実家の整理をしていたら、亡くなった母のゆうちょ銀行の通帳が何冊も出てきました。近所に郵便局はたくさんあるので手続き自体は簡単そうに思えたのですが、調べてみると「2回訪問が必要」という声も見かけ、何をどう進めればいいのか不安になりました。
✅ この記事の結論(30秒まとめ)
- ゆうちょ銀行の相続の相談窓口は相続コールセンター(0120-312-279、9:00~17:00、土日祝・年末年始を除く)
- 必要書類は婚姻から死亡までの連続した戸籍謄本・相続人の印鑑登録証明書・預金通帳等・遺産分割協議書(ある場合)・実印などが基本で、所定書式は「相続確認表」と「貯金等照査書(相続用)」
- 「相続Web案内サービス」や「ゆうちょ手続きアプリ」でオンライン申請もできるが、最終的な書類提出は窓口が必要で、実務上は複数回の来店が想定される
- 郵便局は全国どこにでもあるため、来店先を選べる自由度は高い
- 残高証明書の手数料は公式サイトに具体額の記載が見当たらず、窓口での確認が必要
また、預金の名義変更手続きの窓口で一時払い終身保険を案内されることもあります。その場で契約を決めず、契約前に確認しておきたい判断基準を銀行で勧められた一時払い終身保険は入るべき?後悔しないための7つの判断基準にまとめていますので、あわせてご確認ください。
「2回訪問」という言葉だけを聞くと身構えてしまいますが、実際には「相続確認表」の提出と、その後の必要書類そろえ・払戻という2段階の手続きになっているためです。オンラインの案内サービスを使えば、事前準備の負担は減らせます。この記事では、ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ・必要書類・相続コールセンターの連絡先まで、公式サイトの情報をもとに整理しました。
ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ
ゆうちょ銀行の相続手続きは、相続コールセンターへの連絡、または最寄りの郵便局窓口への相談から始まります。
相続の連絡・相続確認表の提出
相続コールセンター(0120-312-279)へ連絡するか、窓口で「相続確認表」を受け取り記入・提出します。この時点で口座は凍結されます。
必要書類の案内
相続確認表の内容にもとづき、戸籍謄本・印鑑登録証明書など必要書類が案内されます。「相続Web案内サービス」やアプリでも案内内容を確認できます。
貯金等照査書(相続用)の提出
必要書類をそろえ、「貯金等照査書(相続用)」に相続人全員が記入・実印を押印して、窓口へ提出します。
内容の確認
提出書類の確認が行われ、不足があれば追加提出を求められます。
払戻・名義変更(完了)
内容確認後、解約金は代表相続人の指定口座へ振込まれます。
相続確認表の提出と貯金等照査書の提出で窓口へ行く回数が分かれるため、実務上は複数回の来店を想定しておくと計画が立てやすくなります。なお、相続手続き全体でやるべきことの整理は、相続でやることチェックリストで詳しく解説しています。
今日の一歩:相続コールセンターへの最初の1本の電話
かける先
ゆうちょ銀行 相続コールセンター(0120-312-279、9:00~17:00、土・日・祝日・12/31~1/3を除く)。最寄りの郵便局窓口でも相談を受け付けています。
手元に用意してから電話する
通帳(記号・番号がわかるもの)/亡くなった方の氏名・生年月日・死亡日/電話をかけるご自身の氏名と続柄。この3つがあれば、その場で相続確認表の送付や案内まで進みます。
電話で伝える3点
- 名義人が亡くなったこと(氏名・生年月日・死亡日)と、通帳の記号・番号
- 「相続Web案内サービス」を使いたいか、窓口だけで進めたいか、ご自身の希望
- 「相続確認表と貯金等照査書、それぞれ何回窓口に行く必要がありますか」——最初に聞いておくと来店回数の見通しが立ちます
手続きが進まない・回数が多いと感じたときの次の一手
