生命保険には、相続時に活用できる「非課税枠」が設定されており、これを上手に活用することで相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。しかし、この非課税枠の仕組みや適用条件、そして申告が必要な場合の手続きについて、正確に理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、生命保険の非課税枠に関する基本的な知識や、適用条件、申告手順について詳しく解説します。また、非課税枠を最大限に活用するための具体的な方法や、注意すべきポイントについても紹介します。生命保険を使った相続税対策を効果的に進めるために、ぜひご一読ください。
この記事の結論(30秒まとめ)
生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の相続税非課税枠があり、受取人が法定相続人であればこの枠内の金額に相続税がかかりません。非課税枠を超えた場合は、超えた分についてのみ相続税の申告が必要です。非課税枠は受取人が法定相続人でない場合(内縁の妻・孫養子でない孫など)は適用されないため、契約時の受取人指定が重要です。まずはご自身が非課税枠をどれだけ使えるか・使い残しがないかを確認することが第一歩です。
「生命保険の非課税枠って結局いくらまでなのか」「自分の場合、申告は必要なのか」——制度の概要は聞いたことがあっても、自分のケースに当てはめて考えられていない方は少なくありません。実際には、非課税枠の計算式と適用条件を押さえれば、判断は難しくありません。だから、この記事では非課税枠の仕組みから、適用条件、超えた場合の申告手順、注意点まで、順を追って整理します。
1. 生命保険の非課税枠とは?その概要と仕組み
生命保険の非課税枠は、相続税対策において非常に有効なツールです。まずは、この非課税枠がどのような仕組みで成り立っているのか、その基本的な概要を理解することが重要です。
1-1. 非課税枠の基本的な考え方
生命保険の非課税枠とは、相続人が受け取る保険金のうち、一定額までは相続税の課税対象とならないというものです。具体的には、法定相続人1人あたり500万円が非課税枠として認められています。この枠内であれば、生命保険金に対して相続税が課されないため、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。
たとえば、法定相続人が3人いる場合、1500万円までは非課税となり、それを超える部分に対してのみ相続税が課されます。この非課税枠は、現金を受け取る生命保険金に適用されるため、相続時に非常に有効な手段となります。
1-2. 法定相続人と非課税枠の関係
非課税枠が適用されるかどうかは、法定相続人の数に直接関係しています。法定相続人とは、法律上、財産を相続する権利を持つ人々のことで、一般的には配偶者や子どもが含まれます。法定相続人の数が多いほど、非課税枠の総額が大きくなるため、相続税の負担が軽減されます。
例えば、配偶者と2人の子どもが法定相続人である場合、非課税枠は500万円×3人=1500万円です。これは、受け取る保険金が1500万円以内であれば、相続税が一切課されないことを意味します。
生命保険金の非課税枠の計算式
具体例:法定相続人が3人(配偶者+子ども2人)の場合
500万円 × 3人 = 1,500万円 まで非課税
※受取人が法定相続人の場合に適用されます。金額は目安であり、実際の取り扱いは個別にご確認ください。
一方、法定相続人以外の人物が保険金の受取人に指定されている場合、その保険金には非課税枠が適用されません。このため、受取人の選定は非常に重要であり、相続税の負担を最小限に抑えるためには、法定相続人を受取人に指定することが推奨されます。
1-3. 非課税枠の適用に関する注意点
非課税枠を適用する際には、いくつかの注意点があります。まず、非課税枠が適用されるのは、あくまで法定相続人が受け取る保険金に限られるため、受取人の設定が重要です。例えば、受取人が法定相続人でない場合、その保険金は全額が相続税の課税対象となります。
また、保険金の額が非課税枠を超える場合、その超過分に対して相続税が課されるため、保険金の額を調整することも考慮する必要があります。さらに、非課税枠の適用には法定相続人の確認が必要であり、相続手続きの際にこの点を誤解していると、後々トラブルが発生することもあります。
2. 非課税枠の適用条件と対象者
生命保険の非課税枠が適用されるためには、いくつかの条件が満たされている必要があります。ここでは、非課税枠の適用条件と対象者について詳しく解説します。
非課税枠が「適用される」ケース・「適用されない」ケース
○ 非課税枠が適用される
✓ 受取人が法定相続人(配偶者・子・親・兄弟姉妹など)
✓ 被相続人が契約者かつ被保険者だった生命保険
✓ 保険金が非課税枠(500万円×人数)の範囲内
× 非課税枠が適用されない
✕ 受取人が法定相続人以外(友人・内縁の配偶者など)=全額課税
✕ 契約者が被相続人以外(贈与税の対象となる場合)
✕ 相続放棄をした人が受け取った保険金
2-1. 非課税枠が適用される条件とは?
