人口約233万人を抱える名古屋市は、中部地方最大の都市であり、行政区は16区に分かれています。人口が多い分だけ相続の発生件数も多く、「相続登記はどこの法務局で手続きするのか」「相続放棄や遺産分割調停はどこの家庭裁判所なのか」といった疑問を抱える方が少なくありません。名古屋市の場合、同じ市内でもお住まいの区によって相続登記を行う法務局が異なるため、手続き前に管轄を正しく把握しておくことが大切です。
この記事では、名古屋市16区の相続手続きに関わる管轄機関——相続登記の管轄法務局(名古屋法務局本局・熱田出張所・名東出張所)、名古屋家庭裁判所本庁、市内の公証役場・税務署・区役所の相談窓口——を一括で整理します。あわせて、相続を誰に相談すればよいかの選び方や費用相場の目安も解説します。
掲載事務所から掲載料・紹介手数料は一切受け取っていません。各事務所の公式サイトおよび各士業会の登録簿で実在を確認のうえ、公開情報にもとづいて掲載しています。掲載順は評価の優劣を示すものではありません。
この記事の結論
- 名古屋市の16区すべての区役所で、弁護士の法律相談が無料で受けられます(1人20分・月2回・予約制)。遺言の法律相談も同じ窓口です。
- 予約は、相談希望日の1週間前の朝8:00から。名古屋おしえてダイヤル(052-953-7584)かウェブで申し込みます。
- 相続登記は、お住まいの区で窓口が変わります。何から始めるか迷うときは、いまから相続の30分無料相談(愛知県内はご自宅へ訪問可)もあります。
名古屋市で相談できる場所と日程|早見表(2026年10月9日確認)
親の通帳を前に「相続のことを、まず誰に聞けばいいのだろう」と思ったときは、市役所の相談から始める方法があります。名古屋市で使える窓口を、日程と予約のしかたつきでまとめました。
区役所の法律相談|区ごとの開催の目安(13:00〜16:00・予約制。実際の日付は変わることがあるため、予約のときに確認してください)
予約は、上の名古屋おしえてダイヤル(052-953-7584)かウェブから行います。
日程や予約のしかたは変わることがあります。出かける前に、予約の電話でもう一度ご確認ください。
この表の確認に使った公式ページ(2026年10月9日確認)
- 名古屋市|法律のことは(区役所の法律相談)
- 名古屋市|遺言のことについて相談したい【法律相談】(FAQ)
- 日本司法書士会連合会|司法書士総合相談センター(愛知)
- 法テラス|法テラス・サポートダイヤル(0570-078374・平日9:00〜21:00・土9:00〜17:00。法律の制度や相談窓口の案内)
相談したい内容から選ぶ|相談先の早見表
名古屋市で、ご自宅で相談したい方へ
30分の無料相談です。愛知県内はご自宅への訪問もできます(それ以外はオンライン)。預金や保険証券の置き場所、受取人、遺言、認知症への備えなど、生前のご相談を承っています。
お電話は、相談中は折り返します。LINEで質問する(返信は2営業日以内・土日祝を除く)
まず押さえる、名古屋市の相続手続きに関わる4つの機関
相続手続きは「どの手続きを、どの機関で行うか」を整理すると全体像が見えてきます。名古屋市の相続では、主に次の4つの機関が関係します。
- 法務局…不動産の相続登記(名義変更)。名古屋市は区によって本局・熱田出張所・名東出張所に分かれます。
- 家庭裁判所…相続放棄の申述、遺産分割調停・審判、遺言書の検認など。名古屋市全域が名古屋家庭裁判所本庁の管轄。
- 公証役場…公正証書遺言の作成や任意後見契約など。公証役場に管轄はなく、市内のどの役場でも利用できます。
- 税務署…相続税・準確定申告。被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。
これに加えて、各区役所や士業会(弁護士会・司法書士会など)の無料相談窓口も相続の入口として活用できます。以下、順に見ていきましょう。
【区別】名古屋市の相続登記はどの法務局?管轄一覧
不動産の相続登記は、その不動産の所在地を管轄する法務局で手続きします(被相続人の住所ではなく、不動産の所在地が基準です)。名古屋市の16区は、下表のとおり名古屋法務局本局・熱田出張所・名東出張所の3つに分かれています(不動産登記の管轄)。
