愛知県内の行政書士事務所で家族信託の見積もりを取ったところ、「信託財産の1%程度が目安です」と言われ、想定より大きな金額に驚いた——という話をよく伺います。内訳を聞くと、コンサルティング報酬のほかに公正証書費用や登記費用が別にかかるとのこと。何にいくらかかっているのか分からないまま、もう1件見積もりを取るべきか迷っている方も少なくありません。
✅ この記事の結論(30秒まとめ)
- 家族信託の費用は主に「①専門家コンサルティング報酬 ②契約書作成・公正証書費用 ③(不動産がある場合の)登記費用・登録免許税」の3つに分かれます
- コンサルティング報酬は信託財産3,000万円以下で33万円、基本報酬48万5,000円〜という設定が、愛知県内で料金を公開している複数の事務所で確認できます(2026年9月時点)。1億円以下は財産額の1%前後が目安です
- 登録免許税は、建物が固定資産税評価額の0.4%、土地が0.3%です(土地は2029年3月31日までの軽減措置)
- 手続きは「相談→設計→契約書→公正証書→信託登記→信託口口座」の順です。登記は司法書士、税金は税理士と、作業ごとに頼む先が分かれます。信託口口座を作れるかどうかは銀行ごとに違います
- 金額は依頼先や信託財産の内容で変動が大きいため、必ず複数の専門家に見積もりを取ることが大切です
「費用をかけたくない」と思っている方の本音は、実は金額そのものより、何にいくらかかるか分からないまま相談して断れなくなるのが怖い、という点にあることが多いです。内訳が見えないまま話を進めると、後から「思っていたより高かった」という不満につながります。だから、この記事では、家族信託の費用を項目ごとに分解し、愛知県内の事務所が公開している料金をもとに2026年9月時点の相場を示します。デメリット自体の詳しい説明は別記事に譲り、この記事は費用の内訳と、相談から信託口口座の開設までの手続きの流れ、どこに何を頼むかに絞ります。手続きをどこで(公証役場・法務局・銀行・税務署)するかの一覧と、専門家に頼まず自分でした場合の実費の計算例も載せました。
家族信託の費用、4つの内訳
家族信託にかかる費用は、大きく分けて次の4項目です。
信託契約そのもののデメリットや、後見制度など他制度との比較は家族信託のデメリットと費用|後悔しないための判断基準を中立の立場で解説で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
コンサルティング報酬の相場(信託財産評価額の1%が目安)
家族信託の専門家報酬は、多くの事務所で「信託財産評価額に対する料率」で決められています。1億円以下の部分は1%程度、財産額が大きくなるほど料率が逓減する段階制を採用している事務所が一般的です。たとえば信託財産3,000万円なら33万円、5,000万円なら50万〜55万円が、愛知県内の事務所が公開している料金から計算できる目安です。ただし最低報酬額を設定している事務所が多く、財産額が少額でも33万円前後は見ておく必要があります。この料率・最低額は事務所によって差があるため、あくまで一般的な目安として捉えてください。
自分のケースがどのあたりに乗るかは、次の3点でおおよそ見当がつきます。信託財産の総額(料率がそのまま効きます)、信託する不動産の数(登記報酬と登録免許税が物件ごとに増えます)、受益者連続や信託監督人といった条項をどこまで入れるか(契約書作成の手間が変わります)。逆に預貯金だけを少額で信託するケースは、料率より最低報酬額のほうが効くため、財産額を減らしても総額はあまり下がりません。
公正証書費用の目安(信託財産額に応じた段階制)
家族信託は法律上、必ず公正証書で作成しなければならないわけではありませんが、本人の意思の確認や、銀行で信託口口座を開くときの扱いを考えて、公正証書にするのが一般的です。日本弁護士連合会のガイドラインも、信託契約は原則として公正証書で作るべきだとしています。公証人手数料は信託する財産の額に応じて段階的に決まります。2025年10月の改定後は、目的価額3,000万円まで2万6,000円、5,000万円まで3万3,000円、1億円まで4万9,000円。これに1億円以下の場合は一律1万3,000円の信託加算が乗るので、実費としては3万9,000円〜6万2,000円あたりに収まるケースが多くなります。財産額が大きくなるほど上がりますが、コンサルティング報酬に比べると小さい割合です。
不動産を信託する場合の登録免許税・登記費用
