高額介護サービス費の申請方法【2026年】上限額の表・合算療養費・対象外の費用

高額介護サービス費の申請方法

親の介護サービスの請求書が、毎月届くようになった。デイサービスにショートステイが重なった月は、自己負担が4万円を超えている。そんなころ、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」と書かれた封筒が届くことがあります。

これは、払いすぎた介護の自己負担を戻してもらうための書類です。この記事では、1か月の上限額、申請の流れ、期限、対象にならない費用を、2026年10月時点の公的な案内で整理します。1年単位で医療費と合わせて戻る「高額介護合算療養費」もあわせて説明します。

この記事の結論

  1. いくら:介護保険サービスの1か月の自己負担には上限があります。住民税がかかる一般的な世帯なら、世帯で月44,400円。超えた分が戻ります。
  2. どこへ:申請先は住んでいる市区町村の介護保険の窓口です。対象になると申請書が郵送で届きます。初回だけ申請すれば、次からは自動で振り込まれる自治体が多くあります。
  3. いつまで:期限は2年です。過ぎると受け取れません。医療費と合わせて1年で見る「高額介護合算療養費」は別の制度で、毎年の申請が要ります。
目次

高額介護サービス費とは:1か月の自己負担に上限がある

介護保険のサービスを使うと、費用の1割から3割を自分で払います。この自己負担を1か月(1日から末日まで)ごとに合計し、上限を超えた分を介護保険から払い戻すのが、高額介護サービス費です。

上限は、所得に応じて決まります。「世帯」の上限は、同じ世帯で介護サービスを使った人全員の自己負担の合計に対してかかります。この世帯は、住民票の世帯のことです(柏市の案内)。夫婦そろってサービスを使っていれば、2人分を合わせて上限と比べます。

例を一つ挙げます。住民税がかかる一般的な世帯で、1割負担の母の自己負担が、ある月に6万円だったとします。上限は44,400円なので、差の15,600円が戻ります。窓口でいったん全額を払い、数か月後に口座へ振り込まれる流れです。

1か月の上限額の早見表(2026年8月から)

上限額は全国共通です。区分は次のとおりです。

区分1か月の上限額
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上)の65歳以上の人がいる世帯140,100円(世帯)
課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万〜1,160万円)の65歳以上の人がいる世帯93,000円(世帯)
住民税がかかる人がいる世帯(上の2つにあたらない場合)44,400円(世帯)
世帯の全員が住民税非課税24,600円(世帯)
世帯の全員が住民税非課税で、本人の年金収入等が82.65万円以下の人、老齢福祉年金を受けている人24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受けている人など15,000円(個人)
※「年金収入等」は、課税される年金の収入額と合計所得金額を合わせた額です。この基準は2026年7月までは80.9万円で、2026年8月から82.65万円に変わりました。出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会資料(2025年10月9日)、世田谷区の案内(2026年8月1日更新)。

「世帯」と「個人」が並んでいる区分は、本人は15,000円まで、世帯全体では24,600円まで、という意味です。いちばん多いのは、住民税がかかる世帯の44,400円です。上限額は、窓口の負担割合(1割・2割・3割)ではなく、世帯の住民税と所得の区分で決まります。2割負担の判定は、介護保険の2割負担の判定基準で説明しています。

対象になる人・ならない人、対象外の費用

介護に払ったお金がすべて上限の計算に入るわけではありません。ここで勘違いが起きやすいので、先に表で見ておきます。

対象になる対象にならない
要介護・要支援の認定を受け、介護保険のサービスを使っている人認定を受けておらず、介護保険外のサービスだけを使っている人
1か月の自己負担(1〜3割)の合計が、世帯または個人の上限を超えた人自己負担の合計が上限以下の人
訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設サービスなどの介護サービス費の自己負担施設の食費・居住費(部屋代)・日常生活費
要介護度ごとの支給限度額の範囲内で使った分支給限度額を超えて使い、全額自己負担になった分
介護予防・総合事業のサービスの自己負担(自治体の案内による)福祉用具の購入費、住宅改修費の自己負担
※出典:板橋区(2026年4月1日更新)、世田谷区(2026年8月1日更新)、横浜市(2026年10月8日更新)、文京区(2026年7月6日更新)の案内。

特に多い勘違いは、施設の食費と部屋代です。特別養護老人ホームなどでは、介護サービス費の自己負担とは別に、食費と居住費がかかります。この部分は高額介護サービス費では戻りません。

食費と居住費には、別の軽減のしくみがあります。所得と預貯金が一定以下の人は、市区町村に「負担限度額認定」を申請すると、食費と居住費の上限が下がります(厚生労働省)。こちらも申請しないと使えません。施設の月額の目安と合わせて、老人ホーム・介護施設の費用で説明しています。

