本籍地の市区町村から封書が届き、開けてみると、自分の名前の読み方が書かれた通知だった。戸籍に「ふりがな」が載るようになったことを知らせる、あの通知です。
2025年5月26日に改正戸籍法が施行され、戸籍に氏名のふりがなが記載されるようになりました。届出ができる期間は、2026年5月25日で終わっています。この記事では、2026年10月8日時点の扱いを、法務省と市区町村の案内にそって整理します。通知の見方、期限が過ぎたあとの職権記載、記載されたあとの変更方法の順に説明します。
この記事の結論
- 通知のふりがなが正しければ、何もしなくて大丈夫です。届出期間は2026年5月25日で終わり、5月26日以降は本籍地の市区町村が、通知のとおりに戸籍へ順に記載しています。
- 記載されたふりがなが違っていたとき、職権で記載された人は、1回に限り家庭裁判所の許可なしで、届出だけで変更できます。期間内に自分で届け出て記載された人が変えるには、家庭裁判所の許可が要ります。
- ふりがなの届出に手数料はかからず、届出をしなくても罰則はありません。お金を求める連絡は詐欺です。
いまはどの段階か:2025年5月から2027年ごろまでの流れ
まず全体の流れです。ここまでを知っておくと、自分の通知がどの段階の話なのかがわかります。
記載を担当するのは、住んでいる市区町村ではなく「本籍地」の市区町村です。時期は市区町村ごとに違います。各市区町村の案内(2026年10月時点)では、東京都中央区が2026年6月下旬から8月下旬、東京都目黒区が6月末から9月下旬、名古屋市が12月ごろまで、という予定が示されています。ご自分の本籍地がどこか迷う方は、本籍の調べ方を先にご覧ください。
届いた通知の見方:確認する4つのところ
通知は、戸籍を管理している本籍地の市区町村長から、住民票の住所あてに郵送されました。書かれているのは、戸籍に記載する予定の氏名のふりがなです。手元に通知がある方は、次の4つを見てください。
- 氏と名のそれぞれで、漢字とふりがなが合っているか
- 同じ戸籍の家族のふりがなも、実際の読み方と合っているか。氏のふりがなは、原則として戸籍の筆頭者が届け出る決まりでした。夫婦や親子で相談して決める形です
- パスポート、年金、銀行口座などで、ふだん使っている読み方と同じか
- 読み方が、氏名の読み方として一般に認められる範囲か
3つめは、見落としやすいところです。ほかの手続きで使っている読み方と戸籍の読み方が食い違うと、あとで変更の手続きが必要になることがあります。法務省も、年金やパスポートで使っているふりがなを先に確認しておくよう案内しています。
4つめについて、法務省のよくある質問では、次のような読み方は認められないと考えられています。
このほか、社会通念上ふさわしくない読み方も認められないとされています。通知のふりがなが実際の読み方と違っていたら、あわてずに、次の章で説明する変更の方法を確認してください。
通知をなくした場合や、見覚えがない場合の扱いは、法務省の案内には書かれていません。本籍地の戸籍担当窓口に電話で聞くのが確実です。
届出期限と、期間内にできたこと
届出期間は、施行日の2025年5月26日から1年以内で、2026年5月25日に終わりました。期間内にできたことは次のとおりです。
- 通知のふりがなが誤っているときに、正しい読み方を届け出る
- 通知が正しくても、早く戸籍に載せたい人が届け出る
- 届出の方法は、マイナポータル、市区町村の窓口、郵送のいずれか。手数料はかからない
- 届出人は、氏が原則として戸籍の筆頭者、名が戸籍に載っている各人。15歳未満の子は法定代理人が届け出る
期間が終わった今は、新しい届出は受け付けられていません。ただし法務省のオンライン届出の案内には、すでに出した届出について、市区町村から指摘を受けた項目の補正や、審査中の届出の取下げができるという記載があります。この手続きができる期間は、案内に具体的には示されていません。該当しそうな方は、届出先の市区町村に確認してください。
なお、届出をしなかったことで不利になる決まりはありません。罰則も、罰金もありません。
期限を過ぎたあと:職権記載とはなにか
届出がないまま期間が終わった場合、本籍地の市区町村長が、通知したふりがなを戸籍に記載します。これを職権記載といいます。市区町村によっては、管轄の法務局長等の許可を得て記載するとしています。記載は2026年5月26日以降、国のスケジュールにそって順に進んでいます。
記載が終わるまでは、戸籍謄本などの証明書にふりがなは出てきません。最近戸籍謄本を取ったのに、ふりがなが載っていない場合は、本籍地でまだ記載が済んでいないだけかもしれません。
戸籍に記載されたあとは、次のように広がります。
- 住民票:戸籍への記載後、順次ふりがなが記載されます。届出は要りません
- マイナンバーカード:2026年5月26日から、ふりがなの記載がないカードに限り、市区町村の窓口で追記を申し出られます。新しく発行するカードには、戸籍と住民票に記載されていれば、ふりがなが印字されます
届出もせず、職権でも記載されなかった人のために、外務省の案内には「申出」という手続きがあります。国内に住んでいる人は本籍地の役場に申し出ます。具体的な方法や書類は公式の案内に書かれていないため、本籍地の戸籍担当に確認してください。
記載されたあとで変更する方法