自宅やアパートなど不動産を信託財産に含める場合は、信託登記が必要になり、登録免許税がかかります。目安として、土地は固定資産税評価額の0.3%(租税特別措置法による軽減税率で、2026年10月時点では2029年3月31日までの登記が対象)、建物は0.4%です。たとえば土地の評価額が2,000万円であれば、登録免許税はおおよそ6万円程度が目安になります。これに加えて、登記手続きを代行する司法書士への報酬がかかります。信託財産3,000万円のモデルケースを公開している事務所では、登記関連の報酬を11万円としています。金額は評価額や物件の数によって変わるため、事例として捉えてください。
総額シミュレーション:愛知県内の事例
愛知県内の事務所が公開しているモデルケースでは、信託財産3,000万円(自宅+預金)で、コンサルティング報酬33万円+契約書作成・確定日付16万5,000円+登記関連11万円+登録免許税6万円=総額およそ66万5,000円。信託財産7,000万円クラスでは総額100万円前後(登録免許税を除く)という例が示されています。上振れするのは、不動産が複数ある、自社株など評価が複雑な財産が含まれる、受益者連続型で契約条項が増える、といったケースです。逆に預貯金だけの少額信託では最低報酬額が効くため、財産を減らしても総額はさほど下がりません。金額は依頼先と財産の内容で変わるので、複数の専門家から見積もりを取り、内訳を書面で確認したうえで判断してください。
家族信託の手続きの流れ|相談から信託口口座まで6段階
家族信託の手続きは、相談→設計→契約書→公正証書→信託登記→信託口口座の順に進みます。費用が出るのは主に②〜⑤です。銀行で信託口口座を作れるかどうかは、①か②の段階で確かめておくと、契約書のやり直しを防げます。
| 段階 | すること | 主に関わる人 | ここで出る費用 |
|---|---|---|---|
| ①相談 | 家族で「誰の、どの財産を、何のために」託すかを話し合い、専門家に相談する | 親、受託者になる子、専門家 | 相談料(無料かどうかは事務所による) |
| ②設計 | 受託者・受益者、信託する財産、親が亡くなった後に受け取る人、信託監督人を置くかを決める | 専門家 | コンサルティング報酬 |
| ③契約書の作成 | 設計にそって信託契約書の案文を作り、家族で読み合わせる | 専門家 | 契約書作成の報酬(コンサルティング報酬に含む事務所もある) |
| ④公正証書にする | 公証役場で、公証人が親本人の意思を確かめたうえで公正証書にする | 親、受託者、公証人 | 公証人手数料(財産額に応じた額+信託の加算1万3,000円) |
| ⑤信託登記 | 不動産を信託する場合、名義を受託者に移し、信託の登記をする | 司法書士 | 登記の報酬+登録免許税 |
| ⑥信託口口座の開設 | 受託者が信託口口座を開き、信託する預金を移す | 受託者、金融機関 | 金融機関による |
②で決める受託者は、帳簿をつけ続けられる家族であることが前提です。選び方は家族信託の受託者は誰にする?で整理しています。
信託が始まった後も、受託者の仕事は続きます。信託した財産を自分の財産と分けて管理し(信託法第34条第1項)、帳簿を作ります(同法第37条第1項)。翌年1月31日までに「信託の計算書」を税務署に出すのも受託者の役目です(所得税法第227条)。収益の額などによっては提出が要らない場合もあるので、税理士か税務署で確かめてください。
司法書士に頼むと、費用はどこで出るか
司法書士の見積書を見るときは、上の6段階に当てはめると読みやすくなります。②③がコンサルティング報酬と契約書作成の報酬、⑤が信託登記の報酬です。④の公証人手数料と⑤の登録免許税は実費で、法令で額が決まるため、どの専門家に頼んでも同じです。事務所ごとに差が出るのは報酬の部分なので、見積もりを比べるときは報酬の行だけを並べると違いがわかります。
家族信託の手続きはどこでする?公証役場・法務局・銀行・税務署で行うこと
先に結論です。家族信託の手続きをする場所は、主に公証役場・法務局・銀行・税務署の4か所です。このうち、親本人が関わる必要があるのは、公証役場での契約と、法務局への名義変更の申請です。どちらも親が自分で判断できるうちにしかできません。
| 場所 | そこでする手続き | 関わる人 | 必要なもの・実費 |
|---|---|---|---|
| 公証役場 | 信託契約を公正証書にする | 親(委託者)と、受託者になる子 | 必要書類は予約のときに確かめる。公証人手数料(財産額に応じた額+1万3,000円) |
| 法務局 | 不動産の名義を受託者に移し、同時に信託の登記をする | 親と受託者が一緒に申請する。窓口のほか郵送でも出せる | 親の登記識別情報(権利証)、作成後3か月以内の親の印鑑証明書、登録免許税 |
| 銀行 | 信託口口座を開き、信託する預金を移す | 受託者(銀行ごとに手続きが違う) | 信託契約書(日弁連のガイドラインは公正証書を原則としている)。扱いのない銀行もある |
