特養の申し込み理由の書き方と例文8つ【2026年】評価項目に沿って書く

特養の申し込み理由の書き方と例文8つ

特養の申込書の理由欄は、気持ちよりも事実を書く欄です。自治体の入所指針は、要介護度、認知症の様子、介護している人の状況、住まいなどを点数にして、入る順番を決めます。その項目に沿って「週に〇回」「夜〇時ごろ」と数字を入れて書くと、施設に暮らしの様子が伝わります。

申し込み全体の流れや費用は、特養の申し込み方法にまとめています。この記事では理由欄の書き方に絞り、名古屋市・神戸市・中野区の公式資料(2026年10月11日確認)をもとに整理します。

目次

先に結論:3つのことを、数字を入れて書きます

この記事の結論

  1. 何を書くか:「本人の状態」「介護している人の状況」「家で続けにくい事情」の3つです。入所指針が点数にする項目と重なります。
  2. どう書くか:回数・時刻・期間・距離を数字で書きます。「大変です」「限界です」だけでは、状況が伝わりにくくなります。
  3. 誰と仕上げるか:家族が下書きを作り、ケアマネジャーに記録と合っているか見てもらいます。事実と違う記載があると、入所できなくなります(名古屋市の案内)。

理由欄は何に使われるか:入所指針の評価項目の早見表

特養の順番は、申し込んだ順ではありません。施設が申込書の内容を点数にして、点数の高い人から入所を決めます。点数にする項目は、市区町村や都道府県が「入所指針」で決めています。

名古屋市の指針(令和6年版)は、まず要介護度と認知症の様子を点数にします。主な介護者の状況や、ほかに手伝う人がいるかも点数にします。さらに、在宅サービスの使い方、介護の期間、介護の負担、住まいなどの「個別事情」を、施設の入所検討委員会が点数にします。理由欄は、この個別事情を伝える大事な材料です。

見られる項目名古屋市神戸市中野区理由欄に書くこと
要介護度点数にする「本人の状況」で評価申込書に記入欄被保険者証のとおりに。理由欄では、何に介助が要るかを書きます
認知症の症状や行動点数にする認知症の日常生活自立度で評価徘徊・昼夜逆転などを選ぶ欄どんな行動が、1日や1週間に何回あるか
主な介護者の状況点数にする高齢・障害、就業・育児などを評価年齢、健康状態、働き方を選ぶ欄介護者の年齢、病気、働く日数、住む場所と距離
ほかに手伝う人点数にするほかの介護者の有無を評価「介護を手伝う方」の欄手伝える人がいるか、いるなら月に何回か
在宅サービスの使い方個別事情で点数にする在宅サービス利用率(過去3か月の平均)利用の有無、ケアプランの有無何を週に何回使っているか。限度額の何割か
介護の負担・家で続けにくい事情個別事情で点数にする「在宅介護の困難性」で評価心身の状況、医療的な処置の欄夜間の介助の回数、介護者の睡眠や体調
住まい個別事情で点数にする記入例では細目を確認できず立ち退き、2階以上でエレベーターなし、トイレや風呂の階段差や階段、退院・退所を求められているか
※出典:名古屋市「特別養護老人ホーム優先入所指針」(令和6年版)、神戸市「特別養護老人ホーム入所申込書・入所調査票(記入例)」、中野区「特別養護老人ホーム入所申込書・調査書の記入例」。2026年10月11日確認。配点や様式は自治体ごとに異なります。

配分の一例として、神戸市の調査票は「本人の状況」50点、「介護者の必要性」25点、「在宅介護の困難性」25点に分けています。本人の状態だけでなく、介護する側の事情も同じくらい見られる、ということです。親が住む市区町村の指針は、市のサイトで「特別養護老人ホーム 入所指針」と調べると見つかることが多いです。

書き方の型:3つの段落に、数字を入れる

理由欄は、次の順に3つの段落で書くと、読む人が項目ごとに拾いやすくなります。

  1. 本人の状態:要介護度と、介助が要る場面。認知症の行動があれば、その回数。
  2. 介護している人の状況:誰が、何歳で、どこに住み、どれだけ関われるか。病気や仕事も書きます。
  3. 家で続けにくい事情:使っているサービスと、それでも埋まらない時間。住まいの問題も。

数字の入れ方は、次のように言い換えるだけです。

あいまいな書き方数字を入れた書き方
夜中によく起きる夜〇時から朝〇時までに、トイレの介助が〇回ある
最近、物忘れがひどい〇月ごろから、火の消し忘れが週に〇回ある
子どもは遠くに住んでいる長女は〇県に住み、片道〇時間。来られるのは月に〇回
サービスはたくさん使っているデイサービス週〇回、訪問介護週〇回。限度額の〇割を使用
介護者も高齢で大変夫は〇歳。〇〇で月〇回通院し、要支援〇の認定あり