記載されたふりがなが実際の読み方と違っていた場合は、変更の届出ができます。ただし、ふりがなが戸籍に載ったきっかけによって、手続きが変わります。
職権記載された人の変更は、使える回数が1回だけです。2回目以降は、この例外は使えません。家庭裁判所の許可は、氏は「やむを得ない事由」、名は「正当な事由」がある場合に出る仕組みです。
許可なしで変える場合の準備は、次のとおりです。
- 届書:氏と名で別々の様式を使います。氏は筆頭者(配偶者がいれば夫婦)、名は本人が届け出ます。15歳未満は法定代理人です
- 本人確認書類
- 読み方が一般的でないときは、その読み方が通用していることを示す書面。パスポートや預貯金通帳などが例にあげられています
届出先は本籍地の市区町村です。夜間や休日の受付、郵送でできるかどうかは市区町村で違うため、行く前に電話で確認すると安心です。
ふりがなが変わると、ほかの手続きに影響することも
戸籍のふりがなが決まると、ほかの登録とのずれが問題になる場合があります。代表的なのは年金です。
日本年金機構によると、年金を受けている方で、戸籍等のふりがなと年金記録のフリガナが異なる場合は、機構から「氏名変更のお知らせ」が届きます。同封の年金証書引換届を、年金事務所に出します。郵送でも受け付けています。年金の受取口座の名義とフリガナが一致しないままだと、年金の振込が一時的にできなくなることがあります。フリガナが一致していれば、原則として年金の手続きは要りません。
パスポートなどについても、法務省は、届け出たふりがなが登録情報と違う場合に変更手続きが必要になることがあると案内しています。細かい扱いは、外務省など各手続きの窓口で確認してください。
お金にまつわる連絡にも注意が必要です。法務省は、「届出に手数料がかかる」「届出をしないと罰金」などとお金を求める連絡は、すべて詐欺だと案内しています。日本年金機構も、電話や訪問で預貯金額や口座番号を聞くことはないとしています。不審に感じたら、いったん電話を切って、本籍地の市区町村か年金事務所に確認してください。
よくある質問
Q1 通知が届いたまま、何もしていません。大丈夫ですか。
通知のふりがなが正しければ、問題ありません。2026年5月26日以降、本籍地の市区町村が通知のとおりに記載します。違っていた場合は、記載後に1回だけ、家庭裁判所の許可なしで変更できます。
Q2 戸籍謄本を取ったら、ふりがなが載っていません。
本籍地での記載が、まだ済んでいない可能性があります。記載の時期は市区町村ごとに違います。いつごろの予定かは、本籍地の戸籍担当に聞くか、市区町村のホームページで確認してください。戸籍謄本の取り方は戸籍謄本の取り方でまとめています。
Q3 引っ越していて、通知が届いたかどうか分かりません。
通知は住民票の住所にあてて送られました。届いたかどうか不安なときは、本籍地の戸籍担当に、戸籍に記載される予定のふりがなを問い合わせてください。公式の案内には、通知を再発行してもらう方法までは書かれていません。窓口によって対応が違う可能性があります。
Q4 ふりがなの手続きに、お金はかかりますか。
届出にも、記載後の変更の届出にも手数料はかかりません。家庭裁判所に許可を求める場合の手続きと費用は、裁判所の案内で確認してください。
Q5 住民票やマイナンバーカードにも、自動でふりがなが載りますか。
住民票は、戸籍への記載後に順次、自動で記載されます。マイナンバーカードは、新しく発行するときに印字されます。すでに持っているカードは、窓口で追記を申し出る形です。戸籍の記載が済むまでは、どちらも反映されないことがあります。
あわせて読みたい
参考にした公的情報
- 法務省「フリガナが記載されるまで」 https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/flow.html
- 法務省「よくあるご質問」(戸籍にフリガナが記載されます) https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/faq.html
- 名古屋市「戸籍に氏名のフリガナが記載されます」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/todokede/1007825/1033721.html
- 目黒区「戸籍に氏名の振り仮名が記載されます」 https://www.city.meguro.tokyo.jp/koseki/kurashi/kosekitodokede/furigana.html
- 日本年金機構「戸籍等に氏名の振り仮名が記載されることにともなう年金に関するお願い」 https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/kosekinenkin.html
- 外務省「氏名の振り仮名の届出の届出期間の終了及び氏名の振り仮名の申出について」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/pagew_000001_01529.html
※本記事は2026年10月8日時点の、法務省・市区町村・日本年金機構・外務省の公開情報にもとづく一般的な情報です。記載の時期や窓口の取扱いは本籍地の市区町村で異なります。個別の手続きは、本籍地の戸籍担当窓口にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