| 税務署 | 信託の計算書を出す(翌年1月31日まで) | 受託者 | 収益の額などによって、出さなくてよい場合がある |
| 市区町村 | 印鑑証明書・住民票・固定資産評価証明書を取る | 親と受託者 | 手数料は市区町村ごとに決まっている |
回る順番は、公証役場→法務局→銀行が基本です。登記と口座開設には、できあがった契約書が要るからです。公証役場は予約制で、案文のやり取りに日数がかかります。親が入院していて出向けないときは、公証人に出張を頼めることがあります。その分の費用は公証役場で確かめてください。
法務局の申請で親が申請人になるのは、名義を移す登記を、親と受託者の2人で申請する決まりだからです(不動産登記法60条)。信託の登記だけなら受託者1人で出せますが、名義を移す登記と同時に出す必要があります(同法98条)。そのため、契約から登記までを間をあけずに進めるのが安心です。
家族信託はどこに頼む?司法書士・弁護士・行政書士・税理士の違い
家族信託の相談先は、司法書士・弁護士・行政書士が中心で、税金の確認に税理士が加わります。資格ごとに担える作業が違うため、「誰に頼むか」より「どの作業を誰がするか」で考えると選びやすくなります。
| 専門家 | 主に担う作業 | 頼む場面 | 確かめておくこと |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 信託契約書の作成支援、不動産の信託登記 | 自宅やアパートを信託する | 契約書から登記まで一つの窓口で進められるか |
| 弁護士 | 信託契約書の作成、家族間の調整、もめごとへの対応 | 兄弟の意見が合わない、将来の相続でもめそう | 不動産があるとき、登記を誰が担当するか |
| 行政書士 | 信託契約書など、権利義務に関する書類の作成 | 預金だけを信託し、不動産を入れない | 信託登記の申請はできないため、不動産があれば司法書士との分担を確認 |
| 税理士 | 信託の税金の確認、受益者の確定申告、信託の計算書 | アパートなど収益物件を信託する、贈与税がかからない設計か確かめたい | 契約書の作成は別の専門家が担うことが多い |
どの資格でも、家族信託を扱った件数には事務所ごとに差があります。最初の電話で「家族信託を扱っているか」「これまでに何件組成したか」「信託口口座を開設できた金融機関があるか」の3つを聞くと、比べやすくなります。
銀行の信託口口座|手続きと確認すること
信託口口座は、受託者が信託財産のお金だけを入れる口座です。名義は「委託者〇〇 受託者△△ 信託口」のように、信託の口座だとわかる形になります(日本弁護士連合会「信託口口座開設等に関するガイドライン」)。受託者が自分の財産と分けて管理する義務を、口座の形で守るためのものです。
注意したいのは、信託口口座を作れるかどうかが銀行ごとに違う点です。同じガイドラインも、開設できるかどうかは個々の金融機関の判断が尊重されるとしています。親の取引銀行で作れるとは限りません。契約書を作る前に、使いたい銀行へ次の4つを確かめておきます。
- 信託口口座を扱っているか(扱う支店が限られていないか)
- 開設に必要な書類(契約書を公正証書で作る必要があるか、など)
- 契約書の文案を、作成前に見てもらえるか
- 受託者が亡くなったときや交代したときの手続き
取引銀行で作れない場合は、作れる銀行を探して預金を移すか、信託に入れる預金の範囲を考え直すことになります。受託者個人の普通口座で代わりにすると、受託者自身のお金と混ざり、あとで区別がつきにくくなります。施設費用の支払いが近く、どの預金を信託に入れるかを早めに決めたいときは、30分の無料相談で、信託に入れるお金と手元に残すお金の分け方を整理することもできます。
家族信託を自分でする場合の費用|公正証書と信託登記の実費と難しさ
先に結論です。専門家に頼まず、家族だけで公正証書と信託登記まで進めた場合、かかるのは法令で決まった実費だけです。信託財産3,000万円の例で、公証人手数料と登録免許税を合わせて11万円ほどです。上の愛知の事例(総額約66万5,000円)との差は、ほぼ専門家の報酬の分です。
実費の計算例:信託財産3,000万円(土地1,500万円・建物500万円・預金1,000万円)
| 項目 | 決まり | この例の額 |
|---|---|---|
| 公証人手数料(基本) | 目的の価額1,000万円超3,000万円以下は2万6,000円 | 26,000円 |
| 信託の加算 | 信託の公正証書は1万3,000円を加える(信託財産が1億円を超えるときは加えない) | 13,000円 |
