生命保険の受取人を、最後に確認したのはいつでしょうか。多くの方は「契約したときのまま」です。若い頃に入った保険なら、20年、30年前の家族関係のまま止まっていることになります。
受取人の放置は、「渡したい人にお金が届かない」という形で表面化します。しかも気づくのは亡くなった後で、そこから直す方法はありません。この記事では、実際によくある3つのパターンと、変更の手続きを説明します。
落とし穴1:離婚した元配偶者のまま
離婚しても、受取人は自動では変わりません。受取人欄が元配偶者のままなら、保険金は原則としてその元配偶者に支払われます。「離婚したのだから当然無効だろう」とはならないのです。
再婚して今の家族に渡したい場合はもちろん、お子さんに渡したい場合も、受取人の変更手続きをしていなければ意思は実現しません。離婚経験のある方が最優先で確認すべき項目です。前妻の子の相続権も含めた再婚後の相続の組み立て方は再婚した人の相続|前妻の子にも相続権がある。もめないための遺言の書き方にまとめています。
落とし穴2:受取人が先に亡くなっている
受取人に指定していた人が先に亡くなり、変更しないままにしていると、保険金は「亡くなった受取人の相続人全員」に均等に支払われます(保険法46条)。
たとえば兄を受取人にしていて、兄が先に亡くなった場合。変更していなければ、保険金は兄の妻と兄の子どもたちへ渡ります。自分とはほとんど付き合いのない人たちかもしれません。しかも受取人が複数になるので、請求には全員の関与が必要になり、手続きも重くなります。誰がいくら受け取るのか(法定相続分ではなく均等割です)と、必要になる戸籍の範囲は受取人が先に亡くなっていた保険金は誰のものにまとめました。
放置した受取人のまま亡くなると、お金はここへ行く
💔
元配偶者のまま
→ 原則、元配偶者に支払われる
🕊️
受取人が先に死亡
→ その人の相続人「全員」に均等に分散
👶
孫を受取人
→ 届くが、非課税枠なし+税額2割加算
似たケース、実例で確認できます
受取人が先に亡くなっている、内縁の方を受取人にしたい——同じような状況の実例をご紹介しています。ご自身のケースに近いものがないか見てみませんか。
実例を見る(無料・オンライン可)→落とし穴3:かわいい孫を受取人にしている
孫に直接渡したい気持ちで受取人にしているケースは多いのですが、税金の面では不利な指定です。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使えるのは相続人だけ。子が健在で孫が相続人でない場合、孫が受け取る保険金に非課税枠は使えません。さらに、相続人以外が受け取ると相続税が2割加算されます。
「孫に残したい」こと自体は自然な希望です。ただ、その実現方法が保険の受取人指定でよいのかは、金額と家族構成によって答えが変わります。ここは損得の計算を一度してから決める場所です。非課税枠や税負担も含めて確認したい場合は、相続に関わる保険の30分無料相談で整理できます。
受取人の変更は、思っているより簡単
受取人の変更は、契約者が保険会社に申し出るだけです。受取人本人の同意は要りません(被保険者の同意は必要です)。費用もかかりません。保険会社に電話して「受取人を変更したい」と言えば、書類が送られてきます。
流れは4つです。(1)保険会社のコールセンターに連絡して受取人変更請求書を取り寄せる、(2)新しい受取人の氏名・続柄・生年月日を書き、契約者が署名する、(3)本人確認書類を添えて返送する、(4)変更後の内容を記した書類(保険証券の裏書、または変更完了のお知らせ)が届く。この(4)が届いたら、証券と一緒に保管してください。相続が起きたときに「変更したはずなのに反映されていない」という食い違いを防ぐのは、この1枚です。
見直すきっかけになるのは、結婚・離婚・子の誕生・受取人の死亡・再婚の5つです。このどれかがあったら、証券を出してください。証券を出したら、契約者・被保険者・受取人の欄を順に確かめられる、印刷用の生命保険の契約者・受取人を見直すチェックリストもあわせてどうぞ。
変更する前に確かめておきたいことが2つあります。1つは税金です。法定相続人以外(内縁のパートナー・友人・代襲相続人ではない孫など)に変えると、非課税枠が使えなくなり、相続税額の2割加算の対象になることもあります。もう1つは遺留分です。保険金は原則として遺留分の算定に入りませんが、遺産の総額に比べて保険金が著しく大きい場合には持ち戻しの対象とされた例があります(最高裁平成16年10月29日決定)。詳しくは生命保険と遺留分|保険金は遺留分の対象になるのかにまとめました。
内縁のパートナーや甥・姪など、家族以外を受取人にしたい場合は会社ごとに条件が異なります。詳しくは兄弟・甥姪を受取人にする記事と内縁のパートナーに財産を渡す方法の記事にまとめています。
変更できなくなる前に
受取人の変更ができるのは、契約者に判断能力があるうちだけです。認知症が進むと、変更したくてもできなくなります。同じ理由で、本人の代わりに給付金を請求できる「指定代理請求人」も元気なうちにしか付けられません。指定代理請求人の記事とあわせて、証券をまとめて点検することをおすすめします。
相談員メモ
受取人の確認は、証券の1か所を見るだけの一番簡単な生前対策です。それでも放置されているのは、「見る機会がない」からに尽きます。ご相談では最初の5分で証券の受取人欄を全部並べます。それだけで直すべき契約が見つかることは珍しくありません。
まとめ
元配偶者のままなら元配偶者へ。先に亡くなった人のままなら、その人の相続人全員へ分散。孫なら届くけれど税金で不利。どれも受取人欄を一度見れば防げることで、変更は電話1本と書類1枚です。証券を出して、受取人の名前を確認するところから始めてください。
受取人、いま誰になっているか確認しませんか
証券が1枚あれば、いま誰が受け取ることになっているか、その指定で希望どおりになるかを30分で確認できます。変更したい相手が内縁の方や甥・姪でも、方法を一緒に探します。
お電話でも:052-766-5650(相談中の場合は折り返しご連絡します)
来所や電話が難しい方へ:保険証券の写真をLINEで送っていただければ、相談員が内容を見て2営業日以内に返信します。
※本記事は一般的な情報の整理です。受取人変更の条件・手続きは保険会社ごとに異なります。税額の計算など個別の税務判断は税理士にご確認ください。
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本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