非課税枠が適用される条件として、まず重要なのは受取人が法定相続人であることです。法定相続人とは、法律で定められた相続権を持つ人物のことを指し、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが該当します。この法定相続人が受け取る生命保険金に対してのみ、非課税枠が適用されます。
また、非課税枠が適用される保険金は、あくまで被相続人が契約者であり、被保険者であった生命保険に限られます。例えば、契約者が別の人物である場合、その保険金は贈与税の対象となり、相続税の非課税枠が適用されない可能性があります。
さらに、受取人が法定相続人であっても、相続放棄をした場合は非課税枠が適用されなくなるため、相続手続きの中での判断が重要です。
2-2. 法定相続人以外の受取人に対する課税の仕組み
法定相続人以外の人物が生命保険金の受取人に指定されている場合、その保険金には非課税枠が適用されず、全額が相続税の課税対象となります。例えば、友人や内縁の配偶者、事業パートナーなどが受取人に指定されている場合、その受け取った保険金に対しては高額な相続税が課される可能性があります。
さらに、法定相続人以外の人物が受取人となる場合、遺留分侵害額請求を受けるリスクもあります。遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の相続分であり、これを侵害する形で保険金が支払われると、他の相続人から遺留分侵害額請求が行われる可能性が高まります。
このため、法定相続人以外を受取人に指定する際には、慎重な判断が必要です。特に、相続トラブルを避けるためには、専門家に相談し、最適な受取人設定を行うことが推奨されます。
遺留分侵害額請求への具体的な対応方法は、生命保険と相続に関する完全ガイドの「遺留分と保険金」の項で詳しく解説しています。
2-3. 非課税枠を効果的に活用する方法
非課税枠を最大限に活用するためには、受取人を法定相続人に指定し、保険金額を非課税枠内に抑えることが重要です。これにより、相続税の負担を大幅に軽減することができます。
例えば、法定相続人が3人いる場合、非課税枠は1500万円です。この範囲内で生命保険金を設定することで、相続税の課税を回避することが可能です。また、複数の生命保険契約を利用することで、非課税枠を効果的に活用し、相続財産を分散させることも考えられます。
さらに、保険契約を定期的に見直し、家族構成や資産状況の変化に応じて非課税枠を最適化することも重要です。これにより、相続時における税負担を最小限に抑え、家族が納得できる形での相続を実現することができます。
【当窓口の相談から】
ご相談者様は、複数の生命保険に加入していたお父様が亡くなり、それぞれの保険金を合算すると非課税枠を大きく超えていることに気づいていませんでした。保険会社ごとの受取通知だけを見て個別に「非課税だろう」と判断していたためです。すべての保険金を合算したうえで非課税枠(500万円×法定相続人の数)を再計算し、超過分の申告漏れを防ぐことができました。(当窓口に寄せられた相談をもとに再構成した典型例です)
3. 非課税枠を超えた場合の申告手順
生命保険金が非課税枠を超えた場合、その超過分に対して相続税が課税されるため、正確な申告が必要です。ここでは、非課税枠を超えた場合の申告手順について解説します。
3-1. 非課税枠を超えた生命保険金の扱い
非課税枠を超えた生命保険金は、相続財産として扱われ、その金額に応じて相続税が課されます。例えば、法定相続人が2人で非課税枠が1000万円である場合、受け取る保険金が2000万円を超えると、その超過分1000万円に対して相続税が課税されます。
計算例:非課税枠を超えた場合の課税対象
受け取る保険金
2,000万円
非課税枠(500万円×2人)
1,000万円
相続税の課税対象
1,000万円
法定相続人が2人の場合、非課税枠は1,000万円です。受け取る保険金が2,000万円のときは、枠を超えた1,000万円が相続税の課税対象となります。金額は目安です。
このようなケースでは、生命保険金の一部が課税対象となるため、相続税額を計算し、正確に申告する必要があります。また、保険金の受取人が法定相続人でない場合、その保険金全額が相続税の対象となるため、事前に税額を試算し、納税資金を確保しておくことが重要です。
3-2. 申告が必要な場合の具体的な手順
非課税枠を超えた生命保険金に対して相続税を申告する場合、以下の手順に従って進めることが求められます。