| 枚数の加算 | 横書きで3枚を超える1枚ごとに300円 | 2,100円(10枚の場合) |
| 正本・謄本の交付 | 1枚300円 | 6,000円(10枚を2通) |
| 登録免許税(名義を受託者に移す登記) | 信託のために委託者から受託者へ移す登記は非課税 | 0円 |
| 登録免許税(信託の登記・土地) | 評価額の0.3%(2029年3月31日までの軽減税率。本来は0.4%) | 45,000円 |
| 登録免許税(信託の登記・建物) | 評価額の0.4% | 20,000円 |
| 合計 | このほか、印鑑証明書・評価証明書・登記事項証明書などの手数料 | 112,100円 |
自分でするときに難しいところ
実費だけ見ると安く済みますが、家族だけで進めると、次の3つでつまずきやすくなります。
- 信託の登記の書き方:申請書には、委託者・受託者・受益者、信託の目的、財産の管理の方法、信託が終わる事由などを、信託目録に載せる内容として書きます(不動産登記法97条1項)。契約書の条項を、登記の言葉に置き換える作業が要ります。
- 親が申請人になる:名義を移す登記は、親と受託者が一緒に申請します。親の権利証(登記識別情報)と、作成後3か月以内の印鑑証明書が要ります(不動産登記令16条)。書類の不備で出し直しになると、その間に親の体調が変わることもあります。
- 銀行が受け付けるか:信託口口座を作れるかどうかは、銀行ごとの判断です(日弁連ガイドライン)。家族で作った契約書の文面では開設できず、作り直しになることがあります。
自分でするか迷うときは、全部を頼むか全部を自分でするかの二択にしなくてかまいません。たとえば、契約書の案文は専門家に見てもらい、登記は司法書士に頼み、口座の相談は家族が銀行でする、という分け方もあります。見積もりを取るときは、どの作業を頼むかを決めてから依頼すると、報酬の差が比べやすくなります。
専門家報酬をかけるメリットが薄いケースもあります
信託したい財産が預貯金数百万円程度のみで、不動産や自社株のような契約行為が絡む資産がない場合は、専門家報酬をかけてまで家族信託を組むメリットは薄くなります。このようなケースでは、生前贈与や預貯金の取り分け、代理人カードの登録など、より費用のかからない方法で足りることもあります。信託を含めた選択肢全体の比較は家族信託で親の”資産凍結”を防ぐ|アパート・自社株の信託と任意後見・成年後見との違いで整理しています。
セルフチェック:見積もりを取る前に確認したいこと
- 信託したい財産(不動産・預貯金など)の合計がある程度まとまった金額(目安として1,000万円以上)である
- 信託財産に不動産が含まれる予定がある
- 複数の専門家(行政書士・司法書士・弁護士等)から見積もりを取ったことがない
- 費用が総額でいくらになるか、内訳も含めて把握していない
- 「言われるがまま」契約してしまうのではと不安がある
該当数による目安
0〜1個: 家族信託自体を急ぐ必要は高くありません。無理に相談される必要はなく、まずは記事内の内訳を参考にしてください。
2〜3個: 判断が必要な論点があります。生前対策診断(1分・無料)でご自身の状況を整理してみてください。
4個以上: 複数の専門家から見積もりを取り、面談で内容を比べて検討すると判断しやすくなります。
今日の一歩:並べて比べられる見積もりの取り方
どこで探すか。家族信託を実際に扱っている事務所は多くありません。愛知県司法書士会・愛知県行政書士会・愛知県弁護士会の相談窓口や、各会の会員検索から候補を挙げ、電話で「家族信託の取扱いがあるか」を先に確認して絞り込みます。
持っていくものは、固定資産税の納税通知書(不動産の件数と評価額がひと通り分かります)、登記事項証明書、預貯金の残高が分かるもの、それに家族関係のメモ(誰に託し、誰が受け取るか)です。
伝える3点は、①信託したい財産の内訳と概算額 ②不動産の件数と所在 ③受益者連続や信託監督人といった条項を入れるかどうか。この3つを各事務所に同じ内容で伝えると、出てきた見積もりを並べて比べられます。条件がそろっていない見積もりを比べても、金額の差が何の差なのか分かりません。
見積書で見る2点。報酬と実費(公証人手数料・登録免許税)が分けて書かれているか。そしてコンサルティング報酬に、契約書の作成・信託登記・信託が始まった後の相談のどこまでが含まれているか。同じ金額でも範囲が違うことがあります。
期限の考え方:家族信託は、親が契約の内容を理解し、自分の意思で決められるうちにしか結べません。判断能力が低下した後は契約そのものが成立せず、法定後見を使うことになります。公正証書の作成も予約制で、案文のやり取りに数週間かかることを見ておいてください。
よくある質問(FAQ)
見積もりだけ先に取ってもいいですか?
