親の家や土地を相続したら、裏庭や裏山が竹やぶになっていた。誰も住んでいないので、何年も手を入れていない。隣の家から「竹がこちらに出ている」と言われた。そんな方に向けた記事です。
この記事では、竹やぶを放っておくと起きること、2023年4月に変わった越境した枝のルール、片付け方4つの比べ方、公表されている費用の例と見積もりで確かめること、竹林のある土地を国に引き取ってもらえるか(相続土地国庫帰属制度)を、法務省・林野庁・自治体の公式情報で確かめた範囲でまとめました(2026年10月時点)。
先に結論:竹やぶは「広さ・隣との境・この先どうするか」を決めてから頼み先を選ぶ
この記事の結論
- 竹は地下茎(土の中を横に伸びる茎)で広がります。放っておく年数が長いほど範囲が広がり、片付けの手間も費用も増えます。
- 隣の土地に枝が出ているなら、先に対応します。2023年4月の民法改正で、隣の人が条件つきで自分で枝を切れるようになりました。その費用を求められることもあります。
- 数本・狭い範囲なら自分や地元の業者、広い竹やぶ・斜面・電線や道路のそばは専門業者に。専門業者は2社以上から見積もりを取り、作業の中身をそろえて比べます。
- 手放したいなら、竹のある土地は国庫帰属が通りにくい点に注意。法務省は、定期的な伐採が必要な竹を「承認できない土地」の例に挙げています。
竹やぶは「そのうち何とかしよう」と思っているうちに、隣の家の庭や道路にまで広がっていきます。相続した土地の管理は、名義を誰にするか決まる前から、相続人みんなにかかわる話です。まずは今の状態を写真に撮り、どこまで竹が広がっているかを確かめるところから始めます。
竹やぶを放っておくと起きること
竹は密集して伸び、手入れをしない竹やぶでは、枯れた竹や傾いた竹が増えていきます。放っておくと、次のようなことが起こり得ます。
- 倒れた竹が人や物に当たる:台風や大雪のあとに竹が倒れ、道路をふさいだり、隣の家の屋根や車、電線にかかったりします。人にけがをさせたり物を壊したりすれば、土地の持ち主が損害賠償を求められることもあります。
- 隣の土地に入り込む:枝が境界を越えて伸びるほか、地下茎が隣の庭の下まで伸びて、隣の敷地にタケノコが出てくることがあります。近所づきあいのもめごとになりやすい点です。
- 空き家と一緒に「管理が足りない」と見られる:家が建っている土地なら、空き家の管理が悪いと市町村から指導や勧告を受けることがあります。勧告を受けると、固定資産税が軽くなる「住宅用地の特例」が外れます(2023年12月施行の改正空家法・国土交通省)。くわしくは空き家の管理方法と費用で整理しています。
- 売るときや手放すときの足かせになる:竹やぶのままの土地は、買い手が整備の費用を見込むため、値段が下がったり買い手が見つかりにくくなったりすることがあります。国に引き取ってもらう制度でも、竹が生えたままだと承認されない例に当たります(後の章で説明します)。
遺産分割が終わるまでは、竹やぶのある土地は相続人みんなの持ち物です。誰が見に行くか、費用をどう分けるかを、早めに相続人で決めておくと動きやすくなります。
越境した枝と根のルール:2023年4月の民法改正で何が変わったか
隣との境を越えた竹木(竹や木)の枝と根の扱いは、民法233条に定められています。2023年(令和5年)4月1日の改正で、枝についてのルールが変わりました。自分の竹やぶが隣に出ている場合と、隣の竹が自分の土地に出ている場合の両方にかかわります。
費用の扱いにも注意します。横浜市は、隣の人が自分で枝を切った場合の費用について、基本的には竹木の持ち主に請求できると考えられる、と案内しています。つまり、自分の竹やぶの枝が隣に出たまま放っておくと、隣の人に切られたうえで、その費用を求められることがあります。
反対に、隣の空き地の竹がこちらに出てきている場合は、まず持ち主に連絡して切ってもらうよう頼みます。持ち主が分からないときは、法務局で登記事項証明書を取ると、登記上の持ち主を確かめられます(登記事項証明書の取り方)。地下茎から出たタケノコの扱いなど、細かな線引きで話がこじれそうなときは、自治体の無料法律相談や弁護士に相談します。
竹やぶの片付け方4つの比較:自分・シルバー人材センター・自治体の支援・専門業者
自治体の支援は、ホームページに載っていないこともあります。竹やぶのある市町村の林務(森林)や農林の担当に、「放置竹林の整備に使える支援はあるか」「切った竹を出せる場所や方法はあるか」を電話で聞くのが早道です。