- 相続財産の総額を把握する: 生命保険金を含む全ての相続財産の総額を算出し、課税対象となる金額を確認します。
- 相続税額の計算: 非課税枠を超えた部分に対して、相続税率を適用し、相続税額を計算します。相続税率は、相続財産の総額に応じて異なるため、正確な計算が必要です。
- 税務署への申告: 相続税申告書を作成し、税務署に提出します。申告期限は、相続開始から10ヶ月以内であるため、期限を守って申告することが重要です。
相続税の申告は、専門的な知識を要するため、必要に応じて税理士などの専門家に相談しながら進めることが推奨されます。
3-3. 申告時の書類と必要な準備
相続税の申告時には、以下の書類を準備する必要があります。
- 相続税申告書: 相続税額を記載した申告書で、法定相続人全員の署名が必要です。
- 生命保険契約書: 保険金額や受取人、非課税枠の適用に関する情報を確認するために必要です。
- 相続財産一覧表: 生命保険金を含む全ての相続財産の一覧表を作成し、税務署に提出します。
- 戸籍謄本: 法定相続人を確認するために必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を用意します。
これらの書類を正確に準備し、申告期限内に提出することで、相続税の適正な申告が可能となります。また、申告内容に不備があると、後々のトラブルにつながる可能性があるため、慎重に進めることが求められます。
4. 非課税枠適用時の注意点
非課税枠の適用には、いくつかの注意点があります。これらの注意点を理解しておくことで、相続時にトラブルを回避し、スムーズな手続きを進めることができます。
4-1. 非課税枠の誤解とその影響
非課税枠について誤解が生じると、相続時に大きな問題となる可能性があります。特に、受取人が法定相続人であるかどうかが非課税枠の適用に直結するため、受取人の設定を誤ると、相続税の負担が予想以上に重くなることがあります。
また、非課税枠は生命保険金にのみ適用されるものであり、他の相続財産には適用されない点にも注意が必要です。例えば、不動産や株式などの相続財産に対しては、別途相続税が課税されるため、これらを含めた総額で相続税額を計算する必要があります。
このような誤解を防ぐためには、事前に相続税に関する正確な知識を身につけ、専門家と相談しながら非課税枠を効果的に活用することが重要です。
4-2. 受取人指定の変更が非課税枠に与える影響
生命保険の受取人を変更する場合、その影響が非課税枠に及ぶことがあります。例えば、法定相続人から法定相続人以外の人物に受取人を変更した場合、その保険金は非課税枠の対象外となり、全額が相続税の課税対象となります。
また、受取人の数が増減することで、非課税枠の総額が変動することにも注意が必要です。例えば、受取人が複数いる場合、それぞれの受取額に対して非課税枠が適用されるため、分配方法によって相続税額が異なることがあります。
このため、受取人の変更を行う際には、その影響を十分に理解し、相続税の負担がどのように変わるかを慎重に検討することが求められます。
4-3. 専門家に相談する際のポイント
相続税や非課税枠の適用に関しては、専門家に相談することが有効です。しかし、専門家に相談する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず、相談する専門家が相続税に精通していることが重要です。税理士や弁護士の中には、相続税に特化した知識を持つ専門家がいるため、そうした専門家を選ぶことで、より適切なアドバイスを受けることができます。
また、家族全員で相談に参加することも推奨されます。相続は家族全員に関わる問題であるため、全員が同じ情報を共有し、納得のいく形で進めることが重要です。専門家のアドバイスをもとに、非課税枠を最大限に活用し、スムーズな相続手続きを実現しましょう。
5. 非課税枠と生命保険の最適な活用方法
生命保険の非課税枠を効果的に活用することで、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。ここでは、非課税枠を最大限に活用するための具体的な方法について解説します。
5-1. 非課税枠を最大限に活用するための戦略
非課税枠を最大限に活用するためには、受取人を適切に指定し、保険金額を調整することが重要です。特に、法定相続人を受取人に指定することで、非課税枠の恩恵を最大限に受けることができます。
