定年前後は、退職金というまとまった資金を受け取り、給与収入から年金中心の生活へと切り替わる、人生の大きな節目です。この時期に一度、老後の資金全体を見直しておくことは、その後の暮らしの安心につながります。「何となく預けたまま」「勧められるままに契約」ではなく、自分の資産の全体像を把握することが出発点です。
この記事では、愛知県内で相続・生前対策のご相談を受けている当社の視点から、退職金・老後資金を生前対策として見直すときの考え方を、中立の立場で整理します。なお、当社は特定の投資商品・金融商品を推奨する立場ではなく、本記事も「資産の棚卸し」「見直しのきっかけ」という範囲に限定してお伝えします。個別の運用判断は、それぞれの専門家にご相談ください。
なぜ定年前後に見直しが必要なのか
理由は主に3つあります。第一に、退職金というまとまった資金が入り、その置き場所や使い方を考える必要があること。第二に、収入が年金中心に変わり、支出とのバランスを見直す時期であること。第三に、この時期は相続や認知症への備えを考え始めるのにも適していることです。老後資金の見直しは、単なるお金の話にとどまらず、生前対策の入り口でもあります。
相続では、死亡保険金が「遺産分割を待たずに受取人へすぐ入る現金」として役立つ場面があります。葬儀費用・相続税の納税資金・代償金の原資に使え、非課税枠(500万円×法定相続人)もあります。ただし一時払い終身は早期解約で元本割れ等があるため、当面使わない資金に限り、他の方法(生前贈与・信託・遺言・預貯金の取り分け)と比較して判断してください。
退職金は何年分の不足を補えるか|公的データで計算する
運用や保険を考える前に、退職金が「何年分の生活費の不足」に当たるかを計算しておくと、置き場所を急いで決めずに済みます。計算は3ステップです。
- 毎月の不足額を出す(毎月の支出から、年金などの収入を引く)。目安として、総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得が約22.2万円、消費支出が約26.4万円で、差の不足分は約4.2万円です。
- 年額にする(不足額×12か月)。月4.2万円なら年に約51万円です。
- 生活費に回す額を割る。たとえば退職金のうち1,000万円を不足の補てんに回すなら、約20年分です。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月平均23.9万円、ゆとりある老後生活費は月平均39.1万円(最低日常生活費への上乗せは平均15.2万円)でした。ゆとり分まで確保したい場合は、不足額が月4.2万円では済まない可能性があります。これらはいずれも平均で、持ち家か賃貸か、医療・介護の費用、年金額によって世帯ごとに大きく変わるため、ご自身の数字に置き換えて確認してください。資産の棚卸しから不足額を見積もる具体的な流れは、老後資金の見直し方と3つの事例でも解説しています。
見直しの4つの視点
老後資金 見直しの進め方(4つの視点)
資産の棚卸し(全体像の把握)
預貯金・退職金・保険・年金・不動産・負債まで、「どこに何があるか」を書き出す。すべての出発点。
生活費と収支の見通し
年金収入と支出のバランスを確認し、「毎月いくら不足し、どこから補うのか」を見通す。
保険の見直し
現役時代の保険が老後に合っているか、保障が過大・過小でないか、相続対策に活かせないかを点検する。
相続・認知症への備えとの統合
生命保険の非課税枠・暦年贈与・口座凍結への備えなどを、老後資金の設計と一体で考える。
1. 資産の棚卸し(全体像の把握)
まずは、預貯金・退職金・保険・年金・不動産・負債まで、資産と負債の全体像を書き出します。「どこに何があるか」を把握しないまま個別の判断をしても、ちぐはぐになりがちです。棚卸しは、そのまま相続の準備にもなります。退職金を受け取ったら最初に確認すべきことは退職金を受け取ったら最初に確認すべきことで解説しています。
💡 この記事のポイント ― 「棚卸し」から始める
個別の商品や運用を検討する前に、まず資産・負債の全体像を書き出すことが出発点です。全体像を把握してから判断すれば、ちぐはぐな選択を避けられます。棚卸しは、そのまま相続の準備にもなります。
2. 生活費と収支の見通し
年金収入と支出のバランスを確認し、「毎月いくら不足し、どこから補うのか」を見通します。年金以外の収入源をどう整理するかは年金以外の収入源、生前に整理しておくべきもので扱っています。
3. 保険の見直し
現役時代に入った保険が、老後の暮らしに合わなくなっていることは少なくありません。保障が過大・過小になっていないか、相続対策として活かせないかといった視点で見直します。詳しくは老後資金と生命保険の見直しポイントをご覧ください。
4. 相続・認知症への備えとの統合
老後資金の見直しは、相続対策や認知症対策と切り離せません。たとえば、生命保険の非課税枠を使う、暦年贈与で計画的に財産を移す、認知症による口座凍結に備えるといった対策は、老後資金の設計と一体で考えるべきものです。一時払い終身保険と生前贈与どっちが得?や、自宅を活かすリバースモーゲージも、選択肢として知っておくとよいでしょう。
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棚卸しの次に、うちは何を決めるのか
ご家族の人数と、だいたいの財産額を選ぶだけです。老後資金の設計と一体で考えるべき生前対策が、必要なものだけ順に出ます。
「勧められるまま」を避け、中立の視点を持つ
退職金が入ると、金融機関から運用商品や保険をすすめられる機会が増えます。もちろん有用なものもありますが、大切なのは「自分の暮らしにとって本当に必要か」を起点に判断することです。当社は「不要なものは不要」とお伝えする方針で、特定の商品を推奨しません。まずは資産を棚卸しし、必要な備えを見極めることをおすすめします。
○ こう考える(中立の視点)
✓ 自分の暮らしに本当に必要かを起点に判断する
✓ まず資産を棚卸しし、全体像を把握する
✓ 不要なものは不要と見極める
✕ 避けたい進め方
✕ 勧められるまま契約してしまう
✕ 「何となく」預けたままにする
✕ まとまった資金があるからと安易に決める
よくある質問(FAQ)
退職金はどう活用するのが正解ですか?
「正解」は人それぞれで、一概には言えません。まずは資産全体を棚卸しし、生活費の見通しを立てたうえで、必要な備えを考えるのが順序です。特定の運用商品の良し悪しについては、それぞれの専門家にご相談ください。当社は中立の立場で全体像の整理をお手伝いします。
老後資金の見直しは、相続とも関係しますか?
大いに関係します。生命保険の非課税枠、生前贈与、認知症による口座凍結対策などは、老後資金の設計と一体で考えるべきものです。老後資金の見直しを、生前対策の入り口として活用するとよいでしょう。
何から始めればいいですか?
資産の棚卸し(全体像の把握)からです。どこに何があるかを書き出すだけで、次に何を見直すべきかが見えてきます。診断ツールを使うと、資産の整理と必要な備えの確認がスムーズです。
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本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。特定の金融商品・投資の推奨や勧誘、断定的判断の提供を行うものではありません。複数の提携行政書士による監修体制で運営しています。個別の税額計算は税理士、運用の判断は各金融機関等にご相談ください。
実際にどのように老後資金の見直しが進められているか、具体的な事例を知りたい方は老後資金の相談事例|愛知県での見直しの取り組みとヒントもあわせてご覧ください。
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棚卸しの結果、保険をどうするか迷ったら
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