数字は、1〜2週間ほどメモを取ってから書くと正確になります。カレンダーに「夜のトイレ〇回」と書き込むだけでも十分です。

状況別の例文8つ(書き方の型)

ここに挙げるのは、実在の方の事例ではなく「書き方の型」です。〇の部分を、親の実際の様子に置き換えてください。当てはまらない文は削り、事実だけを残します。

1. 一人暮らしで、認知症が進んできた

本人は一人暮らしで、要介護〇です。〇月ごろから、鍋を火にかけたまま忘れることが週に〇回あります。夜〇時ごろに外へ出て、近所の方に送り届けてもらったことが、この〇か月で〇回ありました。長女は〇県に住み、来られるのは月に〇回です。訪問介護を週〇回使っていますが、夜の見守りはできていません。

2. 主に介護している人が高齢(老老介護)

主に介護しているのは〇歳の夫です。夫も〇〇で月に〇回通院し、要支援〇の認定を受けています。本人は立ち上がりに介助が要り、1日に〇回、夫が体を支えてトイレへ連れて行きます。この〇か月で、介助中に夫が転んだことが〇回ありました。ほかに手伝える家族はいません。

3. 主に介護している人が病気になった

主に介護してきた長男が、〇月に〇〇の手術を受けました。医師からは、〇か月は重い物を持たないよう言われています。本人は入浴と移動に介助が要り、長男の代わりに介護できる人はいません。今はショートステイを月に〇日使って、しのいでいます。

4. 夜の介助が多い

夜〇時から朝〇時までに、トイレの介助が〇〜〇回あります。おむつを外してしまう夜は、着替えとシーツの交換が要ります。同居の長女は、夜に〇回以上起きる日が週に〇日あり、眠れるのは〇時間ほどです。長女は〇月から、〇〇で通院を始めました。

5. 在宅サービスを、ほぼ使い切っている

デイサービスを週〇回、訪問介護を週〇回、ショートステイを月に〇日使っています。介護保険の限度額の〇割ほどを使っており、これ以上は増やしにくい状況です。サービスのない夜と週末は、家族が一人で介護しています。

神戸市の調査票は、在宅サービスの利用率を「過去3か月の平均で、限度額に対して何割使ったか」で見ています。割合はケアマネジャーに聞くと分かります。

6. 介護している人が働いている

主に介護している次女は、週〇日、1日〇時間働いています。本人がデイサービスから帰る〇時から、次女が帰る〇時までの〇時間は、家に誰もいません。この時間に一人で外へ出たことが、この〇か月で〇回ありました。

中野区の記入例では、1か月に10日以上、かつ1日4時間以上働いていれば「働いている」に印を付けます。働く日数と時間は、はっきり書いておきます。

7. 介護している人が遠くに住んでいる

子は長男と長女の2人で、どちらも〇県に住んでいます。実家までは片道〇時間で、通えるのは月に〇回です。本人は一人暮らしで、食事は配食とヘルパーに頼っています。電話に出ない日が週に〇回あり、そのたびに近所の方に様子を見てもらっています。

8. 老健や病院から、退院・退所後の行き先がない

本人は〇年〇月から、介護老人保健施設(老健)に入所しています。施設からは、〇月ごろの退所を前提に相談するよう言われています。自宅は〇階でエレベーターがなく、トイレは〇階にあります。同居の家族はおらず、退所後に戻って暮らせる場所がありません。

神戸市の記入例では、老健や病院に入っている人には、在宅サービスの利用率の評価を当てはめません。その分、住まいの問題や、戻る先がない事情をはっきり書くことが大切です。

要介護1・2で「特例入所」を望むとき

要介護1・2の人は、家で暮らすのが難しい事情があるときだけ申し込めます。杉並区のサイトに載っている「特養以外での生活が困難な理由記入書」では、4つの要件から当てはまる番号を選び、具体的な理由を書きます。4つとは、認知症、知的障害・精神障害など、虐待、一人暮らしや老老介護でサービスも足りない場合です。

この記入書は、原則として家族以外の人が書く形です。ケアマネジャーや、本人をよく知る医療の専門職が書きます。また、使える在宅サービスを使っていない場合は当てはまらない、と注意書きがあります。

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書いてはいけないことと、仕上げの流れ

名古屋市の案内は、申込書に事実と違う記載があると入所できなくなる、としています。神戸市のように、認定調査票やサービス利用表の写しを添える地域もあります。書いた内容は、こうした記録と並べて読まれます。

