海外旅行の日程が決まり、パスポートを申請しようと県のページを開く。必要な書類の欄に「戸籍謄本」とある。本籍地は遠く、役所へ行く時間もなかなか取れない。
戸籍謄本が要るかどうかは、申請の種類と、申請の出し方で決まります。この記事では、窓口で出す場合と、マイナンバーカードを使ってオンラインで出す場合を分けて、新規・切替(更新)・記載事項変更ごとにまとめました。2025年3月からの変更と、戸籍にフリガナが載ったことの影響も説明します。
この記事の結論
- 窓口で申請するとき、初めて申請する人・期限が切れた人・氏名や本籍の都道府県などが変わった人は、申請日前6か月以内の戸籍謄本が要ります。有効なパスポートがあり、記載事項に変更がない切替なら、提出を省略できます。
- マイナンバーカードを使ったオンライン申請なら、新規でも記載事項変更でも、戸籍の情報が自動でつながり、戸籍謄本の提出は不要です。2025年3月24日から、全都道府県で新規と切替のオンライン申請ができます。
- 窓口で出す戸籍謄本は原本のみです。コピー、戸籍抄本、改製原戸籍、戸籍の附票では申請できません。
早見表:申請の種類と、戸籍謄本が要るか
表のとおり、同じ人でも「新規か切替か」「窓口かオンラインか」で答えが変わります。自分がどの行に当たるか確かめてから、次の章に進んでください。
窓口で申請するとき
戸籍謄本が必要な人、省略できる人
愛知県の案内では、戸籍謄本が必要なのは次の人です。
- 初めて申請する人、期限切れのパスポートしかない人
- 有効なパスポートがあるが、氏名・本籍地の都道府県名・性別などが変わった人
- 残存有効期間同一の申請(記載事項変更のとき、いまのパスポートの期限をそのまま引き継ぐ申請)をする人
- 切替でも、写真や記載事項が読み取れないほどパスポートが傷んでいる人、外国人との婚姻などで初めてヘボン式以外のローマ字や別名の併記を希望する人
省略できるのは、有効期間中のパスポートがあり、氏名・本籍の都道府県名・性別などに変更がない人です。ただし、省略しても申請書には本籍を戸籍のとおり番地まで書きます。本籍を控えておいてください。
戸籍謄本の条件
同じ戸籍の家族が同じ日に申請するときは、戸籍謄本1通を共用できます。ただし、1人でも書類に不備があると、全員分が受け付けられないことがあります。不備のない人だけ受け付けてもらうか、取り直して出し直す形になります。
住民票は、愛知県内に住民登録があれば、原則いりません。住基ネットで確認できるためです。住基ネットの利用を希望しない人や、引っ越して数日以内の人は、住民票が要ります。
マイナンバーカードでオンライン申請するとき
2025年3月24日から、全都道府県と在外公館で、新規申請と切替申請をオンラインでできるようになりました(外務省)。
戸籍について、外務省は「オンライン申請では、電子戸籍が自動でシステム連携される」と案内しています。連携の対象は、新規、記載事項変更、紛失届と新規申請を合わせた申請です。戸籍謄本を取りに行く手間は、いりません。
例外が1つあります。未成年の子を、親権者が代わりにオンライン申請するときです。親子の戸籍が別になっている場合は、先に「電子戸籍パス」を用意します。16桁の番号で、有効期間は3か月です。マイナポータルから無料で取れます。市区町村の窓口でも取れますが、有料です。
そのほか、パスポートが傷んでいる場合はオンライン申請の対象外です。受け取りには窓口へ行きます。新しいパスポートは、発行後6か月以内に受け取らないと失効します。手数料は、2026年7月1日の申請分から改定されました。金額は外務省の旅券手数料改定のページで確かめてください。
結婚や転籍で変わったとき、フリガナの注意
結婚・離婚・養子縁組で氏名が変わったときや、転籍で本籍の都道府県が変わったときは、記載事項変更の手続きが要ります。外務省によると、パスポートの記載を直す「訂正旅券」は2014年3月20日に廃止されました。いまは、新しく発給する申請か、残存有効期間同一の申請を出します。
2025年5月26日からは、戸籍の記載事項に氏名のフリガナが加わりました。外務省は、次の点を案内しています。
- 戸籍謄本が必要な新規申請では、振り仮名が記載された戸籍謄本を出します。
- パスポートの氏名と戸籍のフリガナが合わないときは、記載事項変更の手続きになります。
- その場合、残存有効期間が1年未満でも、切替申請の対象にはなりません。
結婚で氏名が変わる人は、婚姻届と戸籍謄本の関係もあわせて見ておくと、書類をそろえる順番が分かります。転籍の手続きは本籍を変更する方法(転籍届)にまとめています。
戸籍謄本の取り方(窓口申請で必要なとき)
窓口申請で戸籍謄本が要る人は、取り方を選べます。請求するのは「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」で、抄本ではありません。取ってから申請までは6か月以内です。早く取りすぎないよう注意してください。
取り方の全体は戸籍謄本の取り方に、広域交付の細かい条件は戸籍の広域交付の使い方にあります。本籍が分からない人は本籍の調べ方から確認してください。
よくある質問
Q. 戸籍謄本のコピーでも申請できますか。
窓口申請では、コピーは受け付けられません。原本を出します(愛知県の案内)。
Q. パスポートの更新で氏名も本籍も変わっていないときは、戸籍謄本は要りますか。
要りません。有効期間中で記載事項に変更がなければ、窓口でも省略できます。ただし、申請書には本籍を番地まで書くので、本籍の控えは持っていってください。
Q. オンライン申請では、本当に戸籍謄本を用意しなくてよいのですか。
自分の申請なら、用意しなくてかまいません。外務省は、戸籍が自動でシステム連携されると案内しています。未成年の子を、戸籍の別な親権者が代わりに申請するときだけ、電子戸籍パスが要ります。
Q. 戸籍謄本が戸籍抄本でも大丈夫ですか。
使えません。2023年3月27日から、戸籍謄本のみが使えます。個人事項証明書(抄本)、改製原戸籍、戸籍の附票では申請できません。
Q. 家族でまとめて申請するとき、戸籍謄本は人数分いりますか。
同じ戸籍で、同じ日に窓口へ出すなら、1通で足ります。別の日に出すときは、1人ずつ1通が要ります。
あわせて読みたい
参考にした公的情報
- 外務省「国内からオンライン申請する」
- 外務省 パスポート申請の案内(必要な書類)
- 外務省 パスポートの記載事項変更の申請
- 外務省「戸籍の氏名のフリガナ記載に伴うパスポート(旅券)申請に関する注意事項について」
- 愛知県 旅券(パスポート)のご案内「窓口申請に必要な書類」
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報です。必要書類の取り扱いは申請先の都道府県で異なることがあります。申請前に、お住まいの都道府県のパスポート窓口にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
