愛知県内の行政書士事務所で家族信託の見積もりを取ったところ、「信託財産の1%程度が目安です」と言われ、想定より大きな金額に驚いた——という話をよく伺います。内訳を聞くと、コンサルティング報酬のほかに公正証書費用や登記費用が別にかかるとのこと。何にいくらかかっているのか分からないまま、もう1件見積もりを取るべきか迷っている方も少なくありません。
✅ この記事の結論(30秒まとめ)
- 家族信託の費用は主に「①専門家コンサルティング報酬 ②契約書作成・公正証書費用 ③(不動産がある場合の)登記費用・登録免許税」の3つに分かれます
- コンサルティング報酬は信託財産評価額の約1%程度が目安(最低30万円前後というケースもあります)
- 登録免許税は土地が評価額の0.3%程度、建物が0.4%程度が目安です(軽減措置は時限的なもので変動があります)
- 金額は依頼先や信託財産の内容で変動が大きいため、必ず複数の専門家に見積もりを取ることをおすすめします
「費用をかけたくない」と思っている方の本音は、実は金額そのものより、何にいくらかかるか分からないまま相談して断れなくなるのが怖い、という点にあることが多いです。内訳が見えないまま話を進めると、後から「思っていたより高かった」という不満につながります。だから、この記事では、家族信託の費用を項目ごとに分解し、2026年7月時点の一般的な目安を示します。デメリット自体の詳しい説明は別記事に譲り、この記事は費用の内訳整理に絞ります。
家族信託の費用、4つの内訳
家族信託にかかる費用は、大きく分けて次の4項目です。
信託契約そのもののデメリットや、後見制度など他制度との比較は家族信託のデメリットと費用|後悔しないための判断基準を中立の立場で解説で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
コンサルティング報酬の相場(信託財産評価額の1%が目安)
家族信託の専門家報酬は、多くの事務所で「信託財産評価額に対する料率」で決められています。1億円以下の部分は1%程度、財産額が大きくなるほど料率が逓減する段階制を採用している事務所が一般的です。たとえば信託財産が3,000万円であれば30万円台、5,000万円であれば50万円台が目安になります。ただし最低報酬額を設定している事務所も多く、財産額が少額でも30万円前後は見ておく必要があります。この料率・最低額は事務所によって差があるため、あくまで一般的な目安として捉えてください。
公正証書費用の目安(信託財産額に応じた段階制)
家族信託は法律上、必ず公正証書で作成しなければならないわけではありませんが、対抗要件や信頼性の観点から公正証書化するのが実務上の主流です。公証人手数料は信託する財産の額に応じて段階的に決まり、数万円〜10万円程度が一つの目安です。財産額が大きくなるほど手数料も上がりますが、極端に高額になるわけではなく、コンサルティング報酬に比べると小さい割合です。
不動産を信託する場合の登録免許税・登記費用
自宅やアパートなど不動産を信託財産に含める場合は、信託登記が必要になり、登録免許税がかかります。目安として、土地は固定資産税評価額の0.3%程度(軽減税率が適用される時限的な措置で、期限や税率は今後変わる可能性があります)、建物は0.4%程度です。たとえば土地の評価額が2,000万円であれば、登録免許税はおおよそ6万円程度が目安になります。これに加えて、登記手続きを代行する司法書士への報酬が6万円〜16万円程度かかるのが一般的です。金額は評価額や物件の数によって変わるため、事例として捉えてください。
総額シミュレーション:愛知県内の事例
あくまで一つの事例として、信託財産が自宅(評価額1,500万円)と預金500万円、合計2,000万円程度のケースで考えると、コンサルティング報酬が最低額の30万円前後、契約書作成・公正証書費用で数万円〜10万円程度、登記費用・登録免許税で10万円前後となり、合計でおおよそ40万円台〜60万円程度になることが多いというのが一般的な目安です。財産額が大きくなる、不動産が複数ある、自社株など評価が複雑な財産が含まれるといった場合は、これより上振れし100万円を超える例もあります。金額は依頼先・財産の内容によって大きく変動するため、必ず複数の専門家に見積もりを取り、内訳を書面で確認したうえで判断してください。
見積もりを比較する際に見落とされがちなのが、「コンサルティング報酬に何が含まれているか」です。契約書の作成だけを指す事務所もあれば、信託後の税務相談や年1回の運用アドバイスまで含む事務所もあります。同じ料率でもサービス範囲が異なると、後から追加費用が発生することがあるため、見積もりの際は含まれる業務範囲を必ず書面で確認してください。
専門家報酬をかけるメリットが薄いケースもあります
信託したい財産が預貯金数百万円程度のみで、不動産や自社株のような契約行為が絡む資産がない場合は、専門家報酬をかけてまで家族信託を組むメリットは薄くなります。このようなケースでは、生前贈与や預貯金の取り分け、代理人カードの登録など、より費用のかからない方法で足りることもあります。信託を含めた選択肢全体の比較は家族信託で親の”資産凍結”を防ぐ|アパート・自社株の信託と任意後見・成年後見との違いで整理しています。
セルフチェック:見積もりを取る前に確認したいこと
- 信託したい財産(不動産・預貯金など)の合計がある程度まとまった金額(目安として1,000万円以上)である
- 信託財産に不動産が含まれる予定がある
- 複数の専門家(行政書士・司法書士・弁護士等)から見積もりを取ったことがない
- 費用が総額でいくらになるか、内訳も含めて把握していない
- 「言われるがまま」契約してしまうのではと不安がある
該当数による目安
0〜1個: 家族信託自体を急ぐ必要は高くありません。無理に相談される必要はなく、まずは記事内の内訳を参考にしてください。
2〜3個: 判断が必要な論点があります。下記の診断でご自身の状況を整理してみてください。
4個以上: 複数の専門家から見積もりを取り、面談で内容を比較検討することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
見積もりだけ先に取ってもいいですか?
問題ありません。見積もりの依頼と契約は別のものです。複数の事務所から見積もりを取り、内訳とサービス範囲を比較したうえで依頼先を決めることをおすすめします。
まだ財産の整理もしていないのに相談していいのでしょうか?
問題ありません。財産の内容や評価額がおおまかにわかっていれば見積もりの目安は出せます。むしろ整理段階から相談することで、信託が必要かどうかの判断も含めて進められます。
費用を安く抑える方法はありますか?
信託財産の範囲を必要最小限に絞る、契約書のひな形を活用できる範囲で簡素にする、複数の専門家の見積もりを比較するといった方法があります。ただし安さだけを優先して契約内容が不十分になると、後々のトラブルにつながるため、内容とのバランスで判断してください。
分割払いは可能ですか?
事務所によって対応が異なります。分割払いに対応しているか、契約前に必ず確認してください。
見積もりの妥当性はどう判断すればいいですか?
金額の大小だけでなく、コンサルティング報酬に含まれる業務範囲(契約書作成のみか、信託後の相談まで含むか)を必ず確認してください。同じ金額でもサービス範囲が異なることがあります。複数の見積もりを並べて比較することが、妥当性を判断する最も確実な方法です。
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本記事の費用目安は2026年7月時点で確認できた一般的な情報にもとづくものであり、司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。実際の費用は財産の内容・依頼先によって変動するため、複数の専門家に見積もりを取ることをおすすめします。個別の税額計算は税理士にご相談ください。
この先どうするか、決めかねている方へ
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