親の相続の話になったとき、「おいやめいは相続人になるの?」「いとこは何親等?」と迷うことがあります。役所や銀行の書類に「〇親等以内」と書かれていて、手が止まる方も少なくありません。
この記事では、親等の数え方を図と手順で整理し、血族と姻族の違い、民法でいう「親族」の範囲、相続人や扶養の範囲との違いまでまとめます。条文は2026年10月時点のe-Gov法令検索で確認しています。
先に結論:親等は「親子の世代をいくつたどるか」
この記事の結論
- 数え方:親子1回で1親等。兄弟姉妹やいとこは、共通の祖先まで上がって下りた回数で数えます。
- 親族の範囲:民法の「親族」は、6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族です。
- 相続や扶養は別:親族でも相続人や扶養義務者になるとは限りません。範囲はそれぞれ別の条文で決まります。
親等(しんとう)とは、親族どうしの近さを表す数です。数字が小さいほど近い関係になります。民法726条は「親族間の世代数を数えて」定めると書いています。つまり、親と子の間を1段と数えるだけです。
親等の図:1〜6親等をわかりやすく一覧に
まずは自分(本人)から見た血族の親等の図です。上の段ほど上の世代、下の段ほど下の世代です。左端の列が、親・子・孫のようにまっすぐつながる「直系」です。右の列ほど、枝分かれした「傍系」になります。
| 世代 | 直系(まっすぐの線) | 兄弟姉妹の系統 | おじ・おばの系統 | 大おじ・大おばの系統 |
| 4代上 | 高祖父母 4親等 | |||
| 3代上 | 曾祖父母 3親等 | |||
| 2代上 | 祖父母 2親等 | 大おじ・大おば 4親等 | ||
| 1代上 | 父母 1親等 | おじ・おば 3親等 | 親のいとこ 5親等 | |
| 同じ世代 | 本人 (基準) | 兄弟姉妹 2親等 | いとこ 4親等 | はとこ 6親等 |
| 1代下 | 子 1親等 | おい・めい 3親等 | いとこの子 5親等 | |
| 2代下 | 孫 2親等 | おい・めいの子 4親等 | いとこの孫 6親等 | |
| 3代下 | ひ孫 3親等 | おい・めいの孫 5親等 | ||
| 4代下 | 玄孫(やしゃご) 4親等 | おい・めいのひ孫 6親等 |
図は、よく出てくる続柄に絞っています。たとえば曾祖父母の兄弟姉妹は5親等、高祖父母の兄弟姉妹は6親等になります。図にない続柄も、次の章の手順で数えられます。
一親等とは:父母と子
一親等は、本人から親子1回分でつながる人です。血族では父母と子が当たります。養親と養子も一親等です。民法727条により、養子縁組の日から血族と同じ親族関係が生じるからです。配偶者の父母(義理の父母)は、姻族の一親等になります。
二親等とは:祖父母・孫・兄弟姉妹
二親等は、親子2回分でつながる人です。血族では祖父母、孫、兄弟姉妹が当たります。兄弟姉妹は「本人→父母→兄弟姉妹」と2段なので二親等です。配偶者の祖父母や兄弟姉妹、自分の兄弟姉妹の配偶者は、姻族の二親等になります。
6親等の図でよく聞かれる続柄
6親等の血族は、はとこ(またいとこ)、いとこの孫、おい・めいのひ孫、高祖父母の兄弟姉妹などです。ここまでが民法上の親族に入ります。はとこの子は7親等なので、血族であっても民法の「親族」には入りません。
親等の数え方:自分で数える4つの手順
図にない続柄でも、次の順に数えれば親等が出ます。紙に簡単な家系図を書きながら進めると、数え間違いが減ります。
- 相手が直系か傍系かを分ける。親・祖父母・子・孫のように、まっすぐ上下につながる人が直系です。兄弟姉妹やおじ・おばのように、枝分かれした先の人が傍系です。
- 直系なら、間の親子の段を数える。本人から祖父母なら「本人→父母→祖父母」で2段、つまり2親等です。
- 傍系なら、共通の祖先まで上がる。いとこなら、本人と共通の祖先は祖父母です。本人から祖父母まで2段上がります。
- 共通の祖先から相手まで下りた段を足す。祖父母からいとこまでは「祖父母→おじ・おば→いとこ」で2段です。上がった2段と足して4親等になります。
この数え方は民法726条2項に書かれています。傍系は「同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数」で数えます。兄弟姉妹を1親等と思いがちですが、親を経由するので2親等です。
数え方の練習:おい・めいは何親等?