問題ありません。見積もりの依頼と契約は別のものです。複数の事務所から見積もりを取り、内訳とサービス範囲を比較したうえで依頼先を決めると、あとで食い違いが起きにくくなります。
まだ財産の整理もしていないのに相談していいのでしょうか?
問題ありません。財産の内容や評価額がおおまかにわかっていれば見積もりの目安は出せます。むしろ整理段階から相談することで、信託が必要かどうかの判断も含めて進められます。
費用を安く抑える方法はありますか?
信託財産の範囲を必要最小限に絞る、契約書のひな形を活用できる範囲で簡素にする、複数の専門家の見積もりを比較するといった方法があります。ただし安さだけを優先して契約内容が不十分になると、後々のトラブルにつながるため、内容とのバランスで判断してください。
分割払いは可能ですか?
事務所によって対応が異なります。分割払いに対応しているか、契約前に必ず確認してください。
家族信託の手続きは、家族だけでできますか?
法律上は、専門家に頼まずに家族だけで信託契約を結ぶこともできます。ただ、その後に不動産の信託登記、銀行の信託口口座の開設、税務署への書類と、つまずきやすい手続きが続きます。日本弁護士連合会のガイドラインも、信託契約は原則として公正証書で作るべきだとしています。少なくとも契約書の案文と口座開設の条件は、専門家と銀行に確かめてから進めると安心です。
家族信託の手続きは、どこでしますか?
主に4か所です。公証役場で信託契約を公正証書にし、法務局で不動産の名義変更と信託の登記をし、銀行で信託口口座を開きます。信託が始まった後は、受託者が税務署に信託の計算書を出します(出さなくてよい場合もあります)。親本人が関わるのは、公証役場と法務局の手続きです。
家族信託を自分でしたら、費用はいくらになりますか?
専門家の報酬がかからず、法令で決まった実費だけになります。信託財産3,000万円(土地1,500万円・建物500万円を含む)の例では、公証人手数料が約4万7,000円、信託の登記の登録免許税が6万5,000円で、合計11万円ほどです。名義を受託者に移す登記には、登録免許税がかかりません。
見積もりの妥当性はどう判断すればいいですか?
金額の大小だけでなく、コンサルティング報酬に含まれる業務範囲(契約書作成のみか、信託後の相談まで含むか)を必ず確認してください。同じ金額でもサービス範囲が異なることがあります。複数の見積もりを並べて比較することが、妥当性を判断する最も確実な方法です。
あわせて読みたい
- 家族信託で親の”資産凍結”を防ぐ|アパート・自社株の信託と任意後見・成年後見との違い
- 家族信託のデメリットと費用|後悔しないための判断基準を中立の立場で解説
- 家族信託でアパート経営を”止めない”|賃貸オーナーの資産凍結対策
参考にした公的情報(2026年10月時点)
- 法務省「知って活用 信託制度」 https://www.moj.go.jp/content/001459940.pdf
- 日本弁護士連合会「信託口口座開設等に関するガイドライン」(2020年9月10日) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/activity/civil/shintakukouza_guide.pdf
- 国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」(令和8年4月) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_01.pdf
- 国税庁「F1-33 信託の計算書(同合計表)」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100054.htm
- 公証人手数料令(令和7年政令第263号による改正、2025年10月1日施行。9条・22条の2・25条・40条)
- 不動産登記法(60条・97条・98条)、不動産登記令(16条)、登録免許税法(7条1項1号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
本記事の費用目安は2026年9月時点で確認できた各事務所の公開料金等にもとづくものであり、司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。実際の費用は財産の内容・依頼先によって変動するため、複数の専門家に見積もりを取って比べてください。個別の税額計算は税理士にご相談ください。