広い竹やぶや斜面は、無理に家族で片付けようとするとけがのもとです。専門業者に現地を見てもらい、見積もりを取ってから決めても遅くはありません。見積もりは、できれば2社以上から取ります。
費用の目安と、見積もりで確かめること
竹やぶの片付けには、国や自治体が示す「相場」はありません。ここでは、業者や見積もりサイトが公表している金額の例だけを挙げます。
見積もりは、金額だけでなく中身をそろえて比べます。次の点を聞いておくと、あとから「それは別料金です」と言われにくくなります。
裏山のように、市町村の「地域森林計画」の対象になっている森林では、木を切る前に届出がいります。林野庁によると、伐採を始める90日前から30日前までに、森林のある市町村の長へ「伐採及び伐採後の造林の届出書」を出します。届け出るのは森林の所有者や立木を買い受けた人などです。長野県は、対象の森林なら1本でも届出が必要と案内しています。竹やぶが対象の森林に入っているかは、市町村の林務担当で確かめます。業者任せにせず、持ち主として先に聞いておくと安心です。
竹林のある土地は、相続土地国庫帰属制度で手放せるか
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月27日に始まりました。審査手数料は土地1筆あたり14,000円、承認されたら負担金を納めます。負担金は基本20万円で、森林などは面積によって20万円を超えることがあります(法務省)。
森林も申請できます。ただし、竹やぶのある土地には大きな壁があります。法務省は「承認を受けることができない土地」の一つに「土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地」を挙げ、よくある質問でその例として次のものを示しています。
法務省のQ&A(8-6)が挙げる例の一つ
「放置すると周辺の土地に侵入するおそれや森林の公益的機能の発揮に支障を生じるおそれがあるために定期的な伐採を行う必要がある竹」
つまり、竹が生えて広がり続けている土地は、そのままでは承認されない例に当たります。一方で同じQ&Aは、樹木を切ったあと切り株が残っているだけなら、一般的には承認できない理由には当たらないと考えられる、としています(ただし土地の状況を見ないと確実な判断は難しい、とも書いています)。竹を切っても地下茎からまた生えてくる土地がどう判断されるかは、土地しだいです。申請を考えるなら、竹の整備にかかる費用と、負担金・手数料を合わせて見積もり、先に法務局の相談(予約制)で確かめます。
相続の前なら、相続放棄という道もあります。ただし放棄は竹やぶだけを選んで放棄することはできず、預金など他の財産も受け取れなくなります。放棄したあとの土地の管理の扱いは、相続放棄した空き家・土地はどうなる?で説明しています。
竹やぶのある実家を、この先どうするか
竹やぶの片付けは、一度やれば終わりではありません。地下茎が残るかぎり、手入れは続きます。片付けの費用に、毎年の固定資産税や見回りの手間を足して、「この先何年持つと、いくらかかるか」を書き出してみると、家族で話しやすくなります。
- 売る:竹やぶを整備してから売るか、そのまま買い取ってくれる先を探すかで、手取りが変わります。愛知県内の実家なら相続した実家を売る手順で、査定の頼み方と費用をまとめています。
- 持ち続けて管理する:家と庭をどう見ていくかは、空き家の管理方法と費用で、自分で通う・見回りを頼む方法を比べています。
- 手放す:国庫帰属は、竹の整備が先に必要になることがあります。整備の費用と負担金を合わせて考えます。愛知県内の土地の申請先と費用の計算例は相続土地国庫帰属制度 愛知で整理しています。
実家をどうするかは、残された親の住まいやお金の話と切り離せないことが多いものです。家族の考えを整理してから動きたい方は、30分の無料相談で、何から手をつけるかの順番を一緒に整理できます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。
今日できる一歩
- 竹やぶの全体と、隣との境のあたりを写真に撮る(隣や道路に出ている枝があるか)
- 固定資産税の納税通知書で、竹やぶの土地の地番と地目(山林・宅地など)を確かめる
- 市町村の林務・農林の担当に、伐採届が要るか、放置竹林の支援があるかを聞く
竹やぶの片付けについてよくある質問
隣の竹の枝がうちの庭に出ています。勝手に切ってもいいですか?