相続確認表の記入内容に不備があると、貯金等照査書の案内が止まることがあります。相続コールセンターに、相続確認表を提出済みである旨を伝え、次のステップの必要書類を再確認してください。
葬儀費用などで今すぐお金が必要な場合は、遺産分割前でも一部を引き出せる預貯金の払戻し制度(仮払い)を相談できます。上限は「その口座の相続開始時の残高×3分の1×その相続人の法定相続分」、かつ同一の金融機関につき150万円まで。必要書類や受付方法は金融機関により異なります。
先に来る期限
相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内。相続税の申告・納付は相続開始を知った日の翌日から10か月以内。不動産があれば相続登記は取得を知った日から3年以内。複数回の来店を想定すると往復に日数がかかるため、この3つから逆算して動いてください。
相続手続きに必要な書類
ゆうちょ銀行の相続手続きでは、一般的に以下のような書類が必要です。実際に必要な書類は遺言書・遺産分割協議書の有無など相続の形態によって異なるため、最終的には必ず相続コールセンター(0120-312-279)にご確認ください。
相続人の中に未成年者や、判断能力が十分でない方がいる場合は、家庭裁判所での特別代理人や成年後見人の選任が必要になることもあります。戸籍が複数の市区町村にまたがる場合は、戸籍の広域交付を使うと最寄りの窓口でまとめて取得できます。口座が複数の金融機関にある場合は、法務局で法定相続情報一覧図を作っておくと、戸籍の束を各行に何度も出さずに済みます。なお、相続手続きを放置した場合に起こりうるリスクについては、相続手続きをしなかったらどうなるかで詳しく解説しています。
ここまでの書類の多さを見て、「これを自分で全部そろえるのは大変そうだ」と感じた方もいるかもしれません。進め方には、自分で行う方法と、専門家に部分的に依頼する方法があります。
相続手続きを自分で進める?専門家に頼む?費用の分岐点
ゆうちょ銀行の遺産整理業務にあたるサービスの手数料は、公式サイトでは確認できませんでした。ここでは、自分で進める場合と、司法書士・行政書士など専門家に部分的に依頼する場合の費用の目安を比較します。
最新の必要書類・手数料は相続コールセンターまたは最寄りの郵便局窓口に直接ご確認ください。
どれを選ぶかの分かれ目になりやすいのは、次の3点です。
- 相続人の人数:3人以上になると、書類のやり取りや印鑑証明書の収集だけでも往復の手間が増えます
- 不動産の件数:2件以上ある場合、名義変更の手続きが複数の法務局にまたがることもあり、自分で進めるハードルが上がります
- 戸籍の枚数:被相続人の本籍地が転居のたびに変わっている場合、戸籍謄本の収集だけで数週間かかることがあります
相続人が1~2人で不動産も1件以下なら、自分で進めても大きな負担にならないケースが多い一方、上記に複数当てはまる場合は、専門家への部分依頼を含めて早めに検討しておくと安心です。判断に迷う場合は、30分の無料相談でご自身のケースに当てはめて確認することもできます。
愛知県内のゆうちょ銀行の窓口とお問い合わせ先
ゆうちょ銀行は東京都に本店を置く銀行で、全国の郵便局が窓口を兼ねているため、愛知県内であればほぼどこでも口座のある郵便局以外の窓口でも相続の相談ができます。
ただし相続の受付・案内は相続コールセンターに一本化されている部分があり、窓口だけで完結しない場合もあります。相続確認表・貯金等照査書という2段階の書式があるため、最初に案内をよく確認しておくと来店回数を抑えやすくなります。
💡 相続Web案内サービスを併用すると準備がしやすい
「相続Web案内サービス」や「ゆうちょ手続きアプリ」を使うと、必要書類の確認や進捗の把握がオンラインでできます。ただし最終的な書類の提出は窓口で行う必要があるため、来店自体をゼロにはできません。
公式サイト上では、相続コールセンターの案内ページと相続Web案内サービスの存在を確認しましたが、残高証明書の手数料についての記載は見当たりませんでした。なお、ゆうちょ銀行以外も含めた愛知県の相続の相談先については、愛知県の相続相談先マップで詳しく解説しています。
