民間の介護保険金はどう受け取る?|要介護認定との連動、請求できる人、税金の違い

親が民間の介護保険に入っていた。要介護の状態になったので保険金を受け取りたい——ここで最初につまずくのが、「いつから請求できるのか」と「誰が請求できるのか」の2つです。どちらも、親の状態ではなく保険会社の約款と公的な認定で決まります。

この記事では、支払要件の考え方、請求の流れ、家族が代わりに請求するために必要な準備、そして受け取ったお金にかかる税金(介護保険金と死亡保険金では扱いが違います)を順に整理します。

目次

先に結論:認定が先、請求はその後。受け取るのは本人

要介護認定 → 請求 → 受取までの流れ

📝

1. 市区町村へ
要介護認定を申請

認定の効力は
申請日にさかのぼる

🏅

2. 認定が出る

原則30日以内
目安は要介護2以上

📮

3. 保険会社へ請求

請求できるのは
原則 本人だけ

💰

4. 受け取る

一時金/年金型

本人が受け取る介護保険金は

非課税

(所得税法第9条・施行令第30条/身体の傷害に基因して支払を受けるもの) 一方、死亡保険金は相続税の対象

2026年9月時点。支払要件・給付の型は保険会社および商品により異なります。税の取扱いは国税庁の情報にもとづく一般的な説明です。

ポイントは3つです。保険金を出す判断は多くの商品で公的な要介護認定に連動するので、認定を取らないと請求が始まらない。請求できるのは原則として本人だけなので、認知症が進むと家族は手が出せない。そして、本人が受け取る介護保険金は非課税だが、死亡保険金は相続税の対象になる。順に見ていきます。

支払要件:公的な「要介護2以上」に連動する商品が多い

民間の介護保険が保険金を支払う条件は、大きく2通りに分かれます。

  • 公的介護保険連動型:市区町村の要介護認定で一定以上(要介護2以上とする商品が多い)と認定されたら支払う
  • 会社独自基準型:約款に定めた要介護状態が、一定期間(180日など)続いたら支払う

両方を組み合わせている商品もあります。たとえばプルデンシャル生命は、介護年金・介護一時金の支払対象を「公的介護保険制度による要介護2以上に該当していると認定されたとき」とし、満65歳未満の被保険者については「約款に定める要介護状態に該当し、その状態が継続して180日以上あるとき」という独自基準も設けていると案内しています。年齢によって適用される基準が変わるということです。

ここで実務上いちばん影響が出るのは、独自基準型の「180日継続」です。要介護の状態になった日からカウントするので、認定が出てもすぐには支払われません。加入している商品がどちらのタイプかで、お金が入るまでの時間が数か月単位で変わります。証券か「ご契約のしおり・約款」の支払事由の欄を、先に確認してください。

出典:プルデンシャル生命保険「介護年金・介護一時金をお支払いできる場合」(2026年9月時点)。支払要件は保険会社・商品により異なります。

要介護認定の申請を先送りしない理由

「まだそこまでではない」「本人が嫌がる」で申請を延ばす家庭は多いのですが、連動型の商品に入っているなら、申請の遅れはそのまま保険金の遅れになります。認定通知書は請求時の添付書類になるので、認定がなければ請求そのものが立ち上がりません。

制度の側は、遅らせない設計になっています。市区町村は申請のあった日から原則30日以内に認定するとされています(金沢市など各市の案内)。そして認定の効力は申請日にさかのぼります。千葉市は公式のQ&Aで「要介護認定の効力は申請日にさかのぼって生じることから、申請日から認定日までの間でも(暫定介護サービス計画を策定して)、介護サービスの利用が可能です」と説明しています。

つまり、迷っている期間はまるごと損になります。認定が出るまでの1か月を待つのではなく、「認定が要りそうだ」と思った時点で申請する。介護サービスの利用も保険金の請求も、そこが起点になります。判定に納得できなければ区分変更の申請もできます。

請求できるのは原則「本人」。ここが家族の壁になる

介護保険金は、被保険者本人が受取人になっている「本人が受け取る」タイプのお金です。そして生命保険は、請求しなければ1円も支払われません。認定が出て、支払要件も満たしているのに、本人が請求できる状態になければ、そのまま止まります。

介護保険金が必要になる場面と、本人の判断能力が落ちている場面は、かなりの確率で重なります。家族が代わりに電話をしても、保険会社は原則として応じられません。本人の財産だからです。

この穴を埋めるのが指定代理請求人です。あらかじめ契約に付けておけば、本人が請求できない特別な事情があるときに、指定された人が代わりに請求できます。多くの会社で無料の特約として扱われ、手続きは書類1枚のことが多い。ただし、付けられるのは本人が元気なうちだけです。しくみと指定できる範囲は認知症になると保険金の請求も解約もできない|「指定代理請求人」を元気なうちに決めておくにまとめました。

あわせて、契約内容を家族が照会できるようにしておく保険会社の家族登録制度も確認しておくと、いざというとき「どの会社に何の契約があるか分からない」で止まりません。

一時金型と年金型、受け取り方で使い勝手が変わる

介護一時金介護年金
受け取り方要件を満たしたときにまとまった額を1回要件を満たしている間、年単位で継続
向いている出費住宅改修、介護ベッドや車いすの購入、入居一時金施設利用料、デイサービス、おむつ代など毎月の固定費
注意点使い切ると次がない継続の判定がある。支払応当日に要件を満たしているかを確認される商品が多い

