内縁の妻・夫を生命保険の受取人にできる?各社で異なる条件と確認の手順

「長年一緒に暮らしてきたパートナーに、自分が亡くなったあとのお金を残したい」。籍を入れていないご夫婦から、当社にもこうしたご相談が届きます。そのときにまず候補にあがるのが、生命保険の死亡保険金です。死亡保険金は受取人固有の財産として扱われるため、相続権のない内縁の妻・夫でも、受取人に指定されていれば受け取れる可能性があるからです。

ただし、この話には多くの解説記事が触れていない前提があります。生命保険の受取人は、誰でも自由に指定できるわけではありません。保険会社は受取人になれる範囲をあらかじめ定めており、内縁のパートナーはその原則の外側にいます。認められる場合もありますが、その条件は保険会社ごとに異なり、しかも公式には公開されていません。

この記事では、受取人指定の原則、内縁のパートナーが認められるのはどういう場合か、実際の相談で何を確認されるのか、受け取れたときに何が起きるのか、税金の注意点、の順に整理します。保険以外の方法(遺言・生前贈与・特別縁故者の申立て)も含めた比較は、内縁・事実婚のパートナーに財産を渡す方法でまとめています。

この記事の結論(30秒まとめ)

内縁のパートナーを死亡保険金の受取人にできる場合はあります。ただし、多くの保険会社は受取人の範囲を戸籍上の配偶者と二親等内の血族に限っており、内縁のパートナーは「一定の条件を満たした場合に限り指定できることがある」という位置づけです。その条件は各社とも公表しておらず、個別の確認になります。基準は会社ごとに違うため、一社で難しいと言われても、別の会社では認められることがあります。受け取れた場合、保険金は遺産分割の対象外で早く現金化できる一方、相続税の非課税枠は使えず、税額は2割加算の対象になります。

目次

生命保険の受取人は、誰でも指定できるわけではない

まず押さえておきたいのが、受取人指定の原則です。国内の主要な生命保険会社は、公式サイトのよくある質問などで、死亡保険金の受取人に指定できるのは原則として「戸籍上の配偶者」と「二親等内の血族」であると案内しています。二親等内の血族とは、親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹のことです。

この範囲が設けられているのは、保険金を目的とした事件を防ぐためだと説明されています。誰でも他人に保険をかけて受取人になれてしまうと、保険という仕組み自体が成り立たなくなるためです。裏を返せば、範囲の外にいる人を受取人にしたい場合は、「関係が本物であること」を保険会社に納得してもらう必要がある、ということになります。

内縁の妻・夫、事実婚のパートナー、同性のパートナーは、いずれもこの原則の範囲には入りません。つまり「受取人欄に名前を書けば済む」話ではなく、そもそも書けるかどうかを確認するところから始まります。ここを知らないまま「保険なら大丈夫」と考えていて、いざ手続きに進んで断られた、というご相談は実際にあります。

受取人にしたい相手 指定できるか(一般的な原則)
戸籍上の配偶者原則として指定できる
二親等内の血族(親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹)原則として指定できる
三親等の親族(おい・めい・おじ・おばなど)会社により、条件付きで認められることがある
内縁・事実婚のパートナー原則の範囲外。一定の条件を満たす場合に限り認められることがある
同性のパートナー取扱いを設けている会社もあるが、条件と必要書類は会社ごとに異なる
友人・知人など親族関係のない相手原則として指定できない

受取人は、契約したあとで変更することもできます。手続きをするのは契約者本人で、保険会社に変更の申し出をして所定の手続きを取ります。ただし変更のときも同じように範囲の確認が入るため、「いまは子どもにしているが、将来パートナーに変えればよい」と考えていても、そのときに認められるとは限りません。変更したい相手が原則の範囲外なら、早めに確認しておくほうが選択肢が残ります。

内縁のパートナーが受取人として認められるのは、どういう場合か

各社の案内を読むと、内縁のパートナーについては「所定の条件を満たしていると保険会社が確認できた場合には、受取人に指定できることがあります」といった趣旨の記載が見つかります。ここで多くの方がつまずくのが、その「所定の条件」が何なのかは、どこにも書かれていないという点です。

