実家じまいや生前対策を考えるとき、最初の一歩になるのが「実家が誰の名義か」の確認です。ところが、親名義だと思っていた実家が、実は何十年も前に亡くなった祖父母の名義のままだった——こうしたケースは決して珍しくありません。名義が古いままだと、売却も相続も余計な手間がかかります。 名義を確認したあとに売る・貸す・住み続けるのどれを選ぶかは、実家を売る・貸す・住み続ける?費用と税金で比べる判断基準で比べられます。
この記事では、愛知県内で相続のご相談を受けている当社の視点から、実家の名義を確認する方法と、名義が古い場合の対処を、中立の立場でわかりやすく整理します。実家じまい全体の流れは実家じまい、何から始めればいいかをご覧ください。
実家の名義を確認する主な方法
1. 登記事項証明書(登記簿)を取得する
最も確実なのが、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿謄本)です。ここには不動産の所有者(名義人)が記載されています。誰でも手数料を払えば取得でき、法務局の窓口・郵送のほか、オンライン(登記情報提供サービスや申請)でも取得できます。土地と建物は別々に登記されているため、両方を確認しましょう。取得には地番・家屋番号が必要で、これは後述の納税通知書などで確認できます。
今日の一歩:登記事項証明書を1通、実際に取ってみる
行き先
最寄りの法務局(登記所)でかまいません。登記事項証明書は全国どこの法務局からでも、他の都道府県にある不動産の分を請求できます。実家が遠方でも、わざわざ現地まで行く必要はありません。
持って行くもの
土地の地番と建物の家屋番号を書いたメモ(固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細書に載っています)と、手数料。手数料は法務局内で収入印紙を買って納めます。登記事項証明書は誰でも請求できる公開情報なので、本人確認書類や親の委任状は要りません。
窓口で伝える3点
- 「全部事項証明書」がほしいと指定する(「現在事項証明書」だと、過去に誰から誰へ移ったかの履歴が出ません。名義の古さを確かめたいときは全部事項です)
- 土地と建物の両方(土地は所在+地番、建物は所在+家屋番号。別々の証明書になります)
- 実家が複数の土地にまたがっていないか(私道の持分などが別筆になっていることがあります。心配なら窓口で相談してください)
地番がわからなくて進まないとき
住所(住居表示)と地番は別物なので、ここで止まる方が多い場所です。①法務局の窓口には住居表示と地番を対照できる地図(ブルーマップなど)が備え付けてあり、職員に住所を伝えれば調べ方を案内してもらえます。②市区町村役場の資産税課で名寄帳(固定資産課税台帳)の写しを請求すると、その市区町村内にある親名義の不動産が地番付きで一覧になります(請求できるのは名義人本人や相続人などで、親が存命のうちは親の委任状を求められるのが一般的です。名古屋市では1年度・1区ごとに400円など、範囲と手数料は自治体により異なります)。実家のほかに畑や私道を持っていた、というときはこれが確実です。
2. 固定資産税の納税通知書を見る
毎年春頃に市区町村から届く固定資産税の納税通知書・課税明細書にも、対象の不動産と、その所在・地番などが記載されています。誰に課税されているかは、実質的な所有者を知る手がかりになります。ただし、あくまで課税上の情報であり、正式な名義は登記で確認するのが確実です。
3. 権利証(登記識別情報)を確認する
不動産を取得したときに交付される権利証(現在は登記識別情報通知)が手元にあれば、名義や不動産の特定に役立ちます。ただし紛失していることも多いため、確実なのは登記事項証明書の取得です。なお、権利証は相続登記に必要な書類ではありません。見つからなくても相続登記はできますので、あわてて探し回る必要はありません(売却するときには必要になるため、あれば保管しておきます)。
名義が「親ではなかった」場合の対処
確認の結果、名義が親ではなく、すでに亡くなった祖父母などのままだった場合、相続登記(名義変更)がされていない状態です。この場合、実家を売却・活用する前に、相続登記を済ませる必要があります。相続人が世代をまたいで増えていると(数次相続)、関係者が多くなり手続きが複雑になるため、早めの対応が肝心です。
なお、相続登記は2024年4月から義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象となる場合があります。2024年4月より前に開始した相続も対象で、その分は2027年3月31日までに登記する必要があります。古い名義のまま放置するリスクは高まっているため、名義を確認して問題があれば、早めに司法書士などの専門家に相談しましょう。なお、昭和22年5月2日までに亡くなった方の名義の場合は、旧民法の「家督相続」で扱いが決まります。違いは家督相続とは?長男が全部継ぐ制度の廃止と今の相続の違いで説明しています。
名義確認を「生前対策」につなげる
名義の確認は、単なる事務作業ではありません。誰が所有者かがわかれば、その先の「誰にどう引き継ぐか」を考えられます。たとえば、生前贈与で早めに名義を子へ移す、遺言書で承継先を明確にする、といった対策の出発点になります。また、親が認知症になる前に方向性を決めておくことが重要な点は、空き家にする前にすべき生前対策でも解説しています。名義確認をきっかけに、生前贈与・遺言・家族信託といった選択肢を検討するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
親の実家の名義を、子でも調べられますか?
登記事項証明書は、手数料を払えば誰でも取得できるため、子でも確認できます。地番・家屋番号がわかれば法務局やオンラインで取得可能です。地番は住所と異なる場合があるため、納税通知書などで確認しましょう。
名義が祖父母のままでした。どうすればいいですか?
相続登記がされていない状態です。売却や活用の前に、相続人を確定して相続登記を行う必要があります。世代をまたぐと相続人が増えて複雑になるため、早めに司法書士などの専門家に相談すると、手順の見通しが立ちやすくなります。相続登記は2024年から義務化されています。
納税通知書だけで名義を確認してよいですか?
納税通知書は手がかりにはなりますが、課税上の情報であり、正式な名義とは限りません。売却や相続を前提にするなら、登記事項証明書で正確な名義を確認しておくのが確実です。
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本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。複数の提携行政書士による監修体制で運営しており、特定個人の士業を推奨するものではありません。相続登記の具体的手続きは司法書士にご相談ください。
名義確認をきっかけに実家じまいが実際どのように進んだか気になる方は、実家じまいの相談事例|愛知県での取り組みと進め方のヒントもあわせてご覧ください。
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