  • 回数や症状を、実際より重く書く。面接や記録と合わないと、かえって信用を損ねます。
  • 決まっていないことを、決まったように書く。退院日や転居が未定なら「〇月ごろの見込み」と書きます。
  • 気持ちだけを書く。「かわいそう」「もう限界」だけでは、何に困っているかが伝わりません。気持ちを書くなら、事実の後に一文で添えます。
  • 使えるサービスを使っていないのに、困っていると書く。特例入所では、当てはまらないとされる場合があります。

ケアマネジャーと施設の相談員に見てもらう流れ

  1. 家族が下書きを作る。1〜2週間のメモをもとに、3つの段落で書きます。
  2. ケアマネジャーに見てもらう。サービスの回数や認定の内容と、書いた数字が合っているかを確かめます。
  3. 清書する。本人が書けないときは、ケアマネジャーなどが代わりに書けます。神戸市の記入例では、代わりに書いた人の名前を添えます。
  4. 施設の相談員に出し、面接で補う。名古屋市の指針では、施設は原則として本人と家族に会って状態を確かめます。書ききれなかったことは、そこで伝えます。
  5. 状況が変わったら届け出る。要介護度や主な介護者が変わったときは、書面で届けるか、申し込み直します(名古屋市の指針)。

ケアマネジャーに相談しても話が進まないと感じるときは、担当を見直す方法もあります。手順はケアマネジャーの変更・選び方で確かめられます。

申込書と一緒に出すもののチェックリスト

  • □ 入所申込書(施設ごとの様式。中野区は、複数の施設に出すときはコピーでよいとしています)
  • □ 介護保険被保険者証の写し
  • □ 認定調査票の写し(神戸市は、調査から3か月以内のもの)
  • □ 直近3か月分のサービス利用表の写し(神戸市)
  • □ 切手を貼った返信用封筒(中野区)
  • □ 障害者手帳などの写し(持っている場合)
  • □ 要介護1・2の場合は、特例入所の申出書や理由の記入書(名古屋市は「特例入所該当申出書」)
  • □ 理由欄の下書きのもとにした、介護の様子のメモ(面接で聞かれたときのために手元に)

必要な書類は、市区町村と施設で違います。申込書を取り寄せるときに、施設へ電話で確かめてください。

今日できる一歩

  1. 今日から1週間、夜のトイレの回数と時刻をカレンダーに書き込む。
  2. 介護保険被保険者証と、毎月届くサービス利用表を1つの封筒にまとめる。
  3. 親が住む市区町村のサイトで「特別養護老人ホーム 入所指針」を探し、点数にする項目を見ておく。

よくある質問

理由欄は、ケアマネジャーに書いてもらえますか

本人が書けないときは、ケアマネジャーなどが代わりに書く形があります(神戸市の記入例)。要介護1・2の特例入所の理由書は、原則として家族以外が書く様式もあります。ただ、家での様子をいちばん知っているのは家族です。家族が下書きを作り、ケアマネジャーに見てもらう形が進めやすいです。

複数の施設に申し込んでもよいですか

中野区は、複数の施設に申し込むときは申込書をコピーして、それぞれの施設に出すよう案内しています。神戸市の申込書には、ほかの施設への申込状況を書く欄があります。どこかに入所が決まったら、申し込んだすべての施設に連絡します。

理由欄に書ききれないときは、どうしますか

別紙を付けてよいかは、施設によって扱いが違います。申込書を出す前に、施設の相談員に聞いてください。欄の中には、3つの段落の要点を数字つきで書き、細かい様子は面接で伝える方法もあります。

出したあとで、理由を書き直せますか

状況が変わったときは、届け出ることになっています。名古屋市は、要介護度、認知症の様子、主な介護者などが変わったら、書面で届けるか申し込み直すよう定めています。届けないと点数に正しく反映されないことがあります。連絡がつかないままだと、申し込みを取り下げた扱いになることもあります。

理由欄の書き方だけで、順番が決まりますか

決まりません。名古屋市では、要介護度や介護者の状況などを決まった基準で点数にします。在宅サービスや住まいなどの個別事情は、施設の入所検討委員会が判断して点数にします。理由欄は、その判断の材料です。正しく伝われば、実際の必要性に見合った点数になりやすい、と考えてください。

参考にした公的情報

いずれも2026年10月11日に確認しました。

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。例文は書き方の型であり、実在の方の事例ではありません。入所の順番の決め方、申込書の様式、必要な書類は、市区町村や施設によって異なります。ご自身の場合は、親が住む市区町村の介護保険の窓口、担当のケアマネジャー、各施設でご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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