例えば、受取人が配偶者と2人の子どもである場合、非課税枠は1500万円です。この範囲内で保険金額を設定することで、相続税の課税を回避し、相続税負担を最小限に抑えることが可能です。また、複数の保険契約を活用することで、さらに多くの非課税枠を利用することも考えられます。
定期的に保険契約を見直し、家族構成や資産状況の変化に応じて非課税枠を最適化することが、相続税対策における重要な戦略となります。
5-2. 相続税を最小限に抑えるための保険の選び方
相続税を最小限に抑えるためには、生命保険の選び方も重要です。まず、非課税枠を活用できる保険商品を選ぶことが基本です。具体的には、終身保険や定期保険など、相続時に保険金が支払われるタイプの保険が適しています。
また、保険金額を非課税枠内に抑えることができる保険商品を選ぶことも有効です。例えば、契約者と被保険者が同一人物で、受取人が法定相続人である場合、その保険金額を非課税枠内に設定することで、相続税の課税を回避することができます。
さらに、保険料の支払い方法や契約内容を工夫することで、相続時における税負担を軽減することが可能です。専門家と相談しながら、最適な保険商品を選び、相続税対策を効果的に進めていきましょう。
5-3. 生命保険を活用した相続税対策の成功例
実際に、生命保険を活用した相続税対策の成功例も多くあります。例えば、ある家族では、父親が終身保険に加入し、法定相続人である子ども3人を受取人に指定しました。保険金額は合計で2000万円でしたが、非課税枠を活用することで、1500万円が非課税となり、残りの500万円に対してのみ相続税が課税されました。
この家族は、事前に税理士に相談し、非課税枠を最大限に活用することで、相続税の負担を大幅に軽減することができました。また、遺産分割時には、生命保険金が現金として受け取れるため、相続人全員が納得のいく形で遺産分割を行うことができました。
このように、生命保険を活用することで、相続税対策がスムーズに進み、家族全員が満足する結果を得ることができます。非課税枠を効果的に利用し、専門家と連携して相続税対策を進めることで、同様の成功を収めることができるでしょう。
祖母から孫へ財産を相続させる場合の注意点や具体的な手続きについては、祖母から孫への相続は可能?注意点と具体的な手続き方法で詳しく解説しています。
非課税枠を使える人・使えない人|「法定相続人の数」の数え方
非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。ここでつまずきやすいのは、枠の大きさを決める「人数」と、その枠を実際に使える「人」が別のものだという点です。この2つを取り違えると、計算した金額と実際の申告額が合わなくなります。
枠の大きさを決める「法定相続人の数」は、相続税法上の数え方によります。相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数に入れます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までが数に算入されます(特別養子縁組による養子や、配偶者の連れ子を養子にした場合などは実子として扱われます)。子が先に亡くなって代襲相続人となった孫も、実子として扱われます。
一方、非課税枠を使えるのは、死亡保険金を実際に受け取った「相続人」だけです。相続人でない人(代襲相続人ではない孫、内縁のパートナー、法人など)が受け取った保険金には非課税枠が適用されません。孫が受け取る場合は、相続税額の2割加算の対象になることもあります。
| そのケース | 「法定相続人の数」に入るか | 受け取った保険金に非課税枠を使えるか |
|---|---|---|
| 相続放棄をした子 | 入る | 使えない |
| 実子がいる家庭の養子(2人目以降) | 入らない | 相続人であれば使える |
| 代襲相続人になった孫 | 入る | 使える |
| 代襲相続人ではない孫 | 入らない | 使えない(2割加算の対象になることがある) |
| 内縁のパートナー | 入らない | 使えない |
相続放棄をしても保険金は受け取れる。ただし非課税枠は使えない
受取人が指定されている死亡保険金の請求権は、受取人が自分の固有の権利として取得するものであり、相続財産そのものではありません。したがって相続放棄をしても、受取人に指定されていれば保険金は受け取れます。負債のほうが多くて放棄せざるをえない場合でも、保険金は家族の手元に残せる、というのがこの仕組みの実務上の意味です。