福祉用具の購入や住宅改修も、高額介護サービス費の対象外です。こちらは、それぞれ別の申請で費用の一部が戻るしくみがあります。

申請の流れと必要書類

高額介護サービス費は、上限を超えた月があると、市区町村から申請書が届くのが一般的です。届くまでの期間は自治体で違い、利用した月からおおむね2か月後(港区、船橋市)、3か月後(世田谷区、板橋区)、4か月後(横浜市)などと案内されています。

  1. 介護サービスの利用料を、事業所や施設に払う。請求書と領収書は月ごとにとっておきます。
  2. 市区町村から「高額介護(介護予防)サービス費支給申請書」が届く。封筒の表書きは自治体で違うので、市区町村の介護保険の担当からの郵便は開けて確かめます。
  3. 申請書に、振込先の口座などを書く。家族が書くのを手伝ってもかまいません。
  4. 同封の封筒で返送するか、窓口に出す。横浜市や世田谷区のように、電子申請ができる自治体もあります。
  5. 指定した口座に振り込まれる。文京区は、申請を受けてから1〜3か月後としています。

2回目以降の扱いは自治体で違います。港区、船橋市、柏市、文京区は「初回だけ申請すれば、次からは申請不要で、初回に指定した口座に自動で振り込む」と案内しています。一方、案内に初回のみかどうかの記載がない自治体もあります。届いた申請書の説明で確かめてください。

申請の前に手元にそろえるもの

  • □ 届いた申請書(なくしたときは市区町村の介護保険の窓口へ)
  • □ 介護保険の被保険者証
  • □ 振込先の口座がわかる通帳やキャッシュカード
  • □ 窓口に出すときは、出しに行く人の本人確認書類
  • □ 本人以外の名義の口座にするとき、成年後見人が手続きするときなどは、案内に書かれた追加の書類

※求められる書類は自治体ごとに違います。必ず申請書の案内を見てください。

申請の期限は2年。過ぎたらどうなるか

高額介護サービス費は、2年で時効になります。2年を過ぎると、申請しても受け取れません(横浜市)。介護予防・総合事業の分は5年です(横浜市、世田谷区)。

いつから2年を数えるかは、案内によって書き方が違います。文京区は「利用者負担額を払った日の翌日から2年。申請書を送った場合は、届いた日の翌日から2年」としています。世田谷区は「申請書を送ってから2年以内に返送がないと支払えない」としています。ご自分の自治体の起算日は、申請書の案内で確かめてください。

気をつけたいのは、申請書が親の住所に届くことです。親が一人暮らしで、郵便物の整理が難しくなっていると、封筒が開けられないまま2年がたつことがあります。施設に入って実家が空いている場合も同じです。親の郵便物を、月に一度だけでも一緒に見る習慣をつけておくと安心です。

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1年で見る「高額介護合算療養費」

介護に加えて、通院や入院の医療費もかかっている世帯では、もう一つの制度があります。高額介護合算療養費(市区町村によっては「高額医療・高額介護合算療養費」)です。

毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に、同じ世帯で払った医療保険と介護保険の自己負担を合計します。その合計が年間の限度額を超えたら、超えた分が戻ります。超えた額が500円以下のときは支給されません。計算に使うのは、高額療養費や高額介護サービス費で戻った分を差し引いた、実際の負担額です。

合算できるのは、同じ世帯で、同じ医療保険に入っている人どうしです。たとえば75歳以上の夫婦が2人とも後期高齢者医療に入っていれば、夫の入院費と妻の介護費を合わせられます。

70歳以上の区分年間の限度額70歳未満の区分年間の限度額
現役並みⅢ(課税所得690万円以上)212万円ア212万円
現役並みⅡ(課税所得380万円以上)141万円イ141万円
現役並みⅠ(課税所得145万円以上)67万円ウ67万円
一般56万円エ60万円
住民税非課税(低所得Ⅱ)31万円オ(住民税非課税)34万円
住民税非課税で所得が一定以下(低所得Ⅰ)19万円※――
※低所得Ⅰで、世帯に介護サービスを使う人が複数いる場合は31万円です。70歳以上の表は後期高齢者医療と70〜74歳で共通です。70歳未満の区分ア〜オは、国保は所得、会社の健康保険は標準報酬月額で決まります。70歳未満の人の医療費は、1か月21,000円以上のものだけを合算します。出典:港区(国保 2026年5月25日更新)、堺市(後期高齢者医療 2026年6月25日更新)、協会けんぽの案内。

