祖母から孫への相続は可能?注意点と具体的な手続き方法を解説

祖母から孫へ財産を相続させたいと考えるケースが増えていますが、これには特有の手続きや注意点があります。一般的な相続とは異なり、親を飛ばして孫が相続する場合、法律や税務上の対応が複雑になることもあります。「祖母から孫への相続は本当に可能なのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、祖母から孫への相続が可能かどうか、またそのために必要な具体的な手続きや注意点について詳しく解説します。相続税対策やトラブル防止のためのポイントも含め、スムーズに相続を進めるためのアドバイスをお伝えします。

目次

先に結論:孫は法定相続人ではない。渡す道は3つ

👵
祖母が亡くなった時点で、子(親)が生きている
この場合、孫は相続人になりません(何もしなければ財産は渡りません)
孫に渡したいなら、この3つのどれか
📜
遺言書で遺贈する
生前に祖母が書く。いちばん現実的な方法
相続税は2割加算
👪
養子縁組をする
孫が「子」になり、法定相続人に加わる
2割加算あり・人数制限あり
代襲相続
親が祖母より先に亡くなっている場合。手続き不要で自動的に相続人
2割加算なし
※2割加算=配偶者と一親等の血族以外が相続・遺贈で財産を取得した場合、相続税額が2割増しになる制度(相続税法18条)。代襲相続人となった孫は対象外です。基礎控除の計算に入れられる養子の数は、実子がいる場合1人、実子がいない場合2人まで(2026年8月時点)。

注意したいのは、親が相続放棄をしても孫は代襲相続人にならないことです。代襲相続が起きるのは、親が祖母より先に亡くなっている場合、または相続欠格・廃除に当たる場合だけです。親が放棄すると、相続権は次の順位(祖母の親、いなければ兄弟姉妹)へ移ります。

代襲相続と祖母から孫への直接相続の違い

この2つは「誰が決めるか」が違います。代襲相続は法律が自動的に決めるもので、孫は親が受け取るはずだった相続分をそのまま引き継ぎます(子が2人で親が1人亡くなっているなら1/2)。遺言による遺贈は祖母が決めるもので、渡す財産も割合も祖母の意思しだいです。取り分の計算方法も、相続税の2割加算の有無も変わります。

代襲相続

親が祖母より先に亡くなっている場合に発生(放棄では起きない)

孫は親の相続分をそのまま引き継ぐ(例:1/2)

遺言書がなくても法律に基づき発生する

遺言書による直接相続

祖母の意思で孫に財産を譲る場合

遺言書で明確に意思を示す必要がある

孫が受け取る割合は祖母の意思で決まる

祖母から孫への相続を進めるための具体的な手続き方法

遺言書で遺贈する

いちばん現実的なのが遺言書です。「◯◯(住所・生年月日)に、△△の不動産を遺贈する」というように、孫を特定できる形で、渡す財産を具体的に書きます。「孫たちに」といった書き方は誰にいくらか確定できず、手続きで止まります。

公正証書遺言にしておけば家庭裁判所の検認が不要で、原本が公証役場に残るため紛失や書き換えの心配もありません。自筆で書く場合は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと検認が不要になります。

遺言執行者を決めておく

遺言書に遺言執行者を指定しておくと、不動産の名義変更や預金の払戻しを執行者が単独で進められます。指定がないと、手続きのたびに相続人全員の協力が必要になる場面が出てきます。孫に渡す内容を子が快く思っていない場合ほど、ここが実務上の分かれ目になります。

孫を養子にする(孫養子)

孫と養子縁組をすると、孫は「子」として法定相続人になります。法定相続人が1人増えるため、基礎控除も600万円増えます。ただし、基礎控除や生命保険金の非課税枠の計算に入れられる養子の数には上限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。

普通養子縁組なら実の親子関係はそのまま続きます。自分または配偶者の直系卑属(孫はこれに当たります)を養子にする場合、家庭裁判所の許可は不要で、市区町村への届出で成立します。なお孫養子は、代襲相続人である場合を除いて相続税の2割加算の対象です。

生命保険の受取人を孫にする場合の注意

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がありますが、これが使えるのは保険金を受け取った人が相続人である場合だけです。相続人でない孫が受取人だと非課税枠は使えず、受け取った保険金はみなし相続財産として全額が相続税の対象になり、さらに2割加算もかかります。

逆に、孫が代襲相続人である場合や養子になっている場合は相続人なので、非課税枠の対象に入ります。「孫を受取人にすれば非課税」という理解は誤りなので、契約前に立場を確認してください。