たとえば、被相続人が千種区に住んでいても、相続する不動産が名東区にある場合は名東出張所の管轄になります。複数の区に不動産がある場合は、それぞれの管轄法務局への申請が必要です(郵送・オンライン申請も可)。商業・法人登記は名古屋市全域を本局が扱いますが、相続に関わる不動産登記は上記の区分となります。亡くなった方が会社の代表者だった場合の役員変更登記は、区にかかわらず本局です。
持ち物は①亡くなった方の出生から死亡までの戸籍 ②相続人全員の戸籍 ③遺産分割協議書と相続人全員の印鑑登録証明書 ④固定資産評価証明書(または納税通知書) ⑤登記事項証明書の5点。実費は登録免許税で固定資産評価額の0.4%(評価額3,000万円なら12万円)です。自分で申請した場合にいくらかかるかは、名古屋の相続登記を法務局へ自分で申請するといくらか(本局・熱田・名東の管轄と司法書士に頼む場合の比較)で内訳まで確認できます。
相続登記は2024年4月から義務化され、原則として相続を知った日から3年以内の申請が必要です。正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があるため、早めの手続きを心がけましょう。
相続放棄・遺産分割調停は名古屋家庭裁判所本庁へ
相続放棄の申述、遺産分割調停・審判、遺言書の検認(自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用していない場合)などは、家庭裁判所で手続きします。愛知県の家庭裁判所は名古屋本庁・一宮支部・半田支部・岡崎支部・豊橋支部の5ブロックに分かれており、名古屋市16区はすべて名古屋家庭裁判所本庁(名古屋市中区三の丸)の管轄です。区ごとに家庭裁判所の支部があるわけではないため、名古屋市の方は一律で本庁と覚えておけば問題ありません。
- 名古屋家庭裁判所 本庁/〒460-0001 名古屋市中区三の丸1-7-1/地下鉄名城線「名古屋城」駅から徒歩約10分
- 取り扱い…相続放棄の申述、遺産分割調停・審判、自筆証書遺言の検認(法務局の保管制度を使っていない場合)、後見開始の申立て
- 近くにあるもの…名古屋法務局 本局(中区三の丸2-2-1)と名古屋中税務署(中区三の丸三丁目3番2号)も同じ三の丸です。中区・東区・北区・西区・中村区・千種区・昭和区にある不動産の登記なら、家裁と法務局の用件を同じ日にまとめられます。
相続放棄は、原則として相続の開始を知った日から3か月以内に申し立てる必要があります。借金などマイナスの遺産が多い場合は、期限内に司法書士や弁護士に相談しておくと安心です。
遺言公正証書なら名古屋市内の公証役場へ
公正証書遺言の作成、任意後見契約、私文書の認証などは公証役場で行います。公証役場には管轄がなく、名古屋市内のどの公証役場でも利用できます。主な公証役場は次のとおりです。
公証役場の統廃合や移転が行われることがあるため、最新の所在地・連絡先は日本公証人連合会または名古屋法務局の公証役場一覧でご確認ください。公正証書遺言は、作成にあたって行政書士・司法書士などに原案作成を依頼すると、文言の不備や証人手配などをスムーズに進められます。いずれの役場も事前予約制で、作成当日は証人2名が必要です。準備の流れとつまずきやすい点は名古屋の公証役場(葵町・熱田・名古屋駅前)で公正証書遺言を作るときに後悔しやすい7つの落とし穴にまとめています。
相続税の申告と名古屋市内の税務署
相続税の申告は、被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署に対して行います。不動産の所在地ではありません。名古屋市16区は9つの税務署に分かれていて、1つの署が2〜3区をまとめて受け持つ組み合わせがあります。下表は名古屋市が公表している一覧です。
出典=名古屋市「(参考)国税局・税務署・法務局・県庁・県税事務所一覧」(2026年9月確認)。税務署の執務時間はいずれも平日8時30分〜17時です。