年金型は、2回目以降は年単位の支払応当日に要件を満たしているかで支払いが続くかどうかが決まる、という設計の商品があります(プルデンシャル生命の案内による)。状態が改善して要件を外れれば止まることもある、ということです。一時金と年金を組み合わせた商品もあるので、証券では「一時金いくら」「年金年額いくら」の両方を見てください。

まとまった初期費用のほうが読みにくい、というのが実際です。住宅改修や福祉用具には公的な補助もあるので、保険金を充てる前に使える制度がないかを確認しておくと手元が楽になります。介護保険で使える補助金・助成金まとめ|申請すればもらえるお金を見逃さないに申請先ごとに整理しました。

税金:介護保険金は非課税、死亡保険金は相続税

同じ1本の保険から出るお金でも、種類によって税の扱いが変わります。ここは混同されやすいところです。

本人が受け取る介護保険金は非課税

身体の傷害に基因して支払を受ける保険金・給付金は、所得税法第9条(非課税所得)と所得税法施行令第30条により非課税とされています。入院給付金や高度障害保険金と同じ扱いで、介護保険金もここに含まれると整理されるのが一般的です。所得税基本通達では、疾病により重度障害の状態になったことに基因して支払を受けるものも含むとされています。所得税がかからないので、確定申告で所得として申告する必要もありません。

受け取る人が本人以外でも非課税になる場合があります。所得税基本通達9-20は、支払を受ける人と身体に傷害を受けた人が異なる場合でも、支払を受ける人がその配偶者、直系血族、または生計を一にするその他の親族であれば、同じく非課税の規定の適用があるとしています。指定代理請求人として子が受け取る場面が、多くはここに当たります。

残ったお金は相続財産になる

見落とされがちなのがここです。受け取った時点では非課税でも、使われずに親の口座に残ったまま親が亡くなれば、その残額は現金・預金として相続財産に入ります。死亡保険金のような非課税枠はありません。介護費用に充てるつもりで一時金を受け取り、実際には施設費が公的給付でおおむね賄えた、というケースでは、まとまった額が手つかずで残ることがあります。

死亡保険金は相続税(非課税枠がある)

親が亡くなって相続人が受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象です。ただし「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税とされています。介護保険金とは根拠も枠組みもまったく別なので、「保険金だから非課税」とひとまとめにしないでください。非課税枠の使い方は死亡保険金を受け取った後にすること|非課税枠の使い残しと、二次相続で現金が詰まらない設計で整理しています。

出典:国税庁(所得税法第9条、所得税法施行令第30条、所得税基本通達9-20・9-21、相続税の生命保険金の非課税限度額)。2026年9月時点。契約形態や受取人によって結論が変わることがあるため、実際の申告にあたっては税理士にご確認ください。

請求のときに用意するもの

  1. 保険証券(証券番号)。手元になければ保険会社に問い合わせる。
  2. 要介護認定の結果通知書、介護保険被保険者証の写し。連動型ではほぼ必須。
  3. 保険会社所定の請求書。会社によっては医師の診断書や所定の書式が要る。
  4. 本人確認書類、振込先口座。指定代理請求人が請求するなら、その人の確認書類も。

支払いまでの目安は、主要各社が「請求書類が到着した日の翌日から原則5営業日以内」と定めています。現場では、書類が揃っていれば3営業日程度で入金されることも多い印象です。逆に、診断書の取得や不備の差し戻しでひと月かかることもあります。時間がかかるのは審査より書類集めのほうです。

相談現場から|相談員メモ

介護のご相談で証券を拝見すると、指定代理請求人の欄が空欄のままの契約が実際に多くあります。介護保険金は本人しか請求できないお金なので、この欄が空いていると、いちばん必要な時期に手が止まります。付けるのは多くの会社で無料、書類1枚。ただし認知症が進んだ後は付けられません。当社は愛知県内で累計約500件ほどの相続のご相談をお受けしていますが、保険の話はたいてい「まだ元気なうちに聞いておけばよかった」から始まります。取扱いは会社・商品により異なります。

まとめると、認定を早く取ること、請求できる人をあらかじめ決めておくこと、受け取ったお金の性質を分けて考えること。この3つで、民間の介護保険は「入っていたのに使えなかった」を避けられます。介護そのものがしんどくなっているときに、手続きの調べ物まで背負う必要はありません。親の介護に疲れましたと感じたら|限界のサインと、頑張りすぎているあなたへも、よければ。

親の介護保険、請求できる状態になっているか分からない方へ
支払要件がどちらのタイプか、指定代理請求人の欄が埋まっているか、受け取った後の相続まで含めてどう見えるか。証券をお持ちいただければ30分で整理できます。当社も保険募集を行う立場です。比較の結果「今は何もしなくてよい」が答えになることもあります。愛知県内は対面、それ以外はオンラインです。
お電話 052-766-5650(相談中は折り返しになります)

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※本記事は2026年9月時点の公的情報および各社の公開案内にもとづく一般的な説明です。支払要件、給付の型、請求書類、支払いまでの日数は保険会社および商品によって異なります。かならずご契約先の最新の約款・ご案内でご確認ください。税の取扱いは契約形態や受取人によって結論が変わることがあるため、個別のご判断は税理士に、法務のご判断は弁護士等の専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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