ただし、非課税枠は「相続人が取得した死亡保険金」に適用されるものです。相続放棄をした人はその相続について初めから相続人でなかったものとみなされるため、放棄した人が受け取る保険金には非課税枠が適用されず、全額が相続税の課税対象になります。一方で、前項のとおり放棄した人も「法定相続人の数」には算入されるので、ほかの相続人が使える枠が減ることはありません。
相続放棄には、原則として相続の開始を知った時から3か月という期限があります。また、保険金以外の相続財産に手をつけると単純承認とみなされ、放棄できなくなることがあります。放棄を検討していて保険金の受け取りもある場合は、順番と期限のある話になりますので、早めに家庭裁判所または専門家の窓口でご確認ください。
非課税枠が使えない4つのケース
「保険金だから非課税枠が使える」と思っていたものが、実は対象外だったというケースがあります。よくあるのは次の4つです。
- 被相続人自身が受取人だった入院給付金・手術給付金など。亡くなった方が受け取るはずだった未収の給付金は、本来の相続財産として扱われ、死亡保険金の非課税枠の対象にはなりません。
- リビング・ニーズ特約などで生前に受け取った給付金の使い残し。受け取った時点では所得税がかからない取り扱いですが、使い切らずに残った分は現金・預金として相続財産に含まれます。非課税枠は使えません。
- 被相続人が保険料を負担し、被保険者が別の人だった契約。この場合、亡くなった時点の解約返戻金相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産になります。死亡保険金ではないため非課税枠の対象外です。親が子や孫にかけていた保険が、申告の段階で見つかることがあります。
- 相続人以外が受け取った死亡保険金。前項のとおりです。
相続税の申告と、所得税の確定申告は別の話です
「保険金を受け取ったら確定申告が必要ですか」というご質問をよくいただきます。答えは契約の形によって変わります。誰が保険料を払っていたか、誰にかけた保険か、誰が受け取るか。この3つの組み合わせで、かかる税金の種類そのものが変わるためです。
| 保険料を負担していた人 | 被保険者 | 受取人 | かかる税 | 非課税枠 |
|---|---|---|---|---|
| 父 | 父 | 子 | 相続税(みなし相続財産) | 使える(相続人が受け取った場合) |
| 子 | 父 | 子 | 所得税(一時所得) | 使えない |
| 母 | 父 | 子 | 贈与税 | 使えない |
相続税の対象になるのは1行目だけです。この場合、相続税の申告が必要になることはあっても、受け取った保険金について所得税の確定申告をする必要はありません。2行目(自分で保険料を払っていた契約で保険金を受け取った場合)は一時所得として所得税の対象になり、一般的な計算では「受け取った保険金 − 払い込んだ保険料 − 特別控除50万円」の2分の1を、ほかの所得と合わせて申告します。3行目は贈与税の対象です。
まず確認していただきたいのは、保険証券の「契約者」欄ではなく、実際に保険料を負担していたのが誰かです。契約者名義が子でも、口座から引き落とされていたのが親であれば、税務上は親が負担者と見られることがあります。ここが食い違っていると、想定していた税金と実際が変わります。
なお、申告が必要かどうかの最終的な判断と税額の計算は税理士の領域です。30分の無料相談でお伝えできるのは、契約形態を並べて「どの税の話になりそうか」「誰に相談すればよいか」を整理するところまでです。
枠を超えそうなとき、保険以外も並べて考える
非課税枠を計算して「超えそうだ」と分かったとき、本当の問題は税額そのものではなく、その税金を払う現金がどこにあるか、そして不動産に偏った財産をどう分けるかであることがほとんどです。この問題に対する手段は保険だけではありません。向き・不向きを並べると次のようになります。
| 手段 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 預貯金の取り分け | すぐできる。費用がかからない | 名義人が亡くなると口座が凍結される。認知症でも動かせなくなる |
| 生前贈与 | 時間をかけて少しずつ移せる | 年数が要る。相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算される取り扱いがある |
| 遺言 | 誰に何を渡すかを決められる | 分け方は決まるが、現金そのものは生まれない |
| 家族信託 | 判断能力が落ちた後も財産を動かせるようにしたい場合 | 設計と初期費用の負担がある。関与する家族の合意が要る |
