転んでから、親の足取りが急に弱くなった。入院をきっかけに、できないことが増えた。今の要介護度のままでは、ヘルパーの回数が足りない。そんなときに出てくるのが「区分変更」の申請です。
区分変更は、認定の有効期間の途中で、要介護度の見直しを求める手続きです。ただし、結果が重くなるとは限りません。要介護度が下がることや、結果が出るまでの負担が読みにくいことが、区分変更のデメリットです。この記事では、更新との違い、申請の流れ、軽くなる場合の扱いを、2026年10月時点の公的な案内で整理します。
先に結論:状態が変われば、期間の途中でも申請できます
この記事の結論
- いつ:区分変更は、有効期間の途中でも、状態が変わればいつでも申請できます。更新は、期間が終わる60日前から満了日までです。
- 結果:効力は申請日から始まり、通知は原則30日以内です。重くなるとは限らず、軽い区分になることも、変更なしで却下されることもあります。
- 先に:出す前に、ケアマネジャーへ状態の変化を伝えて相談します。結果が出る前にサービスを増やすなら、暫定のケアプランが要ります。
要介護認定の申請そのものは、要介護認定の申請方法にまとめています。この記事は、すでに認定を受けている人が、状態の変化で見直したいときの話に絞ります。
区分変更と更新は何が違う?対象になる人・ならない人
どちらも、すでにある認定への申請です。違いは、目的と出せる時期です。区分変更は「今の状態に合わせて見直したい」とき。更新は「期間が終わってもサービスを続けたい」ときです。
区分変更を出すかどうかは、状態が変わったかで決まります。サービスを増やしたいだけなら、別の方法が合う場合もあります。
たとえば、1か月の上限に余裕があるなら、ケアプランの見直しで足りることがあります。上限の表は、要介護認定の申請方法の記事で見られます。区分変更が合うかどうかは、担当のケアマネジャーが状態を見て一緒に考えてくれます。相談しにくいと感じるときは、ケアマネジャーの変更・選び方も参考になります。
有効期間・期限の一覧(2026年10月時点)
区分変更で認定されると、新しい有効期間が始まります。原則は6か月です。審査会の意見で、3か月から12か月の範囲で長くも短くもなります。
申請日が月の途中のときは、申請日からその月末までの日数が、上の月数に加わります(神戸市)。申請書類を取り寄せた日や、入手した日ではありません。窓口に出した日が申請日です。
申請の流れと、用意するもの
流れは、はじめての申請とほぼ同じです。ちがうのは、最初に「何が変わったか」を整理しておくことです。
- ケアマネジャーに相談する。担当がいないときは、地域包括支援センターに電話します。いつから、何ができなくなったかを伝えます。センターの探し方は地域包括支援センターとはにあります。
- 主治医に伝えておく。主治医意見書は、市区町村が医師に頼みます。変化を先に伝えておくと、意見書が書きやすくなります。
- 区分変更の申請書を出す。名古屋市では、区役所の福祉課か支所の区民福祉課の窓口です。様式は更新とは別にあります。
- 認定調査を受ける。調査員が自宅や施設を訪ねます。普段の様子を伝えられるよう、家族も同席すると安心です。
- 判定が行われる。コンピューターの一次判定のあと、介護認定審査会が二次判定をします。
- 通知が届く。申請から原則30日以内です。結果に合わせて、ケアプランを見直します。
申請のときの持ち物チェックリスト
- □ 区分変更の認定申請書(窓口か、市区町村のホームページで入手)
- □ 介護保険被保険者証(名古屋市は原本。要介護5からの区分変更は、電子申請でも原本の提出が必要)
- □ 40〜64歳の人は、医療保険の資格がわかるもの(資格確認書など)
- □ 主治医の氏名と医療機関名のメモ
- □ 状態の変化のメモ(いつから、何が難しくなったか、転倒や入院の日)
- □ 窓口へ行く人の本人確認書類
- □ 電子申請をするなら、マイナンバーカードと署名用電子証明書の暗証番号
名古屋市は電子申請にも対応しています。ただし、40〜64歳の人の新規と区分変更は電子申請の対象外です。必要なものは市区町村で違うので、出す前に窓口か市のホームページで確かめてください。
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介護保険の区分変更のデメリット:起こり得ること一覧
区分変更は、出せば必ず有利になる手続きではありません。要介護度が下がることもあり、結果が出るまでの負担も読みにくくなります。上がった場合でも、使った分の自己負担は増えます。主なものを表にまとめます。
| 起こり得ること | どういうことか | 先にできること |
|---|---|---|
| 要介護度が下がる・変わらない | 判定は調査と審査会で決まります。軽くなると1か月に使える上限が下がり、その扱いは申請日からです。変わらなければ却下になります。 | 状態の変化をメモにまとめ、出すかどうかをケアマネジャーと決める |
