ケアマネジャー(ケアマネ)は、利用者や家族の希望で変えられます。相談先は、今の事業所の管理者か、親が住む地域の地域包括支援センターです。手順は、新しい事業所と契約して、市区町村へ届出書を出す流れです。退職や事業所の廃止などで、事業所の側から担当を変更されたときは、新しい担当者と引き継ぎの中身を確かめるのが先です。
書類づくりは、新しい事業所が手伝ってくれることが多いです。自宅で暮らす方のケアプラン作成費は、自己負担がありません。「変えたいと言いにくい」と我慢している家族のために、伝え方の例、担当だけ替える場合と事業所ごと替える場合の違い、かかる日数の目安も、2026年10月時点の公的な案内で整理します。
先に結論:変更は自由。手続きは「届出書」1枚が中心です
この記事の結論
- 費用:自宅で暮らす方のケアプラン作成は、利用者負担がありません(厚生労働省の介護サービス情報公表システム)。ケアマネジャーを変えるだけの手数料も、今回確認した公的な資料にはありませんでした。
- 手順:新しい事業所と契約し、市区町村へ「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」を出します。書類づくりは新しい事業所が手伝ってくれることが多いです。
- 期限:藤沢市の例では、契約した月の末日までが原則です。届出が遅れると、サービス費をいったん全額自己負担する場合があります(墨田区の例)。
なお、要支援1・2の方は担当の窓口が違います。次の表で、まず自分の場合を確かめてください。
変えられる人・窓口が違う人の早見表
ケアマネジャーは、正式には「介護支援専門員」といいます。ケアプラン(介護サービスの計画)を作り、事業所との連絡をする人です。誰が担当するかは、要介護度で変わります。
要介護認定の申請から結果までの流れは、要介護認定の申請方法にまとめています。
担当だけ替えるか、事業所ごと替えるか
ケアマネを変える方法は2つあります。同じ事業所の中で担当者だけを替える方法と、事業所ごと替える方法です。手間も届出も違うので、先にどちらにするかを決めると進めやすくなります。
さいたま市は、新しい事業所が決まってから、今の事業所に連絡するよう案内しています。切り替える時期は、新旧の事業所と相談して決めます。今の事業所とは契約を終える手続きを、新しい事業所とは新しく契約する手続きをします。
言いにくいときの伝え方の例
伝え方に決まりはありません。次の例は「型」なので、〇の部分を実際の様子に置き換えて使ってください。理由は事実で短く言い、相手を責める言葉は入れないのがこつです。
今の事業所の管理者に、担当替えを頼む
いつもお世話になっています。〇〇(親の名前)の家族です。担当の〇〇さんとは、連絡の取り方がうまく合わず、〇月から折り返しまで〇日ほどかかることが続いています。事業所はこのままで、担当の方を替えていただくことはできますか。
事業所ごと替えることを、今のケアマネに伝える
これまでありがとうございました。家族で話し合い、〇月〇日から、自宅に近い別の事業所にお願いすることにしました。新しい事業所の〇〇さんから連絡が入ると思います。今のサービスの予定と、気をつけていることの引き継ぎをお願いできますか。
自分で言えないとき、地域包括支援センターに先に相談する
〇〇町に住む〇〇(親の名前)の家族です。今のケアマネジャーさんを替えたいと考えていますが、直接は言い出しにくい状況です。替えるときの流れと、近くの事業所の一覧を教えていただけますか。
新しい事業所に、初めて電話する
〇〇町に住む〇歳の母のことで、ケアマネジャーをお願いできないか相談したくてお電話しました。今は要介護〇で、デイサービスを週〇回使っています。今の事業所から替えたいと考えています。新しく受けていただける余裕はありますか。
- 理由は1つか2つに絞る。「連絡が〇日つかない」「説明が分かりにくい」など、事実を短く伝えます。
- 希望の日付を言う。「〇月1日から」と言うと、届出や引き継ぎの段取りが組みやすくなります。
- 続けたいサービスを伝える。今のデイサービスやヘルパーを続けたいなら、新旧どちらのケアマネにも伝えます。
- 本人の気持ちも確かめる。本人が今のケアマネを気に入っている場合もあるので、家族だけで決めないようにします。
費用は0円。ただし届出もれと今後の見直しには注意
ケアプランを作る費用は、自宅で暮らす方の場合、利用者の負担がありません。厚生労働省の介護サービス情報公表システムにも「利用者負担はありません」と書かれています。ケアマネジャーを変えても、この点は同じです。
自己負担が1割から3割のサービス費の上限については、高額介護サービス費の申請方法で扱っています。
ケアプランの費用の見直しについて
ケアプランの費用の扱いは、国で見直しが検討されてきました。この記事では、公式に確認できた現在の仕組みだけを書いています。今後の対象や開始時期は、市区町村の介護保険の窓口や厚生労働省の発表で確認してください。自己負担割合の話は、介護保険の2割負担拡大の記事で整理しています。
ケアマネジャーの探し方:5つの入り口
居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーが所属する事業所のことです。探す入り口は、次の5つがあります。
- 地域包括支援センター:親の住所地の担当センターに聞くと、地域の事業所を教えてもらえます。名古屋市では「いきいき支援センター」がこの役目です。詳しくは名古屋市のいきいき支援センターをご覧ください。
- 市区町村の窓口:介護保険の担当課で、事業所の一覧をもらえる自治体が多くあります。
