の順番は申込順ではなく、介護の必要度で決まります。早く出せば有利、というしくみでもない点は、のちほど説明します。

特養に入れる人・入れない人

特養は、常に介護が必要な人が暮らす施設です。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、要支援1・2の人は利用できず、新しく入る要介護1・2の人は「やむを得ない理由がある場合を除き」利用できない、と説明されています。まず、早見表で確かめてください。

状態申し込めるかひとこと
要介護3・4・5申し込める原則の対象です。候補者に入ります
要介護1・2特例に当てはまれば可申込書に、在宅で暮らせない事情を書きます
要支援1・2利用できない在宅サービスなど別の道を探します
認定をまだ受けていない先に認定の申請を対象は認定を受けた人、と案内する市が多いです
すでに他の施設にいる人申し込める条件は同じです。住所の扱いは施設で確認します
※厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、静岡市、名古屋市の案内をもとに整理(2026年10月10日確認)。

要介護認定そのものの申請は、要介護認定の申請方法にまとめています。認定の結果が出るまでに日数がかかるので、特養を考え始めたら先に申請しておくと、次の手が打ちやすくなります。

要介護1・2の「特例入所」になる事情

特例入所は、「要介護3未満でも、在宅での生活が難しい」と認められる仕組みです。名古屋市の「優先入所指針」(令和6年版)と静岡市の案内では、次のような事情が挙がっています。市ごとに細かい書き方は違いますが、骨組みは同じです。

  • 認知症:日常生活に支障が出る症状や行動、意思疎通の難しさが、たびたび見られる。
  • 知的障害・精神障害など:同じように、日常生活に支障が出る様子がたびたび見られる。
  • 家族などによる深刻な虐待が疑われる:本人の心身の安全を守ることが難しい。
  • 家族の支えが期待できない:一人暮らしや、同居の家族が高齢・病弱で、しかも地域の介護サービスが足りない。

名古屋市の指針には、これらに準じる状態が重なっていて、総合的に在宅生活が難しい場合も加えられています。特例に当たるかどうかは、施設が申込書の内容を見て検討し、必要に応じて市の意見を聞いて決めます。本人や家族が「当てはまる」と決められるものではありません。

どの事情に当たりそうかは、ケアマネジャーに状況を話すと整理しやすくなります。日々の様子を書き出して持っていくと、申込書の「事情」の欄を埋めやすくなります。

申込先と手順:施設へ直接、書類を出して面接を受けます

静岡市は「入所申込みは、ご希望の施設へ直接お申し込みください」と案内しています。名古屋市の指針も、申し込みは各施設で定める入所申込書で行う、としています。窓口は市役所ではなく、入りたい施設です。

種類定員の目安申込みで気をつける点
広域型の特養30人以上他の市町村の施設にも申し込めます
地域密着型の特養30人未満施設のある市町村の被保険者が使うのが原則です。他の市町村の人は、その市町村に確認します
※定員は厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の解説。地域密着型の扱いは、市町村の案内(久喜市など)をもとにした一般的な整理です(2026年10月10日確認)。

親が実家のある市で暮らし、子が別の市に住んでいるときは、近くの施設に申し込みたい場合も多いでしょう。広域型なら申し込める施設が増えますが、地域密着型は条件が絞られます。気になる施設に電話で聞くのが早道です。

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申し込みまでの手順

  1. 要介護認定を受ける。認定の結果(要介護度)がないと、申込みの土台ができません。
  2. 入りたい施設を2〜3か所にしぼる。場所、部屋のタイプ(相部屋か個室か)、面会のしやすさで選びます。
  3. 施設に電話して、申込書を取り寄せる。見学を受け付けているかも、このとき聞きます。
  4. 申込書を書いて出す。要介護1・2の人は、特例に当たる事情をあわせて書きます。
  5. 施設の面接を受ける。名古屋市の指針では、施設は原則として本人と家族に会い、心身の状態や入所順位の決め方を説明するとされています。
  6. 状況が変わったら届け出る。要介護度や主な介護者が変わったときは、書面で届けるか、申し込み直します(名古屋市の指針)。

用意するもののチェックリスト

  • □ 介護保険の被保険者証(要介護度が分かるもの)
  • □ 施設の入所申込書(施設ごとの様式)
  • □ 病名、かかりつけ医、飲んでいる薬が分かるメモ
  • □ 今の介護の状況のメモ(誰が、1日に何時間、何をしているか)
  • □ 特例入所をのぞむ場合は、在宅で暮らせない事情を書いた資料
  • □ ケアマネジャーの連絡先(施設が意見を聞くことがあります)