当社で複数の保険会社の公開情報を確認した限りでも、具体的な同居年数や必要書類まで踏み込んで公表している会社は見当たりませんでした。いずれも「個別にお問い合わせください」「担当者にご確認ください」という案内にとどまります。「明治安田生命 受取人 内縁」「住友生命 受取人 内縁」のように会社名で調べても答えが出てこないのは、そもそも公開されていないからです。

非公開である理由は、一律の線を引きにくいためだと考えられます。同居の長さ、生計が一つになっているか、周囲から夫婦として扱われているか。こうした事情の組み合わせで判断されるため、「何年住んでいれば可」という形で公表すると、かえって実態と合わなくなるからです。

相談現場から|相談員メモ

内縁のパートナーを受取人にしたいというご相談で、保険会社側から事情を尋ねられることが多いのは、おおむね次の3点です。ひとつ目は同居の年数で、二年程度を目安に確認されることがあります。ふたつ目は戸籍の状態で、お二人とも戸籍上の配偶者がいない状態かどうか。みっつ目は住民票で、同じ住所に同一世帯として記載があるかどうかです。ただし、これらは当社が相談の場で見聞きしている傾向であって、保険会社が公表している基準ではありません。満たしていても認められないことがあり、逆に一部を満たしていなくても個別の事情を踏まえて判断されることがあります。

確認されることが多い3つのポイント

🏠

同居の年数
おおむね2年が目安

📋

戸籍の状態
双方に配偶者がいない

🏢

住民票
同一世帯かどうか

公表された基準ではなく、相談現場で確認されることが多い項目です(会社・商品により異なります)

この3点は、いずれも「夫婦としての実態があるか」を外から確認するための材料です。同居年数は関係の継続性を、戸籍の状態は他に法律上の配偶者がいないことを、住民票は生活を共にしていることを、それぞれ示す手がかりになります。住民票の続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載しておく方法もあり、これは市区町村の窓口で届け出ることができます。

実際の手続きでは、これらに加えて保険会社所定の申告書や、事情を説明する書類の提出を求められることがあります。何が必要かは会社によって違うため、「まず何を用意すればよいか」を最初に聞いておくと、やり直しが減ります。

なお、保険会社が関係を確認するのは、新しく契約するときだけではありません。すでに加入している契約の受取人をパートナーに変更する場合も、同じように確認が入ります。長く続けてきた契約を活かしたいと考えていても、変更が認められないことはあります。既存契約の受取人変更と、新しく加入する場合の両方を並べて検討したほうが、選択肢は広がります。

A社で難しくても、B社なら認められることがある

基準が各社バラバラで非公開だという事実には、実はもう一つの意味があります。ある保険会社で「難しい」と言われたとしても、それはその一社の判断にすぎない、ということです。同じご事情でも、別の会社の基準では認められる可能性が残ります。

同じ事情でも、会社によって結論が変わる

🏢

A社

基準に届かない

🏢

B社

認められる可能性

🔍

横断して確認

通る会社を探す

基準は各社非公開のため、結果を保証するものではありません

そのため、確認の順番を逆にするほうが早く進みます。「加入したい会社を先に決めて、そこに聞く」のではなく、「ご事情に当てはまりそうな会社を探す」という順番です。銀行の窓口や一社専属の担当者に聞くと、その会社の答えしか返ってきません。複数の保険会社の商品を扱える窓口であれば、同じご事情を各社の基準に当てて横断的に確認できます。

横断して確認するといっても、やみくもに各社へ問い合わせるわけではありません。同居の状況や戸籍・住民票の状態をあらかじめ整理したうえで、取扱いの傾向から可能性のありそうな会社に絞って確認していきます。ご本人が一社ずつ窓口を回るより、時間も手間も少なく済みます。

相談現場から|一社で断られたときにすること

「保険会社に聞いたら無理だと言われた」というところで止まってしまわれる方が多くいらっしゃいます。ですが、断られた理由が「その会社の基準に届かなかった」なのか「そもそも取扱いがない」なのかで、次の手が変わります。まず窓口で確認していただきたいのは、断られた理由と、どの書類が足りなかったのかの2点です。同居年数が足りなかっただけであれば、住民票の続柄を「妻(未届)」に直したうえで時期を改めるという進め方もあります。そのうえで、他社の基準に当てはめ直す価値があるかを判断します。なお、ここで述べているのは当社が相談の場で見聞きしている進め方であって、結果を保証するものではありません。

受取人になれたら、保険金はどのように受け取れるのか

受取人として認められた場合、その後の扱いは戸籍上の配偶者が受取人であるときと基本的に変わりません。死亡保険金は原則として受取人固有の財産として扱われ、遺産分割協議の対象になりません。相続人全員の同意も、実印も、印鑑証明書も要らず、受取人が単独で請求できます。

この違いは、内縁のパートナーにとって特に大きく効きます。預金は名義人が亡くなったことが金融機関に把握された時点で凍結され、払い戻しの手続きは相続人でなければ進められません。同居していた住まいの家賃や当面の生活費が、口座にあるのに一円も動かせない、という事態が起こり得ます。

亡くなった後、お金はいつ動かせる?