おい・めいは兄弟姉妹の子です。共通の祖先は父母なので、本人から父母へ1段上がります。父母から兄弟姉妹、兄弟姉妹からおい・めいへ2段下ります。合わせて3親等です。おじ・おばも同じ考え方で3親等になります。
血族と姻族の違い、「親族」の範囲を図で確認
親族には、血のつながりでつながる「血族」と、結婚でつながる「姻族」があります。養子縁組でつながった養親子も、法律上は血族として扱われます。姻族は「配偶者の血族」と「自分の血族の配偶者」の2通りです。
姻族の親等は、配偶者や血族の親等をそのまま使います。たとえば配偶者の父母は、配偶者から見て1親等なので、本人から見ても姻族1親等です。配偶者そのものには親等がありません。
親族に入る人・入らない人の早見表
民法725条は、親族を「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」と定めています。入る人と入らない人を、よく聞かれる例で並べます。
「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」は、姻族の姻族にあたり、親族には入りません。親戚づきあいでは身近でも、法律上の扱いは違います。
相続人の範囲や扶養との違い:親等だけでは決まらない
「親族だから相続人になる」「3親等内だから扶養しなければならない」とは限りません。相続人、扶養義務、結婚できない範囲、相続税の扱いは、それぞれ別の条文で決まります。親等は、その中で使われる物差しの一つです。
相続人は「順位」で決まる
相続人を決めるのは親等ではなく順位です。たとえば孫(2親等)と兄弟姉妹(2親等)は同じ親等です。でも、子が亡くなっていて孫がいれば、孫が子に代わって相続人になり、兄弟姉妹は相続人になりません。親等が使われるのは、父母と祖父母がいる場合など、同じ順位の中です。民法889条は「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」としています。
いとこ(4親等)や、配偶者の親(姻族1親等)は、親族であっても相続人にはなりません。息子の妻など相続人でない家族に財産を渡したいときは、遺言や生前の贈与で準備することになります。
扶養の義務は「直系血族と兄弟姉妹」が基本
扶養(生活を支えること)の義務が当然にあるのは、親子や祖父母と孫などの直系血族と、兄弟姉妹です。おじ・おばやおい・めいなど3親等内の親族は、家庭裁判所が特別な事情を認めたときに限られます。義理の親との関係は、この3親等内の親族の扱いになります。
なお民法730条は「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」とも定めています。これは助け合いの心構えを示した条文で、扶養の義務の範囲とは分けて考えます。生活保護を申請したときに家族へ届く「扶養照会」については、生活保護の申請方法(扶養照会・持ち物)で扱っています。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
法律以外で「〇親等まで」と言われる場面
喪中はがきを出す範囲や、会社の忌引き休暇の日数でも親等が使われます。ただし、これらは慣習や勤め先の就業規則で決まるもので、民法の決まりではありません。喪中の範囲の目安は喪中はがきはいつまでに出す?範囲と文例、忌引きは勤め先の規則で確かめてください。
親等が関係する場面の期限と、過ぎたらどうなるか
親等そのものに期限はありません。ただ、「誰が相続人か」が分かった後には、期限のある手続きが続きます。親等や順位の確認に時間をかけすぎないことが大切です。
相続放棄で気をつけたいのは、先の順位の人が放棄すると、次の順位の人が相続人になることです。子が全員放棄すれば父母へ、父母もいなければ兄弟姉妹へ移ります。兄弟姉妹やおい・めいは、亡くなったことを後から知る場合もあります。3か月は「知った時」から数えるので、知った日をメモしておきましょう。
相続人や扶養の範囲を確かめるとき:用意するもの・間違えやすい点
親等や相続人を確かめるには、戸籍で家族のつながりを見るのが確実です。記憶だけで判断すると、前の結婚の子や養子を見落とすことがあります。
用意するもの・確かめることのチェックリスト
- □ 亡くなった人(または対象の人)の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