必要な書類は市区町村と施設で違います。静岡市のページには書類の一覧がなく、施設か介護保険課に確認するよう案内されています。上の表は、持っていくとたいてい役に立つものです。

順番の決まり方と、待機の実情

特養の順番は、申し込んだ順ではありません。静岡市は、要介護度や介護者の状況などを点数にして、点数の高い人から入る仕組みだと説明しています。申込者が多くても、必要性が高いと判定されれば早く入れる場合があります。

名古屋市の指針では、点数にする項目は次のとおりです。

  • 要介護度、認知症の症状や行動の様子
  • 主な介護者の状況
  • ほかに介護が必要な人や、手伝ってくれる人の有無
  • 個別の事情(今の介護サービスの利用状況、介護の期間、介護による負担、住まいの環境など)

同点のときは、名古屋市の被保険者が先になります。決めるのは、施設の「入所検討委員会」です。少なくとも3か月に1度は開かれる決まりです。

全国の申込者数(国が公表している範囲)

厚生労働省は、都道府県の集計をもとに、特養の入所申込者数を公表しています。直近は2025年4月1日時点で、2025年12月25日に発表されました。

区分2025年4月1日前回(2022年4月1日)
要介護3以上の申込者20.6万人25.3万人
うち在宅の人8.6万人10.6万人
要介護1・2の申込者(特例の対象)1.8万人2.2万人
うち在宅の人0.9万人1.1万人
出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」(2025年12月25日公表)。2026年10月10日確認。

要介護3以上の申込者は、前回より4.7万人(18.4%)減りました。ただ、この数字は「いま困って待っている人の数」とは限りません。厚生労働省は、複数の施設への申し込みや、申し込み後の死亡を取り除くよう都道府県に依頼しています。それでも、長く名簿に残っている人が含まれるため、実際に入所が必要な人の数とは限らない、と注記しています。

「何か月待つか」「何年待つか」は、全国の平均として国が公表している数字を、この記事では確認できませんでした。待ち時間は、地域、施設、本人の状態で大きく変わります。知りたいときは、申し込む施設に「今の申込者数」と「入所までの目安」を聞くのが確実です。

費用の目安:居住費と食費の基準額

特養の毎月の支払いは、「介護サービス費の自己負担」「居住費」「食費」が中心です。ほかに、理美容代や日用品などの日常生活費がかかります。居住費と食費は、国が目安の額(基準費用額)を示していて、2026年8月から食費が1日1,545円になりました。

部屋のタイプ居住費(日額)食費(日額)居住費+食費(30日)
多床室(相部屋)915円1,545円約7.4万円
従来型個室1,231円1,545円約8.3万円
ユニット型個室的多床室1,728円1,545円約9.8万円
ユニット型個室2,066円1,545円約10.8万円
※実際の金額は施設と利用者の契約で決まります。出典:厚生労働省「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等」(介護保険最新情報Vol.1506、2026年5月29日)の基準費用額から計算(2026年10月10日確認)。

これに、介護サービス費の自己負担(1割・2割・3割)が加わります。金額は要介護度、部屋のタイプ、施設ごとの加算で変わります。実際の月額は、申し込む施設に見積もりを出してもらうのが確実です。

年金が少ないときの軽減(負担限度額認定)

世帯全員が住民税非課税で、預貯金が基準以下なら、居住費と食費の上限が下がります。市区町村の介護保険の窓口で申請します。相部屋での居住費+食費は、段階ごとに次のとおりです(2026年8月から)。

段階主な条件(世帯全員が住民税非課税)預貯金(夫婦)相部屋の居住費+食費(30日)
第2段階年金収入と所得の合計が82.65万円以下650万円以下(1,650万円以下)約2.5万円
第3段階①同じ合計が82.65万円超120万円以下550万円以下(1,550万円以下)約3.3万円
第3段階②同じ合計が120万円超500万円以下(1,500万円以下)約5.9万円
第4段階(軽減なし)上にあてはまらない―約7.4万円
※第1段階(生活保護、または老齢福祉年金を受けている人)は省略しています。「年金収入」には遺族年金・障害年金も含みます。出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1506から計算(2026年10月10日確認)。

施設の費用の内訳や、親のお金で何年払えるかの計算は、老人ホーム・介護施設の費用で詳しく扱っています。介護サービス費が月の上限を超えたときに戻るお金は、高額介護サービス費の申請方法をご覧ください。居住費・食費・日常生活費は、高額介護サービス費の対象外です。