- 介護サービス情報公表システム:厚生労働省の検索サイトです。所在地や営業時間、苦情対応の取り組みなどを見比べられます。年間の報酬が100万円以下の事業所は載っていないことがあります。
- 入院中の病院の相談員:退院が近いときは、病院の相談窓口でも事業所を紹介してもらえます。
- 今のケアマネジャーや友人の話:個人の感想は参考にとどめ、必ず自分で話して確かめます。
当社は、特定の事業所をお勧めしません。2〜3か所に連絡して、話しやすさで選ぶのが基本です。
選ぶときに見ておきたいこと
- □ 親の家まで通いやすい場所にあるか
- □ 電話をしたとき、折り返しの目安を教えてくれるか
- □ 家族の話も、本人の話も、最後まで聞いてくれるか
- □ 重要事項説明書(運営の決まりを書いた文書)を渡して、説明してくれるか
- □ 「複数の事業所を紹介してほしい」と頼んでよいと説明があるか
- □ 病院や訪問看護など、医療との連絡のしかたを聞けるか
事業所は、契約の前に運営規程の概要や苦情の受付体制などを文書で説明することになっています。利用者は、複数のサービス事業所の紹介を求めたり、選んだ理由の説明を求めたりできる、とも説明されます(運営基準を示す自治体資料)。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
変更の手順と、そろえるものチェックリスト
- 変えたい理由を、メモにする。「連絡が遅い」「説明が分かりにくい」など、事実を書いておくと伝わります。
- 相談する。今の事業所の管理者や苦情の窓口、地域包括支援センターに話せます。直接言いにくいときは、包括支援センターに先に聞いてもらう方法もあります。担当センターの探し方は地域包括支援センターとはにあります。
- 新しい事業所の候補に連絡し、会って話す。顔合わせをして、問題がなければ進めます。
- 新しい事業所と契約する。重要事項説明書を受け取り、内容に同意して契約します。
- 市区町村へ届出書を出す。要介護の方は「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」です。書類づくりは新しい事業所が手伝ってくれることが多いです。
- 今の事業所とサービス事業者に連絡する。変更の日付を伝え、引き継ぎを頼みます。川崎市も、変更時は担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ連絡するよう案内しています。
- 新しい被保険者証を受け取る。名古屋市では、区役所が新しい被保険者証を発行し、古いものは自分で処分します。藤沢市では、送られてくるまで手元に証がない期間があります。
届出に必要なもの(要介護の方)
- □ 居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書(市区町村の様式)
- □ 介護保険被保険者証(紛失したときの扱いは市区町村で違います)
- □ 新しい事業所の名前と、変更する日付が分かるもの
- □ 家族が出しに行くときは、窓口が求める本人確認の書類(市区町村に確認)
要支援の方は、様式の名前が「介護予防サービス計画作成・介護予防ケアマネジメント依頼(変更)届出書」になります。名古屋市のように、パソコンやスマートフォンから出せる市もあります。提出先は、お住まいの市区町村の介護保険の窓口です。
期限と、過ぎたらどうなるか
月初に変えたいときは、前月のうちに契約を進めておくと、日付がそろいやすくなります。藤沢市は、変更日が届出日より先の場合も、届出日が前の月の20日以降などの条件で受け付けています。
変更にかかる日数の目安
相談から切り替えまでの標準の日数は、今回確認した公的な資料にはありませんでした。決まっているのは、届出の期限や、月の区切りの扱いです。「翌月1日から替えたい」場合に、公的な決まりから逆算すると次のようになります。
担当者だけを替える場合は、事業所の中の調整で済みます。藤沢市の例のように届出が要らない扱いなら、届出の期限を気にせず進められます。届出の要否と日程は、管理者に聞いてください。
ケアマネを事業所の都合で変更されたとき:よくある理由と、家族がやること
事業所の側から「担当が替わります」「契約を終えたい」と言われることもあります。多くは事業所の中の事情で、利用者に落ち度があるとは限りません。慌てずに、新しい担当と切り替えの日を確かめることから始めます。
| よくある理由 | 契約はどうなるか | 家族が確かめること |
|---|---|---|
| 担当者の退職・異動・休職 | 同じ事業所なら、契約はそのまま続きます | 新しい担当者の名前と連絡先、引き継ぎの中身 |
| 事業所の廃止・休止 | 契約は終わり、別の事業所と契約し直します | 次の事業所の紹介や連絡調整をしてもらえるか、切り替えの日 |
| 事業所から契約の終了を言われた | 契約書の決まりに沿って終わります | 理由と、いつまで担当してもらえるか。次の事業所の紹介を頼めるか |
変更を告げられたら、家族がやること
- 新しい担当者(または新しい事業所)と、切り替わる日を確かめます。
- 今のサービスの予定、主治医、気をつけていることが引き継がれているかを聞きます。
- 事業所ごと変わる場合は、新しい事業所と契約し、市区町村へ変更の届出書を出します(上の「変更の手順」と同じです)。
- 次の事業所が見つからないときや、急に言われて困ったときは、地域包括支援センターか市区町村の介護保険の窓口に相談します。