口座凍結はいつから始まるのか
金融機関は、名義人の死亡を知った時点(遺族からの連絡が一般的なきっかけです)で、その口座を凍結する取り扱いが一般的です。ゆうちょ銀行についても、死亡の連絡が入った時点で口座が凍結されるとみられます。凍結後は、正式な相続手続きが完了するまで、原則として入出金・引き落としのいずれもできなくなります。
⚠️ 注意:連絡前に引き出した場合のリスク
口座凍結前に故人の口座から現金を引き出すこと自体は、法律上直ちに禁止されているわけではありませんが、他の相続人から使途を疑われ、遺産分割協議が難航する原因になりやすい点に注意が必要です。引き出した金銭は、後日の相続税申告や遺産分割の際に「使途不明金」として説明を求められることがあります。葬儀費用などやむを得ず引き出す場合は、領収書を必ず保管し、他の相続人にも事前に共有しておきましょう。
口座凍結前にできる生前対策
相続が発生してからでは、口座凍結を止めることはできません。しかし家族が元気なうちに対策をとっておくことで、「必要なときにお金が引き出せず困る」という事態を大きく減らせます。
定期預金の普通預金化 定期預金は満期前解約の手続きが煩雑で、相続発生後は名義人本人の同意も得られず、相続人全員の書類がそろうまで実質的に動かせません。当面使う予定のない範囲で、生前に普通預金へ組み替えておくと流動性を確保しやすくなります。
生活費超過分の普通預金化 日常的な生活費を大きく超える資金を定期預金に置いたままにしていると、死亡時に家族が必要な資金をすぐ引き出せなくなりがちです。生活費の1~2年分を目安に、普通預金へ移しておくと安心です。
代理人カード(家族カード)の登録 家族名義の代理人カードを発行できる場合があり、本人が窓口に行けなくなった際の備えとして有効です。ただし死亡後は使用できなくなる点に注意し、取り扱いの有無はゆうちょ銀行の窓口へ事前に確認しておきましょう。
家族信託の活用 財産管理を家族に託す契約を結んでおけば、認知症等で本人の判断能力が低下した後も、受託者となった家族が口座の管理や資金の引き出しを継続できます。金融機関により信託口口座の取り扱いが異なるため、利用を検討する際は事前に取引店へ相談しておきましょう。
生命保険の非課税枠の活用 生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、受取人をあらかじめ指定しておけば、遺産分割協議の完了を待たずに比較的短期間で保険金を受け取れる場合があります。葬儀費用や当面の生活費の確保に役立つほか、特定の家族に確実に資金を残したい場合の対策にもなります。実際にどの対策が適しているかは財産状況や家族構成によって異なるため、税額に関わる判断は税理士など専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
なお、認知症になる前に家族で話し合っておきたいお金の管理については、親のお金の管理はどうするで詳しく解説しています。
実務知見:自宅のみの遺産分割で選択肢になる3つの方法
💡 実務知見:当社の相談をもとに再構成した典型例
【当社の相談から】遺産が自宅(不動産)だけで、預金がほとんど残っていないケースもあります(相談をもとに再構成した典型例です)。相続人が複数いる場合、共有名義にする「現物分割」は将来の売却・修繕で揉めやすい選択肢です。実務では、(1)自宅を1人が相続し他の相続人に現金を払う「代償分割」、(2)売却して代金を分ける「換価分割」がよく使われます。代償分割は現金の用意が壁になるため、生前贈与や生命保険の受取人指定など向き不向きのある選択肢を専門家と整理することをおすすめします。
この記事が「不要」な方
相続人がご自身おひとりだけで、ゆうちょ銀行の口座以外に大きな財産もなく、戸籍謄本などの書類収集に抵抗がない方であれば、本記事で紹介した流れどおりに進めるだけで、ゆうちょ銀行の相続手続きをご自身で完結できる可能性が高く、専門家への依頼は必ずしも必要ではありません。まずは相続コールセンター(0120-312-279)に問い合わせて、必要書類を確認するところから始めてみてください。
