親が亡くなり、いざ相続の手続きを始めようとしたら、戸籍を集める前に「そもそも親の本籍地がわからない」という壁にぶつかることがあります。生前に本籍地を聞いていなかった、実家の権利証や古い書類も見当たらない、という状況は珍しくありません。
本籍がわからなくても、亡くなった方の本籍を調べる方法はいくつかあります。この記事では、相続の手続きを前提に、亡くなった方の本籍を突き止める2つのルートと、本籍が分かるまでの間にできること・できないことを説明します。生きている本人の本籍の調べ方は本籍の調べ方の記事も参考にしてください。
先に結論:住民票除票か、自分の戸籍の「従前戸籍」欄
亡くなった親の本籍を調べる2つのルート
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ルート1
住民票の除票(本籍記載あり)
最後の住所地の役所で請求
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ルート2
自分の戸籍の「従前戸籍」欄
親と同じ戸籍にいたことがある場合
どちらも約300円〜450円で確認できる
(自治体・戸籍の種類により異なる。2026年9月時点)
最も早いのは、亡くなった方の最後の住所地の役所で「本籍記載あり」の住民票の除票を請求することです。死亡届を出した役所と同じとは限らないため、亡くなる直前まで住んでいた場所の役所を確認してください。もう一つの方法は、自分自身の戸籍謄本を取り、そこに記載されている「従前戸籍」の欄をたどることです。以下でそれぞれの手順を説明します。
ルート1:住民票の除票(本籍記載あり)を取る
亡くなった方の住民票は、死亡届の提出後に「除票」という扱いになります。除票を請求する際に「本籍・筆頭者の記載ありで」と申請書に明記すると、本籍地が記載された状態で発行されます。何も指定しないと本籍が省略された除票が出てくることがあるため、窓口や郵送申請の際は必ず一言添えてください。
請求できるのは、亡くなった方の相続人(配偶者・子など)や、正当な利害関係があることを示せる人です。戸籍謄本など、相続人であることが分かる書類の提示を求められる場合があります。
⚠️ 除票が保存期間切れで取れないことがある
住民票の除票の保存期間は2019年6月の法改正で5年から150年に延長されましたが、改正前にすでに廃棄された除票は復元されません。古い相続や、以前に一度除票を取り損ねていた案件では、除票が「廃棄済み」と言われることがあります。その場合はルート2、または本籍地を管轄する役所への聞き取りに切り替えます。
ルート2:自分の戸籍の「従前戸籍」欄をたどる
結婚するまで親と同じ戸籍に入っていた場合、自分の戸籍謄本(または除籍謄本)には、以前どの戸籍に入っていたかを示す「従前戸籍」という欄があります。結婚・分籍などで戸籍を抜けた記録をさかのぼっていくと、親がその時点でどこに本籍を置いていたかが分かります。
ただし、親がその後に本籍を移していた場合(転籍)は、従前戸籍に載っている本籍地は「当時の」本籍地であり、亡くなった時点の本籍地とは限りません。転籍していないか、次に取得した戸籍謄本の内容を必ず確認してください。この方法は、自分の戸籍を取得する手間(450円+自分の本籍地での請求)がかかる分、ルート1より遠回りになることが多く、除票が取れる場合はルート1を優先するのが効率的です。
死亡届を出した役所で分かること・分からないこと
死亡届は、亡くなった方の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの役所に提出できます。そのため、死亡届を受理した役所が必ずしも本籍地とは限りません。届出先の役所の窓口で「本籍を教えてほしい」と伝えても、その場では答えてもらえないことがほとんどです(個人情報保護の観点から、正式な証明書の請求という形でしか開示されないため)。
確実なのは、前述のとおり住民票の除票を「本籍記載あり」で正式に請求することです。死亡届の控え(受理証明書)が手元にある場合、本籍地の記載がされていることもあるので、まずは家にある書類を確認してみてください。
本籍が分かった後の戸籍の取り寄せ
本籍地が分かったら、次はその本籍地で戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を出生から死亡まで連続して集めます。本籍地の役所が遠方の場合は、郵送での請求、または本人・配偶者・直系の親族であれば最寄りの役所でまとめて請求できる広域交付が使えます。それぞれの手順は戸籍の広域交付の使い方と除籍謄本・改製原戸籍の取り方で詳しく説明しています。
本籍が分からないまま進められること・進められないこと
本籍が判明するまでの間も、相続財産の把握(預金残高の確認依頼、不動産の名寄帳の取得、遺言書の有無の確認など)は並行して進められます。ただし、相続人を確定させる作業(誰が相続人かを戸籍で証明する作業)は、亡くなった方の戸籍が取れないと着手できません。金融機関の相続手続きや相続登記も、戸籍一式が揃うまでは受け付けてもらえないのが通常です。
本籍地の特定に時間がかかりそうな場合は、財産の把握を先に進めつつ、除票の請求だけでも早めに動いておくと、全体の期間を短縮できます。
家族・親族に聞く、遺品を確認するという方法も
役所での確認と並行して、家族や親族に本籍地を知っている人がいないか聞いてみるのも有効です。本籍地は結婚や住宅購入の際に書類へ記入する機会があるため、兄弟姉妹や配偶者が把握していることがあります。
また、実家に残っている書類の中に、古い戸籍謄本、権利証(登記済証・登記識別情報)、生命保険の契約書類の控えなどがあれば、本籍地が記載されていることがあります。役所へ行く前に、まず自宅・実家にある書類を一通り確認しておくと、二度手間を避けられます。
本籍調べにかかる費用
| 書類 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 住民票の除票の写し(本籍記載あり) | 1通300円程度 |
| 自分の戸籍謄本(従前戸籍を確認する場合) | 1通450円 |
| 戸籍謄本(全部事項証明) | 1通450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 1通750円 |
(金額は市区町村により異なります。戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本は戸籍法手数料令にもとづく全国一律額。住民票除票は自治体条例によるため目安です。2026年9月時点)
相続の手続きで戸籍を調べている方へ:集める戸籍の範囲
本籍が分かったら、次は戸籍を集める段階です。誰の戸籍をどこまで集めるかは、相続人が誰かによって変わります。
本籍が判明した後、集める戸籍が何通になるかで、自分で進められるかどうかの見当がつきます。判断の目安は相続手続き、自分でできる人・できない人|戸籍の枚数で決まる判定表にまとめています。
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※本記事は2026年9月時点の法令・自治体の公開情報にもとづく一般的な整理です。手数料・必要書類・所要日数は市区町村により異なります。個別の登記・税務の判断は司法書士・税理士にご確認ください。