| 任意後見 | 判断能力が落ちた後の生活・療養と財産管理を任せたい場合 | 納税資金をつくる手段ではない。効力が始まるのは判断能力が低下した後 |
| 生命保険 | 受取人を指定して、まとまった現金を早く渡したい場合 | 年齢と健康状態で入れる範囲が変わる。払った保険料の総額を下回ることもある |
どれか1つが正解になることは、まずありません。すでに入っている契約と、家族構成と、財産の中身によって、組み合わせ方が変わります。まずはお手元の保険証券を並べて、「いくら入っていて、誰が受け取ることになっているか」を書き出すところから始めてください。
こんな方は、無理に専門家へ相談する必要はありません
生命保険金の受取総額が非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超えない見込みで、受取人がすべて法定相続人になっている方は、無理に専門家へ相談する必要はありません。費用をかける必要はありません。そのうえで、複数の保険契約があり合算額を把握できていない場合や、非課税枠を超えそうな場合は、無料の整理面談でご一緒に確認できます。
セルフチェック|ご自身の場合を確認しておきたい5項目
- □ 加入している生命保険が複数あり、受取額を合算して確認したことがない
- □ 非課税枠(500万円×法定相続人の数)がいくらか、計算したことがない
- □ 受取人に法定相続人以外(内縁の妻・孫養子でない孫など)が含まれている
- □ 非課税枠を超えた場合の申告手順を把握していない
- □ 保険契約を定期的に見直したことがない
0〜1個:ご自身の状況を把握できている段階です。無理にご相談いただく必要はありません。判断に迷う点が1つでもあれば、30分の整理面談(無料)でご一緒に確認できます。
2〜3個:判断に必要な情報が不足している状態です。契約内容を整理面談(無料)で確認することをおすすめします。
4個以上:非課税枠の使い残しや申告漏れのリスクがある状況です。まずは無料の整理面談で全体像を確認することをおすすめします。
よくある質問
複数の保険に加入していますが、非課税枠は保険ごとに使えますか?
いいえ。非課税枠(500万円×法定相続人の数)は保険会社・契約ごとではなく、受け取った生命保険金の合計額に対して適用されます。すべての契約を合算して確認する必要があります。
まだ相続が発生していませんが、相談してもいいですか?
もちろんです。非課税枠の使い残しの確認や受取人指定の見直しは、生前のうちに準備できるほど選択肢が広がります。「そもそも非課税枠を使い切れているか、確認だけしたい」というご相談も歓迎しています。
相続税がかかるかどうか分からないのですが、それでも意味がありますか?
意味があります。無料の生前対策診断で、基礎控除・非課税枠の目安を確認できます。相続税がかからない場合でも、受取人指定の適切さは別途確認しておく価値があります。
費用をかけたくないのですが、相談してもいいですか?
ご相談自体は無料です。30分の整理面談では、ご自身でできる範囲と、専門家に依頼したほうがよい範囲を一緒に整理します。この段階で費用は発生しません。
あわせて読みたい
ご自身の非課税枠の目安や納税資金の備えを確認したい方は、無料で使える相続 生前対策診断をお試しください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の税額計算や保険商品の推奨を行うものではありません。保険のご相談は、全社を比較できる提携乗合代理店をご紹介します。ご紹介にあたり、当社が紹介料を受け取る場合があります。
勧められた保険は、契約前に第三者に見てもらえます
提案書(設計書)の写しをお持ちいただければ、①相続全体の設計から見て本当に必要かを、特定の保険会社に偏らない立場で確認し、②比較したほうがよい場合は、複数の保険会社を横断して比較できる提携の乗合代理店をご紹介します。オンラインで全国どこからでも、30分・無料です。契約を勧めることも、急かすこともありません。「いまは加入しなくて大丈夫です」という結論も、そのままお伝えします。
お手元にあるとより具体的に確認できるもの:提案書(設計書)の写し/すでにご契約中の保険証券/ご家族構成のメモ。なくてもご相談いただけます。
保険の内容を見てもらう(無料・オンライン可)→フォームのご相談内容欄に「保険の内容確認」とご記入いただくと、担当がその前提でご準備します。ご希望に応じて提携の乗合代理店をご紹介した際に紹介料を受け取る場合がありますが、紹介料の有無でご説明の内容は変わりません。