セルフチェック:今のご自身の状況を確認する
✅ 以下のうち、当てはまるものにチェックしてみてください
- □ 相続人が3人以上いる
- □ 遺産の中に不動産(自宅など)が含まれている
- □ ゆうちょ銀行のほかにも、複数の金融機関に口座がある
- □ 相続人の中に、音信不通・連絡が取りづらい人・未成年者・海外在住者がいる
- □ 遺言書の有無や内容がはっきり分からない
該当0~1個:自力で進められます。専門家に依頼しなくても、ご自身で手続きを完了できる可能性が高い状況です。
該当2~3個:判断が必要な論点があります。下記の無料相談で、ご自身の状況を整理することをおすすめします。
該当4個以上:専門家と整理した方が早い状況です。下記の無料相談で、ご自身の状況を整理したうえで、必要に応じて手続きのご相談も承ります。
上のチェックで該当が0~1個だった方は、専門家に依頼しなくてもご自身で手続きを完了できる可能性が高い状況です。無理に相談される必要はありません。
よくある質問
本当に2回窓口へ行く必要がありますか?
相続確認表の提出と、その後の貯金等照査書の提出という2段階の手続きがあるため、実務上は複数回の来店を想定しておくとよいでしょう。正確な回数は相続コールセンターにご確認ください。
相談すると必ず費用がかかりますか?断られるくらいなら、と心配です。
本記事のセルフチェックは無料でご利用いただけ、費用は発生しません。個別相談・依頼に進む場合も、正式にご依頼いただく段階まで費用は発生しないのが一般的です。
まだ相続は発生していませんが、生前対策を考えるのは早すぎますか?
早すぎることはありません。口座凍結は相続が発生してからでは止められないため、定期預金の見直しや家族信託の検討は、家族が元気で判断能力がしっかりしている今だからこそできる備えです。
家族に「そろそろ相続の話を」と切り出しにくいのですが、どうすればいいですか?
いきなり「相続」を切り出すのではなく、「ゆうちょの通帳、相続の手続きが2段階あるみたいだよ」といった客観的な情報をきっかけにするご家庭が多いようです。
残高証明書の発行には、どれくらいの手数料・日数がかかりますか?
公式サイトには具体的な金額の記載が見当たりませんでした。正確な金額・日数は相続コールセンターまたは窓口に直接ご確認ください。
まとめ
ゆうちょ銀行の相続手続きは、相続コールセンターへの連絡または窓口での相続確認表の提出をきっかけに口座が凍結され、婚姻から死亡までの連続した戸籍謄本・印鑑登録証明書・貯金等照査書などをそろえて進める流れです。相続確認表と貯金等照査書という2段階の書式があるため、複数回の来店を想定しておくと計画が立てやすくなります。口座凍結は生前のうちに普通預金化や家族信託、生命保険の活用を検討しておくことで、家族の負担を大きく減らせるものでもあります。まずはご家族の財産状況を整理するところから始めてみましょう。
🛡 生前にこれをしておけば防げた、という声もあります
口座凍結で葬儀費用や当面の生活費がすぐに用意できず困った、というご相談は少なくありません。生命保険は遺産分割の対象外で、受取人が請求すれば短期間で受け取れる場合があり、「すぐ使えるお金」の選択肢になります。まずは上記の無料相談でご自身の状況を整理したうえで、必要に応じて提携の乗合代理店(複数の保険会社を比較できる代理店)をご紹介することも可能です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税額計算や保険商品の推奨を行うものではありません。実際の税務・法的判断は税理士・弁護士など専門家にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載情報は作成時点(2026年9月)の公開情報に基づきます。最新の必要書類・手数料・受付窓口はゆうちょ銀行に直接ご確認ください。