預金のまま(内縁のパートナーは請求できない)

🔒

口座凍結

📄

相続人の手続き

受け取れない

相続権がないため

受取人に指定された死亡保険金なら

📨

単独で請求

3〜5営業日

現金を受け取り

💴

葬儀費・生活費に

公式は原則5営業日以内・実務では3営業日程度も(会社・請求内容による)

支払いまでの期間について、主要な生命保険会社は「請求に必要な書類が到着した日の翌日から起算して原則5営業日以内」と公表しています。当社の相談現場の実感としては、書類に不備がなければ3営業日程度で振り込まれることも少なくありません。もちろん、追加の確認や調査が必要な場合には延びることもあります。保険という仕組みそのものの位置づけは、一時払い終身保険の総合ガイドで整理しています。

ひとつ補足しておくと、受取人に指定されていても、請求のときに関係を示す書類をあらためて求められることがあります。指定を受けた時点と亡くなった時点で状況が変わっていないかを確認するためです。住民票や、同居していたことが分かる資料は、日ごろから整えておくと手続きが滞りません。

もう一点、法定相続人との関係で気になるのが遺留分です。死亡保険金は、判例上、原則として遺留分を算定するための財産には含まれないと考えられています。遺言で財産を渡す場合と比べて、争いになりにくい面があるということです。ただし、保険金の額が遺産の総額に比べて著しく大きいなど「特段の事情」があるときは、例外的に扱いが変わる可能性が指摘されています。「保険にしておけば遺留分の問題は起きない」と言い切れるものではありません。詳しくは相続における生命保険の扱いと遺留分の関係をご覧ください。

税金の注意点|非課税枠が使えず、2割加算の対象になる

受取人になれたとしても、税金の面では法定相続人と同じ扱いにはなりません。ここを知らずに保険金額を決めると、手元に残る金額が想定と大きくずれることがあります。

まず、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。このとき、法定相続人が受け取る場合には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が使えますが、内縁のパートナーは法定相続人ではないため、この枠を使えません。加えて、配偶者と一親等の血族以外が財産を取得した場合の相続税額は2割加算の対象となり、内縁のパートナーもこれに該当します。

⚠️ 税額は個別の計算が必要です

実際にいくら税金がかかるかは、財産の総額、基礎控除、他に財産を受け取る方の有無など、多くの要素で変わります。ここでの説明はあくまで枠組みの整理であり、税額を示すものではありません。金額の見通しを立てたい場合は、税理士にご確認ください。当社でも、必要に応じて提携する税理士におつなぎしています。

実務的には、「いくら残したいか」ではなく「税引き後でいくら手元に残ってほしいか」から逆算して考えることになります。渡したい金額をそのまま保険金額にすると、パートナーが納税資金を用意できず、受け取った保険金から支払うことになる場合があるためです。この点は、保険に加入する前の段階で確認しておいたほうがよい項目です。

セルフチェック|ご自身の場合を確認しておきたい5項目

  • □ パートナーの生命保険で、いま誰が受取人になっているか確認していない
  • □ 内縁のパートナーは原則として受取人の範囲外である、と知らなかった
  • □ 住民票の続柄が「同居人」のままで、同一世帯になっているか把握していない
  • □ どちらか一方に、戸籍上の配偶者が残っている(離婚が済んでいない)
  • □ 相続税の非課税枠が使えず、2割加算の対象になることを知らなかった

0〜1個:ご自身の状況を把握できている段階です。無理にご相談いただく必要はありません。判断に迷う点が1つでもあれば、30分の無料相談でご一緒に確認できます。

2〜3個:判断に必要な材料が不足している状態です。契約内容と住民票・戸籍の状態を、一度整理しておくことをおすすめします。何から手を付けるか迷う場合は、30分の無料相談で順番だけ決めてしまうのが早道です。

4個以上:そもそも受取人に指定できない可能性がある状況です。保険だけで考えると行き止まりになりやすいため、遺言や生前贈与も並べて、早めに30分の無料相談で全体像を確認してください。パートナーの判断能力が保たれているうちにしか取れない手続きがあります。

よくある質問

明治安田生命や住友生命など、会社名で調べれば条件は分かりますか?