ヘルパーやデイサービスの事業所とは、ケアマネとは別に契約しています。担当のケアマネが替わっても、続けたいサービスは新しい担当に伝えれば続けられることが多いです。サービスの種類ごとの違いは、デイサービスとデイケアの違いにまとめています。新しい担当と合わないと感じたら、この記事の手順で選び直すこともできます。
損をしやすい点と、困ったときの相談先
- 契約だけして、届出を忘れる。いちばん多い落とし穴です。新しい事業所に「届出はいつ出しますか」と聞いておきます。
- 古い事業所への連絡をしない。デイサービスなどの予定が、前のケアマネジャーのまま残ることがあります。
- 認定の更新中に変える。結果が出る前のサービスは「暫定ケアプラン」で動きます。結果が思ったより軽いと、費用の一部が自己負担になる可能性があります(藤沢市の資料)。
- 転居や区分変更の届出もれ。引っ越しや、要介護から要支援への変更でも、届出が要ることがあります。区分変更の流れは介護保険の区分変更申請にまとめています。
- 我慢して、相談しない。事業者との間で解決できないときは、市区町村の介護保険の窓口や、国民健康保険団体連合会(国保連)でも苦情を受け付けています。
今日できる一歩
- 親の担当地域の地域包括支援センターに電話し、「ケアマネジャーを変えたいときの流れを教えてください」と聞いてみる。
よくある質問
変えたいと言うと、嫌な顔をされませんか
変更は利用者の希望で進められます。言いにくいときは、地域包括支援センターや市区町村の窓口に先に相談できます。新しい事業所が決まってから伝える方も多いです。
何回まで変えられますか
回数の上限は、今回確認した公的な資料にはありませんでした。ただ、頻繁に変えると引き継ぎで親の負担が増えます。不満を整理して、1度で決めるのが無理のない進め方です。
要支援のとき、居宅介護支援事業所を選べますか
基本は地域包括支援センターの担当です。居宅介護支援事業所が、センターから委託を受けたり、市町村の指定を受けたりして担当する形もあります。どの形になるかは地域で違うため、センターに聞いてください。
同じ事業所の中で、担当者だけ替えられますか
事業所に申し出ます。藤沢市は同一事業所の担当者変更を軽微な変更の例としています。市区町村への届出が要るかは、事業所か窓口で確認してください。
遠くに住む家族だけで手続きできますか
電話で相談し、新しい事業所に事情を伝えることはできます。契約や届出書の記入には本人の事情の確認が要るため、窓口の求める書類は市区町村に確認してください。名古屋市のように電子申請ができる市もあります。
退職や事業所の閉鎖で、ケアマネジャーが変更されたときは
同じ事業所の中で担当者が替わるだけなら、事業所との契約はそのまま続きます。新しい担当者に、これまでの困りごとやサービスの予定が引き継がれているかを確かめておくと安心です。事業所そのものが廃止や休止をするときは、事業所は1か月前までに市に届け出て、続けて利用したい人のために、ほかの事業所との連絡調整をする決まりです(岡山市)。この場合は新しい事業所と契約し、市区町村へ変更の届出書を出します。新しい担当者と合わないと感じたら、上の手順で事業所を選び直すこともできます。
参考にした公的情報
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html - 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護事業所検索」の使い方
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/readme/ - 藤沢市「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出等マニュアル」(2024年9月改定)
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/documents/10344/kyotakutodokemanyuaru.pdf - 墨田区「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」の案内
https://www.city.sumida.lg.jp/online_service/sinsei/kaigo/kyotaku.files/kaigoyobou202404rei.pdf - 名古屋市 高齢福祉「居宅サービス計画作成・変更の届出」
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/koureisha/1016500/1011160/1011172.html - 川崎市「介護サービスの事業者を変更したい」
https://www.city.kawasaki.jp/templates/faq/350/0000013048.html - さいたま市FAQ「介護サービスの内容、事業者変更の手続きについて教えてください。」(2022年1月24日更新)
https://www.city.saitama.lg.jp/faq/001/002/003/p110234.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。届出の様式、期限、窓口は市区町村によって異なります。ご自身の場合は、お住まいの市区町村の介護保険の窓口や地域包括支援センターでご確認ください。介護や医療の判断は、ケアマネジャーや医師にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