2026年8月から高額療養費(医療費の1か月の上限)の金額が見直されました。くわしくは高額療養費2026年8月見直しにまとめています。一方、2026年10月時点で確認できた公式の案内(港区・堺市・横浜市、2026年5〜8月更新)では、高額介護合算療養費の限度額は上の表のままです。

申請の流れは、加入している医療保険で違います。

  • 後期高齢者医療・国民健康保険の人:対象になりそうな世帯には、市区町村や広域連合から申請書が届きます。港区は計算期間が終わった翌年の3月ごろ、横浜市(後期高齢者医療)は3月から7月の間に順に送るとしています。
  • 会社の健康保険の人(家族の扶養に入っている人を含む):加入先に申請します。協会けんぽは「高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」を、都道府県支部に出す方式です。
  • 期間の途中で保険が変わった人:75歳になった、引っ越した、などで保険が変わると、申請書が届かないことがあります。前の医療保険と介護保険の窓口で「自己負担額証明書」を出してもらい、申請に添えます(港区、横浜市)。

高額介護サービス費と違い、合算療養費は毎年の申請が必要です(横浜市)。横浜市の案内では、時効は申請の案内が届いた日の翌日から2年です。

自動では振り込まれない:損しやすい4つの場面

  • 最初の申請書を出していない:2回目から自動になる自治体でも、最初の1回は申請しないと振り込まれません。届いた封筒を「請求書の一種」と思い込んで、しまい込んでしまうこともあります。
  • 申請書が届かないケースに気づかない:転入した、保険が変わった、などの場合は、役所が対象だとわからず申請書が送られないことがあります(横浜市、港区)。世田谷区は、戻る額が300円未満のときは申請書を送らないとしています。希望すれば申請できます。
  • 合算療養費を毎年出していない:介護の分が自動で戻るようになっても、合算療養費は年ごとに申請が要ります。入院と介護が重なった年は、春から夏に届く申請書を見落とさないようにします。
  • 親が亡くなった後に届いた申請書:払い戻しは数か月から1年以上あとになるため、亡くなった後に申請書が届くことがあります。高額介護合算療養費は、本人が亡くなっていても相続人が申請できます(横浜市の案内では相続人の印かんが必要)。高額介護サービス費の扱いは、市区町村の介護保険の窓口に確かめてください。

亡くなった後に戻ってくるお金は、亡くなった人の権利から出たものとして、相続の手続きのなかで扱われます。介護費の負担そのものが重く、家族で分担を考えたいときは、親の介護でお金がないときに使える公的制度と家族での分担も参考にしてください。

今日できる一歩
1. 親の介護サービスの請求書を月ごとに並べ、自己負担の合計が上限(多くの世帯は44,400円)を超えた月がないか見る。
2. 超えた月があるのに申請書が見当たらなければ、市区町村の介護保険の窓口に電話で聞く。
3. 病院や薬局の領収書も、8月から翌年7月までの1年分をまとめておく。

よくある質問

申請書が届かないのは、対象外ということですか

多くの場合は、上限を超えた月がないためです。ただし、転入や保険の変更があった人、戻る額が少ない人には届かないことがあります。請求書を見て上限を超えた月があるなら、市区町村の介護保険の窓口に問い合わせてください。

毎月、申請しないといけませんか

港区、船橋市、柏市、文京区などは、初回だけ申請すれば次からは自動で振り込むとしています。文京区は、2回目以降は3か月に1回まとめて振り込みます。扱いは自治体で違うので、最初に届いた申請書の案内を確かめてください。

施設の食費や部屋代は、高額介護サービス費で戻りますか

戻りません。食費・居住費・日常生活費は対象外です。所得と預貯金が一定以下の人は、市区町村に「負担限度額認定」を申請すると、食費と居住費の負担が軽くなります。

子どもが代わりに申請できますか

申請書の記入や郵送は、家族が手伝えます。振込先を本人以外の名義の口座にするときや、成年後見人が手続きするときは、追加の書類が求められることがあります(横浜市の高額介護合算療養費の案内の例)。申請書の案内に従ってください。

高額療養費とは何が違うのですか

高額療養費は医療費の1か月の上限、高額介護サービス費は介護の1か月の上限です。高額介護合算療養費は、その2つで戻った後の負担を1年分足して、さらに上限をかけるしくみです。医療と介護の両方で負担が大きい世帯ほど、合算療養費が関係します。


参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。申請書が届く時期、2回目以降の扱い、必要な書類、時効の数え方は市区町村や加入している医療保険によって異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村の介護保険の窓口や加入先の案内でご確認ください。そのほか、港区・船橋市・柏市・板橋区・横浜市(介護保険)・堺市の公式ページも参照しています。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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