| 結果までは暫定のケアプランになる | 通知までは原則30日です。非該当や想定と違う介護度になると、自己負担が増えることがあります(江南市の資料)。 | 結果の前にサービスを増やす必要が本当にあるか話し合う |
| 支給限度額と自己負担が変わる | 上がると1か月の上限は増えます。ただ、使った分の1〜3割は払います。デイサービスや施設の介護サービス費は要介護度ごとに単価が決まり、重いほど高くなります。 | 増やしたいサービスと、月の負担の見込みをケアマネジャーに出してもらう |
| 施設に入る条件が変わる | 特養は原則要介護3以上(要介護1・2は特例入所)、老健や介護医療院は要介護1以上、グループホームは要支援2以上が対象です。 | 入所を考えているなら、結果が申込みにどう響くか先に確かめる |
| 有効期間が短くなる | 区分変更の認定は原則6か月(3〜12か月)です。更新の原則12か月より、次の手続きが早く来ます。 | 新しい通知の満了日を控えておく |
| 更新の結果が無効になることがある | 神戸市では、更新の結果が出たあとに残りの期間で変更申請をすると、更新の結果が無効になります。 | 出す時期を窓口に確かめる |
特に、特養への入所を考えている場合は、区分の結果で申込みの条件が変わります。条件や特例入所の考え方は特養の申し込み方法にまとめています。
結果が「軽くなる」「変わらない」とき
区分変更は、重くなる結果を保証する手続きではありません。調査と審査会の判定は、申請の理由とは別に行われます。そのため、重くなると思って出しても、変わらない、あるいは軽くなることがあります。
神戸市の案内では、結果によって次のように扱いが分かれます。
却下になると、変更は認められません。その後の扱いは市区町村の通知で示されます。通知に書かれた内容を確かめ、分からなければ窓口に聞いてください。
軽くなったときに起きること
- 認定の効力は申請日から始まります。結果が出る前に使ったサービスも、新しい区分で扱われます。
- 1か月に使える上限が下がります。上限を超えた分は、全額が自己負担です。
- 要介護から要支援になると、ケアプランを頼む先が変わります。要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所です(江南市の資料)。
- 区分によって、使えるサービスや市の制度の条件が変わることがあります。紙おむつの支給・助成のように、要介護認定を条件にする制度もあります。
結果に納得できないときは、区分変更とは別に、審査請求という手続きがあります。神戸市も、不服のときは変更申請ではなく審査請求の手続きと案内しています。期限は後ほどの表にまとめます。
結果が出る前にサービスを増やすなら「暫定ケアプラン」
通知までは、原則30日ほどかかります。その間に、サービスを増やしたい場面もあります。そのときに使うのが、暫定のケアプランです。江南市の資料では、区分変更の申請中にサービスを使う場合も対象としています。
- 見込みの介護度を決める。要介護の見込みなら居宅介護支援事業所、要支援の見込みなら地域包括支援センターが、暫定プランを作ります。
- 居宅届を市に出す。ただし、区分変更の前と同じ区分(要支援か要介護か)の見込みなら、居宅届は不要です。
- 暫定プランでサービスを使う。
- 結果が出たら、確定のプランに作り直す。
江南市の資料は、非該当や想定と違う介護度になると、自己負担が増えることがあると注意しています。結果が出る前にサービスを使う必要が本当にあるかを、ケアマネジャーと先に話し合っておきます。
期限・過ぎたらどうなる?損しやすい点
損をしやすいのは、次のような場面です。
- 重くなると決めて出す:結果は審査で決まります。軽くなっても、効力は申請日からです。
- 更新の結果が出たあとに、残りの期間で変更申請する:神戸市では、すでに出ていた更新認定の結果が無効になります。時期を窓口で確かめてから出します。
- 更新の受付期間に出す:神戸市では、変更なしの場合は満了日の翌日から原則12か月のみなし更新です。重度化の申請で要支援と判定されると、新規の認定として原則6か月になります。
- 調査の日だけ元気に見える:普段の様子を、家族がメモで伝えておくと、実態とずれにくくなります。
- 負担が重いまま放っておく:1か月の自己負担が上限を超えたときは、高額介護サービス費で戻る分があります。
今日できる一歩
親の介護保険被保険者証か認定通知で、今の要介護度と「有効期間が終わる日」を確かめて、手帳に書いておきます。区分変更にするか更新にするかは、その日付が分かると決めやすくなります。
よくある質問
区分変更の申請に、お金はかかりますか
