秋が深まると、百貨店のお歳暮カタログが届きはじめます。今年、家族を見送った人は、「喪中だけれど、お世話になった人にお歳暮を贈ってよいのか」「年賀状が届いたらどうするのか」と迷うことでしょう。反対に、贈りたい相手の家が喪中だった、という人もいます。
この記事では、お歳暮を贈るとき・受け取るときの決めごと、年賀状が届いたときの返し方、初詣やおせちなど年末年始の過ごし方を、順に説明します。
この記事の結論
- お歳暮は感謝の贈り物で、お祝いごとではありません。喪中でも贈ってよいとされています。ただし、忌明け(仏式は四十九日、神式は五十日)の前は避けるのが一般的です。
- 贈るときは、紅白の水引やのしを避け、白無地の掛け紙か、のしなしにします。年を越したら「寒中御伺」「寒中御見舞」に書きかえます。
- 年賀状は出さず、届いたら松の内明けから立春までに寒中見舞いで返します。初詣・おせち・お年玉は、忌中かどうかで考え方が変わります。
先に整理:「忌中」と「喪中」は別のもの
喪中の話でよく混ざるのが、「忌中」と「喪中」です。忌中は喪中の最初の部分にあたり、特に慎む期間です。
自分が喪中のとき、お歳暮を贈ってもいい?
お歳暮は、1年のお世話への感謝を伝える贈り物です。お祝いごとではないため、喪中に贈っても失礼にはあたりません。ただし、忌中は避けたほうがよいとされるので、四十九日を過ぎてから贈るのが一般的です。
贈る時期は、12月初旬から25日ごろが標準です。関東は12月初旬から20日ごろ、関西は12月中旬から25日ごろが目安とされます(三越伊勢丹、JEEPEの解説)。四十九日が12月に重なるときは、忌明けを待って、年内に間に合う日に贈ります。年内に難しければ、年明けに「寒中御伺」として贈れば構いません。
のし・表書きはどうする?
のしは祝いごとの印のため、喪中は付けません。紅白の水引も避け、白無地の掛け紙にするか、のしなしにします。のしあわびの飾りも省くのが望ましいとされています。
相手が喪中のとき
喪中の家に贈るときも、四十九日を過ぎてからが一般的です。掛け紙は白無地かのしなしにして、落ち着いた包装を選びます。いたわりの一言を添えた短い手紙があると、気持ちが伝わります(高島屋)。
喪中はがきが届いた直後で、ご遺族の様子が分からないときは、今年は贈らず、年が明けてから寒中見舞いで気持ちを伝える方法もあります。相手の気持ちを第一に考える、で十分です。
自分が喪中で、お歳暮が届いたら
お歳暮は感謝の贈り物なので、喪中の家で受け取っても構いません。届いたら、早めに電話か礼状でお礼を伝えます。相手が不幸を知らないようなら、礼状に一言添えておくと、先方も戸惑いません。
亡くなった方あてにお歳暮が届くこともあります。その場合は、礼状に亡くなったこと、自分との続柄、いただいた品を仏前に供えたことを短く書きます(高島屋)。
礼状の文例(故人あてに届いた場合)
このたびは 亡き父 〇〇あてにご丁寧なお心遣いをいただき ありがとうございました父は本年九月に他界いたしました
いただいたお品は 仏前に供えさせていただきます
生前のご厚情に心より感謝申し上げます
年賀状は出さない。届いたら寒中見舞いで
喪中は、年賀状を出さないのが基本です。代わりに、11月中から12月上旬に喪中はがきを出して知らせます(書き方は、別の記事「喪中はがきはいつまでに出す?」で説明しています)。
寒中見舞いの時期は、松の内(1月7日まで。地域によっては15日まで)が明けてから、立春(2月4日ごろ)までです。「おめでとう」などの賀詞は書きません。文面は次のようにします。
寒中見舞いの文例(年賀状をいただいた人へ)
寒中お見舞い申し上げますご丁寧な年始状をいただきありがとうございました
昨年十月に母が他界し 喪中のため年始のご挨拶を控えさせていただきました
お知らせが遅れましたことをお詫び申し上げます
寒さ厳しき折 皆様のご健康をお祈り申し上げます
令和九年一月
寒中見舞いの文例(喪中の相手に年賀状を出してしまった場合)
寒中お見舞い申し上げます喪中とは存じませず 年始状を差し上げ失礼いたしました
謹んでお悔やみ申し上げます
厳しい寒さが続きます折 くれぐれもお体を大切にお過ごしください
令和九年一月
初詣・おせち・お年玉はどうする?
お歳暮と年賀状のほかにも、お正月の習わしで迷うことが出てきます。忌中のうちかどうかで、考え方が変わります。次の表は、解説で多く見られる一般的な考え方です。家や地域、宗派によって違うので、気になるときは家族や親族の年長者と相談してください。
「おせちを食べてはいけない」と決めつける必要はありません。祝いの席として華やかに用意するのではなく、普段の食事に近い形にする、という折り合いのつけ方があります。お年玉も、子どもががっかりしないよう、気持ちを渡す形に工夫する人がいます。
よくある質問
喪中の相手にお歳暮を贈るのは、失礼になりませんか
お歳暮は感謝の贈り物なので、失礼にはあたらないとされています。ただし、四十九日の前は避け、白無地の掛け紙で、落ち着いた包装にします。迷うときは、年明けの寒中見舞いにする方法もあります。
四十九日が年明けになりそうです。お歳暮はどうしますか
忌明けまでは贈るのを控え、年が明けてから「寒中御伺」で贈ります。立春を過ぎたら「余寒御伺」にします。
神社の初詣は、いつから行けますか
仏式の四十九日、神式の五十日が過ぎて忌明けしてからが目安です。喪中でも忌明け後なら問題ないとする考えが一般的です。うっかり忌中に参拝してしまっても、過度に心配する必要はないとされ、気になるときは神社の神職に相談できます。
孫にお年玉をあげても大丈夫ですか
お祝いとしてではなく、お小遣いとして渡せば問題は少ないとされています。「あけましておめでとう」と書かれていないポチ袋を選ぶ人もいます。
今日できる一歩
- お歳暮を贈る先を書き出し、「喪中の家」と「自分の忌明け日」に印をつけます。
- 喪中のお歳暮用に、白無地の掛け紙(またはのしなし)で頼めるか、お店に聞いておきます。
- 年明けの寒中見舞い用に、通常のはがきを数枚用意しておくと、慌てずに済みます。
参考にした情報
- 三越伊勢丹「お歳暮のマナー」https://www.mistore.jp/gifts/seibo/seibo_manner
- 高島屋「贈り物マナー(喪中・忌中のお歳暮)」https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/story/wintergift/628282/
- 三越伊勢丹「喪中はがきのマナー」https://www.mistore.jp/gifts/choji/mochu_message/
- JEEPE「お歳暮の基本ガイド」https://www.jeepe.jp/ja/articles/oseibo-basic-guide-1771
- Dime「喪中・忌中の期間と過ごし方」https://dime.jp/genre/1282599/
- HUGKUM「喪中のとき、初詣へ行ってもいい?」https://hugkum.sho.jp/177628
※本記事は2026年10月時点の、公開されている解説や案内にもとづく一般的な整理です。喪中の過ごし方に法律上の決まりはなく、地域・宗教・宗派・家ごとのならわしで異なります。迷うときは、親族の年長者や菩提寺・神社・教会にご確認ください。