生前贈与で少しずつ渡す

暦年課税なら受け取る人1人あたり年110万円までは贈与税がかかりません。2024年1月以降の贈与については、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるルールに変わりました(従来は3年、延長分には経過措置があります)。

ただしこの加算の対象は「相続または遺贈で財産を取得した人」への贈与です。遺言も保険金も受け取らない孫への贈与は、原則として加算されません。この点で、孫への生前贈与は子への贈与より効きやすい面があります。贈与のたびに贈与契約書を作り、孫本人が管理する口座へ振り込んでください。祖母が通帳と印鑑を持ったままだと、名義預金と判断されて相続財産に戻されます。

祖母から孫への相続における注意点

祖母から孫へ財産を相続させる際には、特有の注意点がいくつか存在します。ここでは、相続税の増額リスクや遺留分侵害額請求など、知っておくべきリスクとその対策について解説します。

相続税の増額リスクとその対策

孫が遺贈や養子縁組で財産を取得すると、算出した相続税額に2割が上乗せされます(相続税法18条)。1親等の血族と配偶者以外が取得した場合の加算で、たとえば税額が100万円なら120万円になります。親を1世代飛ばすぶん課税の機会が1回減ることへの調整です。

ただし、親が先に亡くなっていて孫が代襲相続人になっている場合は2割加算の対象外です。同じ「孫が相続する」でも、代襲相続なのか遺贈・養子縁組なのかで税額が変わります。

負担を抑えるには、2割加算のかからない生前贈与を組み合わせる方法があります。前述のとおり、遺贈も保険金も受け取らない孫への贈与は相続財産への加算対象外なので、早く始めるほど効きます。

遺留分侵害額請求への対応策

遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の取り分のことです。相続人が配偶者や子の場合は遺産全体の2分の1、直系尊属だけが相続人の場合は3分の1が全体の枠で、これを各自の法定相続分で分けます。兄弟姉妹に遺留分はありません。親を飛ばして孫が相続する場合、他の相続人(たとえば、子ども)から遺留分侵害額請求が行われるリスクがあります。この請求が認められると、孫が受け取った財産のうち、遺留分に相当する金銭を支払わなければならなくなることがあります。

ここで誤解が多いのですが、生前に相続人どうしで「請求しない」と口約束をしても効力はありません。生前に遺留分を放棄してもらうには、その相続人本人が家庭裁判所へ申し立てて許可を受ける必要があります。現実的な手は2つで、遺留分を侵害しない範囲に孫への分を収めるか、侵害する分を払えるだけの現金を別に用意しておくかです。遺留分侵害額請求は金銭での請求なので、不動産ばかりで現金がないと売却を迫られます。

⚠️ 遺留分は「現金で払え」と請求されます

遺留分侵害額請求は金銭の請求です。孫に不動産だけを渡していると、請求されたときに払う現金がなく、その不動産を売る話になりかねません。孫に渡す分を決めたら、同じ場で「請求されたらいくら必要か」を計算し、その分の現金か生命保険を残しておいてください。

親(祖母の子)に先に伝えておく

孫に渡すという判断は、法律上は祖母だけで決められます。ただし、遺言書が開いてから初めて知った子は、内容そのものより「聞いていなかったこと」に反発します。実際にもめるのはここです。

遺言書に付言事項として「なぜ孫に渡すのか」を一段落書き添えておくと、法的な効力はなくても納得の材料になります。可能なら、生前に子へ直接伝えておくのがいちばん確実です。

孫に財産を残したいと考えている方へ
遺言・養子縁組・生前贈与のどれが向くかは、実子が何人いるか、相続税がかかる規模か、孫が何人いるかで変わります。組み合わせを間違えると2割加算や遺留分でかえって手取りが減ります。30分の無料相談では、ご家族の構成と財産の内訳を伺って、どの方法をどの順番で使うかを整理してお渡しします。愛知県内は対面、それ以外はオンラインです。
お電話 052-766-5650(相談中は折り返しになります)

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この記事を書いた人

相続事務所にてマーケティング、広報、人事、新規事業等を行いウェブ経由の月間売上を更新する傍ら経営にも参画する。主にウェブマーケティングを通じて業界特有の「見せ方」やずる賢い手法をたくさん目撃していく。お客さんにとっては幾度とない大事な機会なのに半ば騙すようなマーケティングや営業で受任している事業者がいることを問題視し、業界についての正確な情報を発信したいと考え「相続事務所のホンネとタテマエ」を運営中。

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