原則は、竹の持ち主に切ってもらうよう求めます。求めたのに相当の期間(基本的には2週間程度とされています)切ってもらえない、持ち主が分からない、すぐに切る必要がある、のどれかに当たれば、自分で切り取れます(民法233条3項)。越境してきた根は、自分で切り取れます。
竹を一度切れば、もう生えてきませんか?
地下茎が土の中に残るため、切ったあとも新しい竹が出てくることがあります。法務省も、定期的な伐採が必要な竹があることを前提に説明しています。見積もりのときに、根や地下茎の処理を含むか、その後の手入れをどうするかを聞いておきます。
遺産分割の前に、竹やぶを片付けてもいいですか?
遺産分割の前は、土地は相続人みんなの持ち物です。費用の分け方でもめないよう、相続人で話し合ってから頼むのが無難です。隣に出ている枝については、共有者の一人でも切り取れると民法に定められています(233条2項)。立て替えた費用は、誰がいくら払ったかを記録しておきます。
竹やぶを切るのに届出はいりますか?
市町村の地域森林計画の対象になっている森林なら、伐採の90日前から30日前までに市町村へ届出がいります(林野庁)。庭の一角の竹かどうか、対象の森林に入っているかは、市町村の林務担当で確かめます。道路にはみ出して作業するときは、道路の使用の許可がいることもあります。
竹林のある土地は、国に引き取ってもらえますか?
森林も申請はできます。ただ、定期的な伐採が必要な竹がある土地は、承認を受けられない例として法務省が挙げています。竹を整備してから申請するか、ほかの手放し方と比べるかを、法務局の相談で確かめてから決めます。
参考にした公的情報
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html - 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」(却下・不承認の要件、審査手数料)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html - 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するよくある質問」(6-9、8-6、8-7、9-2)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00459.html - 横浜市「越境した竹木の枝の切取りについて」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/kiritori.html - 目黒区「樹木の越境など近隣の空家等への対応」
https://www.city.meguro.tokyo.jp/juutaku/kurashi/sumai/zyumokunoekkyou.html - 杉並区「越境した竹木の枝の切除に関する規定について」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/s093/1849.html - 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html - 林野庁「伐採及び伐採後の造林の届出等の制度」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/todokede/batsuzoutodokede.html - 長野県「伐採及び伐採後の造林の届出制度」
https://www.pref.nagano.lg.jp/rinsei/sangyo/ringyo/shisaku/bassai-seido.html - 林野庁 広報誌「林野」2024年2月号(里山林・竹林の整備を支える交付金)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/kouhousitu/jouhoushi/attach/pdf/0602-4.pdf - 北九州市「放置竹林対策」
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/10900305.html - 三重県「シルバー人材センター」
https://www.pref.mie.lg.jp/oshigoto/09675012866.html - 竹林レスキュー隊 公式サイト(料金表)
https://chikurin-rescue.com/ - ミツモア「竹の駆除・伐採業者」
https://meetsmore.com/services/bamboo-logging
※本記事は2026年10月時点の法令と、法務省・林野庁・国土交通省・各自治体の公式情報、各社の公表料金をもとにした一般的な整理です。個別の土地が国庫帰属の要件を満たすかは法務局が審査します。隣地との争いなど法的な判断が必要なときは、弁護士にご相談ください。料金は業者・地域・竹やぶの状態で大きく変わるため、必ず現地での見積もりでご確認ください。