期限と、損しやすい点

特養の申し込みに、決まった締め切りはありません。ただ、次の点を見落とすと、順番が回ってきたときに困ることがあります。

  • 申込書の内容が古いままになりがちです。要介護度や介護者が変わったのに届けていないと、実際の状態と点数が合わなくなります。
  • 申込書に「困っていること」を書かないと、点数に反映されにくくなります。介護の様子は、具体的に書いておきます。
  • 1か所だけに申し込むと、順番が回ってくる時期が読めません。複数の施設に申し込む人がいることは、厚生労働省の調査の注記にも出てきます。ただし、可否や数の制限は施設や市区町村で違うので、確認してください。
  • 入所の連絡に、すぐ返事ができない状況はよくあります。返事の期限や、辞退したときの扱いは施設で違います。申し込むときに聞いておくと、慌てません。
  • パンフレットの月額だけで判断すると、実際の請求が違うことがあります。加算や日常生活費が別になるためです。

入所までのあいだ、在宅でのサービスを増やす、ショートステイを使うなどの工夫もあります。選び方は担当のケアマネジャーが相談に乗ります。ショートステイの日数の上限と費用の目安は、ショートステイの費用と使い方で確かめられます。親を施設に任せることへの気持ちの整理は、親を施設に入れる罪悪感の記事もどうぞ。

今日できる一歩

  1. 親の住む市区町村の「特別養護老人ホーム」のページを開き、入所の案内(優先入所指針など)と施設の一覧を探す。

よくある質問

要介護認定を受けていなくても申し込めますか

静岡市は、対象を「要介護の認定を受けている方」と案内しています。認定がまだなら、先に市区町村の窓口で申請してください。申請の方法は、要介護認定の記事に書いています。

何か所まで申し込めますか

国の公表資料から、上限の数は確認できませんでした。複数の施設に申し込む人がいることは、厚生労働省の調査の注記から分かります。市区町村や施設の案内で、可否と制限を確かめてください。

遠くに住む親の分を、子が申し込めますか

申し込みを家族が行う例は一般的ですが、面接には本人と家族が同席する形が多いです。手順は施設で違うため、電話で聞いてください。地域密着型は、施設のある市町村の被保険者が対象になるのが原則です。

申し込んだあと、親の状態が変わったらどうしますか

名古屋市の指針では、要介護度や認知症の様子、主な介護者が変わったときは、書面で届けるか、申し込み直すことになっています。他の市でも同様の決まりがあることが多いので、申し込むときに施設へ確認してください。

入所まで何年待ちますか

全国の待ち時間として国が示している数字は、確認できませんでした。申込者数は国が公表していますが、順番は点数で決まるため、人数から待ち時間は読み取れません。申し込む施設に目安を聞いてください。

払えるか不安です。軽減はありますか

世帯全員が住民税非課税で、預貯金が基準以下なら、負担限度額認定で居住費と食費が下がります。申請先は、住んでいる市区町村の介護保険の窓口です。上の表で、段階ごとの目安を確かめてください。申請の手順と預貯金の基準は、負担限度額認定の申請方法にまとめています。

申し込み理由(入所を希望する理由)は、どう書けばよいですか

状況別の例文と、自治体の入所指針の評価項目に沿った書き方は、特養の申し込み理由の書き方と例文8つにまとめています。

理由の欄は、施設が入所の順番を決めるときの材料になります。名古屋市の指針で点数にする項目に沿って、「本人の状態」「介護している人の状況」「在宅で続けにくい事情」の3つを、事実で書くと伝わります。書き方の例は「夜中に2〜3回、トイレの介助が要る」「主に介護している長女は県外に住み、週1回しか来られない」のように、回数や頻度を入れる形です。「大変です」「困っています」だけでは、状態が伝わりにくくなります。要介護1・2で特例入所を望むときは、上で挙げた特例の事情のどれに当たるかも書き添えます。

ケアマネジャーには、何を相談すればよいですか

特養を考え始めた段階で、担当のケアマネジャーに伝えてかまいません。候補の施設のこと、申込書の理由の欄に何を書くか、入所までの在宅サービスをどう組むかを一緒に考えてもらえます。施設が入所を検討するときに、ケアマネジャーに様子を聞くこともあります。相談が進まないと感じるときは、ケアマネジャーの変更・選び方も参考にしてください。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。入所の条件、申込みの方法、必要書類、費用は、市区町村や施設によって異なります。ご自身の場合は、親が住む市区町村の介護保険の窓口、担当のケアマネジャー、各施設でご確認ください。介護や医療の判断は、専門職にご相談ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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