主治医意見書の作成料を、申請した人が払うことはありません(厚生労働省)。お金がかかるのは、実際にサービスを使ったときです。結果が出る前に使った分は、結果によって負担が変わることがあります。
介護保険の区分変更に、デメリットはありますか
あります。重くなると思って出しても、変わらないことや軽くなることがあります。結果が出るまでの約30日は暫定のプランになり、想定と違う結果だと自己負担が増えることもあります。認定の有効期間も原則6か月と短めです。出す前に、ケアマネジャーと状態の変化を整理しておくと安心です。
離れて暮らす子が、親の分を申請できますか
申請は、親の住む市区町村の窓口に出します。家族が出せる市区町村が多く、ケアマネジャーや地域包括支援センターが手伝ってくれる場合もあります。委任状などの扱いは自治体で違うので、窓口に先に聞いてください。詳しくは要介護認定の申請方法にあります。
有効期間が近いときは、更新と区分変更のどちらですか
満了日の60日前からは、更新申請の受付期間です。この期間に出した変更申請は、神戸市では扱いが別になります。どちらで出すかは、状態の変わり方と日付を伝えて、窓口とケアマネジャーに相談して決めます。
結果に納得できないときは、もう一度区分変更を出せばいいですか
状態が変わったのなら、区分変更の申請ができます。判定そのものに不服があるなら、都道府県の介護保険審査会への審査請求です。期限は、処分を知った日の翌日から3か月以内が原則です(大阪府)。審査会は処分を取り消せますが、介護度を自分で変えることはできません。
電子申請でも区分変更は出せますか
名古屋市は電子申請に対応しています。マイナンバーカードなどが要ります。40〜64歳の人の新規と区分変更は対象外で、要介護5からの区分変更は被保険者証の原本の提出も必要です。ほかの市区町村は、ホームページで確かめてください。
介護認定の見直しをしたいときは、どの手続きですか
理由によって、手続きが3つに分かれます。期間の途中で状態が変わったなら、区分変更の申請です。有効期間が終わるのに合わせて見直すなら、満了日の60日前から出せる更新の申請です。判定そのものに納得できないなら、処分を知った日の翌日から3か月以内に、都道府県の介護保険審査会へ審査請求をします。どれに当たるか迷うときは、認定の通知と有効期間の日付を手元に置いて、ケアマネジャーか市区町村の窓口に相談してください。
参考にした公的情報
- 神戸市「区分変更申請について」
https://www.city.kobe.lg.jp/a46210/kenko/fukushi/carenet/nintei_guide/shinseidaikou_c03.html - 名古屋市「要介護認定等の申請」
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/koureisha/1016500/1011160/1011165.html - 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html - 厚生労働省「要介護認定に係る法令」(有効期間)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html - 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について(通知)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7605&dataType=1&pageNo=1 - 刈谷市「なるほど介護保険」(市民だより2018年11月1日号)
https://www.city.kariya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/672/20181101_08.pdf - 江南市「暫定プランの取扱いについて」(令和5年8月版)
https://www.city.konan.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/365/zantei_r5.8.pdf - 大阪府介護保険審査会「審査請求について」(2025年5月15日更新)
https://www.pref.osaka.lg.jp/kaigoshien/kaigo-sinsa/sinsaseikyu.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。区分変更の扱い(却下の範囲、更新の受付期間中の取り扱い、申請先、必要書類など)は市区町村で異なります。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。介護や医療の判断は、ケアマネジャーや医師にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