- □ 自分の戸籍謄本(自分とのつながりを示すため)
- □ 前の結婚で生まれた子や、認知した子がいないか
- □ 養子縁組をしている人がいないか(養子は実子と同じ1親等)
- □ 先に亡くなっている子や兄弟姉妹がいないか(その子が代わりに相続人になることがある)
- □ 相続が始まったと知った日(相続放棄の3か月の起点)
- □ 確かめたい場面が相続・扶養・税金のどれか(範囲のルールが違う)
戸籍の束を集めた後は、法務局で「法定相続情報一覧図」を作っておくと、銀行や登記の手続きで繰り返し使えます。取り方は法定相続情報一覧図の取り方(必要書類・申出先・郵送)で整理しています。
今日できる一歩
- 紙の真ん中に「自分」と書き、上に父母・祖父母、横に兄弟姉妹、下に子・孫を書き足します。
- それぞれの名前の横に、この記事の図を見ながら親等の数字を書き込みます。
- 名前や生まれた年が分からない人に印を付け、家族に聞くか戸籍で確かめる候補にします。
間違えやすい点
- 兄弟姉妹を1親等と数える。親を経由するので2親等です。
- 配偶者を1親等と思う。配偶者には親等がありません。親族ではありますが、血族でも姻族でもない別枠です。
- 親族なら相続人になると思う。いとこ、義理の親、息子の妻は相続人ではありません。財産を渡したいなら遺言などの準備が要ります。
- おい・めいの子も代わりに相続できると思う。兄弟姉妹の代わりに相続できるのは、その子(おい・めい)までです。子の系統と違い、孫の代までは続きません。
- 死別で義理の親との関係が終わると思う。離婚と違い、死別では届出をしない限り姻族関係は続きます。届出で変わること・変わらないことは姻族関係終了届とは(変わること・変わらないこと早見表と出し方)で整理しています。
- 内縁の配偶者も親族だと思う。婚姻届を出していない場合、民法上の配偶者ではなく、相続人にもなりません。
よくある質問
配偶者は何親等ですか?
配偶者には親等がありません。民法725条は、配偶者を血族や姻族とは別に親族として挙げています。「0親等」と書かれた説明もありますが、法律上の言葉ではありません。
義理の兄弟姉妹は何親等ですか?
配偶者の兄弟姉妹も、自分の兄弟姉妹の配偶者も、姻族の2親等です。どちらも民法上の親族に入ります。ただし相続人や扶養義務者には、原則としてなりません。
養子や連れ子は何親等ですか?
養子は、縁組の日から養親の1親等の血族になります(民法727条)。養子縁組をしていない配偶者の連れ子は、姻族の1親等です。連れ子は養子縁組をしないと相続人になりません。
いとこは相続人になりますか?
いとこは4親等の血族で親族ですが、相続人にはなりません。相続人になるのは配偶者と、子・直系尊属・兄弟姉妹(代わりに相続するおい・めいを含む)の順位に入る人です。
親族の範囲を図で示す書類はありますか?
親等そのものを証明する公的な図はありません。相続人のつながりを示すものとしては、法務局の「法定相続情報一覧図」があります。もとになるのは戸籍謄本です。
参考にした公的情報
- e-Gov法令検索「民法」(725条〜730条・734条・735条・877条・887条・889条・890条・915条・1042条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - e-Gov法令検索「戸籍法」(96条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 - 裁判所「相続の放棄の申述」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html - 国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm - 川崎市「姻族関係終了届について」
https://www.city.kawasaki.jp/templates/faq/250/0000177642.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報と法令をもとにした一般的な整理です。実際に誰が相続人になるか、扶養の義務を負うかは、戸籍の内容や個別の事情で変わります。具体的な判断は家庭裁判所・市区町村の窓口や専門家にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