会社名で検索しても、具体的な条件までは出てきません。当社で確認した限り、国内の主要な生命保険会社はいずれも、内縁のパートナーを受取人にできる場合があること自体は案内していますが、その条件(同居年数や必要書類など)は公表していません。「個別にご相談ください」という扱いになっているため、実際に窓口で自分の事情を伝えて確認する以外に方法がないのが現状です。

同居して2年経てば、必ず受取人にできますか?

いいえ、そうとは限りません。2年という数字は、相談の場で目安として確認されることがあるというだけで、保険会社が公表している基準ではありません。同居年数を満たしていても他の事情で認められないことがあり、逆のこともあります。年数だけで判断せず、他の要素と合わせて確認する必要があります。

私(またはパートナー)に、戸籍上の配偶者がまだいます。それでも可能ですか?

難しくなるケースが多い、というのが実情です。どちらかに法律上の配偶者が残っている場合、保険会社としては「夫婦としての実態がある関係」と判断しにくくなるためです。ただし、長期の別居など事情はさまざまですので、他の方法も含めて検討することになります。この場合は遺言や生前贈与との組み合わせも選択肢に入るため、全体を見て判断したほうが確実です。

受取人に指定できなかった場合、他に方法はありますか?

あります。遺言による遺贈、生前贈与、家族信託、相続人がいない場合の特別縁故者の申立てなど、状況に応じた方法があります。それぞれ確実性・費用・手間が異なるため、ご事情に合うものを選ぶことになります。比較は内縁・事実婚のパートナーに財産を渡す方法にまとめています。

パートナーがまだ元気ですが、いまから確認する意味はありますか?

あります。受取人の指定・変更ができるのは契約者本人が元気なうちだけで、判断能力が低下してからでは手続きが取れなくなります。「どの会社なら可能性があるか」を先に把握しておけば、必要になったときに動けます。確認だけのご相談も歓迎しています。

「うちの場合、パートナーを受取人にできる?」を確認したい方へ

この記事で書けるのは「認められる場合がある」「条件は各社ごとに非公開」というところまでです。その先の「ご自身の場合はどうか」は、事情を具体的に当てはめないと分かりません。当社では、まずご事情(同居の状況、戸籍・住民票の状態)を整理したうえで、複数の保険会社を横断して比較できる提携の乗合代理店を通じて、認められる可能性のある会社を確認していきます。一社専属の窓口では、その一社の答えしか返ってきません。

お手元にあるとより具体的に確認できるもの:同居を始めたおおよその時期/住民票(続柄・世帯の記載)/すでにご契約中の保険証券。なくてもご相談いただけます。お名前だけで、戸籍や住民票をお見せいただく必要はありません。お電話(052-766-5650・相談中は折り返し)でも承ります。

30分の無料相談で聞いてみる(オンライン・全国対応)→

フォームのご相談内容欄に「内縁のパートナーの受取人指定」とご記入いただくと、担当がその前提でご準備します。契約を勧めることも、急かすこともありません。「この方法は難しいので、別の手段を検討しましょう」という結論も、そのままお伝えします。


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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の税額計算や保険商品の推奨を行うものではありません。受取人に指定できるかどうかの判断は保険会社が行うものであり、本記事の内容は結果を保証するものではありません。記載内容は2026年8月時点の情報にもとづきます。保険のご相談は、全社を比較できる提携乗合代理店をご紹介する場合があります。

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この記事を書いた人

相続事務所にてマーケティング、広報、人事、新規事業等を行いウェブ経由の月間売上を更新する傍ら経営にも参画する。主にウェブマーケティングを通じて業界特有の「見せ方」やずる賢い手法をたくさん目撃していく。お客さんにとっては幾度とない大事な機会なのに半ば騙すようなマーケティングや営業で受任している事業者がいることを問題視し、業界についての正確な情報を発信したいと考え「相続事務所のホンネとタテマエ」を運営中。

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