間違えやすいのは昭和税務署で、署名は「昭和」ですが建物は瑞穂区にあり、昭和区・瑞穂区・天白区の3区をまとめて管轄します。名東区の方も「名東税務署」はなく千種税務署、守山区の方も名古屋北税務署です。相続登記の法務局の区分(本局・熱田・名東)と税務署の区分は一致しないので、両方を別々に確認してください。
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、遺産総額がこれを超える場合に申告が必要です。名古屋市は地価の高いエリアも多く、自宅の土地・建物だけで基礎控除を超えるケースもあります。申告の必要性が心配な方は、相続税・生前対策かんたん診断で目安を確認しておくと良いでしょう。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
名古屋市の区役所おくやみコーナー(全16区・原則予約制)
相続の手続きで最初に行くのは、法務局でも税務署でもなく区役所です。名古屋市は全16区の区役所と10か所の支所に「おくやみコーナー」を置いています(令和5年7月14日に全区で開設)。職員が話を聞きながら必要な申請書をまとめて作成し、各窓口へ案内してくれる仕組みで、窓口ごとに同じことを書き直す負担が減ります。
- 原則予約制。来庁予定日の2開庁日前までに予約が必要です。
- 予約方法…ウェブ予約(24時間)または各区役所への電話予約(平日の受付時間内)。
- 対象…その区内にお住まいだった方が亡くなられた場合の手続き。
- 受付時間の目安…おおむね午前9時30分〜正午、午後1時〜午後2時45分(施設により異なります)。
思い立った日に行っても入れない窓口です。葬儀が終わったら、まず住んでいた区の区役所に予約を入れてください。なお、おくやみコーナーを使っても各担当窓口での手続き自体は必要で、優先案内になるわけではありません。銀行口座の名義変更は区役所では扱わないので、金融機関ごとの必要書類は名古屋銀行の相続手続き完全ガイドやあいち銀行(旧愛知銀行・中京銀行)の相続手続きのように取引先ごとに確認しておくと二度手間になりません。
名古屋市の無料相談窓口(区役所・士業会)
「まずは費用をかけずに相談したい」という方は、無料相談窓口が入口になります。名古屋市の各区役所では、弁護士による法律相談(予約制・市内在住者向け)を定期的に実施しています。また、愛知県弁護士会・愛知県司法書士会・愛知県行政書士会・名古屋税理士会などの士業団体も、相続・遺言に関する無料相談会や総合相談センターを運営しています。
ただし、無料相談は時間(多くは30分〜1時間)が限られているため、具体的な手続き代行や継続的なサポートを希望する場合は、改めて専門家の事務所へ相談するのが一般的です。どこに相談すべきか迷ったら、相続の相談はどこにすればいい?もあわせてご覧ください。
名古屋市で相続を相談する専門家の選び方
相続の専門家は、資格ごとに対応できる業務が法律で定められています。名古屋市には多くの事務所がある分、選ぶ際には「自分の手続きに合った専門家かどうか」を視点にすると失敗しにくくなります。
🏠 司法書士
不動産の相続登記(名義変更)が中心。相続放棄の書類作成や遺産承継業務にも対応。
🧮 税理士
相続税の申告・生前の節税対策。遺産総額が基礎控除を超える場合に必須。
📝 行政書士
戸籍収集・相続人調査・遺産分割協議書の作成、預貯金・自動車などの名義変更。
⚖️ 弁護士
相続人同士でもめている場合の交渉・調停・訴訟など紛争対応。
- 司法書士…不動産の相続登記(名義変更)が中心。相続放棄の書類作成や遺産承継業務にも対応。
- 税理士…相続税の申告・生前の節税対策。遺産総額が基礎控除を超える場合に必須。
- 行政書士…戸籍収集・相続人調査・遺産分割協議書の作成、預貯金・自動車などの名義変更。
- 弁護士…相続人同士でもめている場合の交渉・調停・訴訟など紛争対応。
不動産の名義変更が中心なら司法書士、相続税の申告が必要なら税理士、戸籍収集や預貯金解約などの書類手続きが中心なら行政書士が窓口になります。相続人間で争いがある(または争いそうな)場合は弁護士。多くのケースでは登記・税務・書類手続きが複合するため、他士業と連携したワンストップ対応の事務所を選ぶと、窓口が一つにまとまって楽になります。詳しくは相続手続きの代行先の選び方もご参照ください。
ご家族の相続でもめるリスクが気になる方は、無料のもめる相続リスク診断で1分でチェックできます(登録不要)。争いの芽がある場合は、早めに専門家へ相談することで選択肢が広がります。
名古屋市の相続手続き 費用相場の目安
相続の費用は依頼する手続きや遺産の内容によって変わります。下表は一般的な目安であり、実際の金額は各事務所の料金表や見積もりでご確認ください。
※上表は専門家に依頼した場合の目安です。国・自治体に支払う実費(登録免許税・公証人手数料・戸籍謄本の交付手数料など)だけを詳しく知りたい方は、相続手続きの「実費」と「専門家報酬」の違い(愛知県内の実額一覧)をご覧ください。
区・近隣エリア別の相談先ガイド
名古屋市は周辺市町との行き来も多く、実家が隣接市にあるケースも少なくありません。周辺エリアの相談先については、以下の地域別ガイドもあわせてご覧ください。
- 一宮市の相続相談先(尾張北部)
- 春日井市の相続相談先(市北東に隣接)
- 瀬戸市の相続相談先・尾張旭市の相続相談先(東部)
- 日進市の相続相談先・東郷町の相続相談先(名東方面)
- 東海市の相続相談先(南部・知多方面)
- 豊明市の相続相談先(南東部・緑区方面)
- 長久手市の相続相談先(東部・名東方面)
- 大府市の相続相談先(南部・知多方面)
名古屋市の相続に関するよくある質問
名古屋市内に複数の区に不動産がある場合、相続登記はまとめてできますか?
不動産登記は不動産の所在地を管轄する法務局ごとに申請します。たとえば中区と名東区に不動産がある場合、本局と名東出張所のそれぞれに申請が必要です。同じ管轄内(例: 中区と西区はともに本局)にある場合はまとめて申請できます。司法書士に依頼すれば、管轄ごとの申請をまとめて代行してもらえます。
名古屋市の相続放棄はどの家庭裁判所に申し立てますか?
名古屋市16区のいずれに住んでいた方でも、相続放棄は名古屋家庭裁判所本庁(名古屋市中区三の丸)に申し立てます。区ごとの支部はありません。申述は原則として相続の開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。
名古屋市で公正証書遺言を作るにはどの公証役場を使えばよいですか?
公証役場に管轄はないため、名古屋駅前・葵町・熱田など名古屋市内のどの公証役場でも利用できます。病院・自宅などへ公証人に出張してもらうことも可能です(出張手数料が加算されます)。事前予約のうえ、必要書類を持参しましょう。
名古屋市には相続の無料相談窓口はありますか?
各区役所の法律相談(弁護士・無料・月2回・予約制)や、愛知県司法書士会の総合相談センター(無料・予約制)で相談できます。手続きの代行や継続的な相談を希望する場合は、専門家の事務所や当社(いまから相続)の無料相談もご利用いただけます。
まとめ|名古屋市の相続はまず管轄を把握してから
名古屋市の相続手続きは、相続登記ならお住まいの区に応じて名古屋法務局本局・熱田出張所・名東出張所のいずれか、相続放棄や遺産分割調停なら名古屋家庭裁判所本庁、相続税なら住所地を管轄する税務署が窓口です。まずはご自身のケースでどの手続きが必要かを整理し、管轄機関と適した専門家を確認しましょう。手続きの全体像は相続でやることチェックリストで確認できます。
「区をまたいで不動産がある」「どの専門家に頼めばよいか判断がつかない」という場合は、当社(いまから相続)の30分の無料相談もご利用いただけます。相続の状況をお聞きしたうえで、必要な手続きと適切な相談先を整理してご案内します。まずはご家族の状況を、無料のもめる相続リスク診断で1分チェックしてみてください(登録不要)。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載情報は作成時点の公開情報に基づきます。管轄・受付状況・料金は変更されることがあるため、最新情報は各事務所・機関にご確認ください。なお、提携事業者をご紹介する場合、当社が紹介料を受け取ることがあります。
▶ 愛知県内の他の市区町村の相談先や、家庭裁判所・法務局などの管轄先は、愛知県の相続相談先マップ(市区町村別ガイド)でまとめてご確認いただけます。
